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第18話 もうフラグでしか無い

長かった。疲れた。週明けなのに週末の疲労感。そして四日後に控えるホワイトデーに戦々恐々。今週は何かと絡まれ一日は長く感じるのにあっという間に件の週末を迎える。背筋を正す。これが概しての私の姿勢であり私の信条。でも今日は背中が曲がってしまいそうです。頑張れ私。

紗希 「今日体調不良でお休みします。」

瑞希 「大丈夫。学校いこっか。」

そういって私の腕を取り腕を組む。仲のよさそうな双子に見えるかも知れませんが私からしたら意地悪。

紗希 「いや、ほら今日は不穏な空気を感じるのですよ。」

なんか既視感。

瑞希 「そんな理由で社会人になったら休めると思う?」

誘導尋問?

紗希 「思わないです。」

瑞希 「そうだね。じゃあいこっか。」

紗希 「はい。」

私の返事を確認すると絡めた腕をぐんっと力強く引っ張る。こけない様に後ろに重心を置くと駄々っ子がお母さんに手を引かれているようで格好悪い。

紗希 「ちゃんと歩きますから。」

そう言うと腕は解放されましたが、今度は指を絡めてくる。手汗が心配ですが妹ならいいですかね。瑞希と手を握って歩くのは何時振りかと思いましたが、そういえば最近手を繋ぎましたね。私が意識していないだけで繋いでいたりするのかも知れませんね。気の置けない存在。


学校に到着すると姿見の前でルーティンを行おうとするが、今日に限って人に見られると嫌とか意識してしまう自分が嫌。負け。

追跡者「今日もキャワワやで。」

一人壁ドンをして姿見に映り込み存在をアピールする輩がいたが何も見ていないと自分に言い聞かせる。

紗希 「・・・。みぃちゃん行きますよ。」

不意に後ろから声をかけられ驚いた。一週間もまとわりつかれると嫌悪感も諦めに更に日常へと変わってくる。

瑞希 「うん・・・。」

瑞希もこの登場の仕方にはドン引きのようですね。手早く最低限を整えて姿見の前から離れる。重なる足音が追跡者の存在を告げるが振り返らずに教室を目指す。

都花 「おはよう。今日は一緒に来たの?」

いつも一緒に来ているのにおかしな事を言う都花ですね。

瑞希 「おはよう。」

紗希 「おはようございます。瑞希とはいつも一緒ですよ?」

都花 「ははは。」

なんですかその愛想笑いは。

追跡者「一週間もスルーされるとかもはや愛情でしょう?」

この意味のわからない論法聞き覚えがありますね。でも思い出したくないので忘れます。

氶太良「カズ。ポジティブ過ぎやって。おはよう。」

カズ?そう言えば我が校に日富美宗磨とか言う人がいましたね。彼は成績優秀で賢い人なのでこの人は別人でしょう。なわけないか。ああ、自分より頭がいいのがこんなのとか自分がくだらなく見えて辛いです。偏差値だけが全てでは無いとか負け惜しみっぽい事を口にしてみます。

宗磨 「いや、ここまでしつこくしてて罵倒もなくただただスルーって嫌われては無いね。」

ん?あれ?そういえば無視はしましたが嫌いとは言ってませんでしたね。

氶太良「あ、でも好きの反対は無関心って聞いたことあんで?」

そうなのですか。いいこと言いますね。流石私の義弟候補。

宗磨 「ちょ・・・まじか・・・。」

珍しく項垂れる日富美。え?日富美でもそういう表情するんですね。何か私悪いことしたでしょうか。無視しても平然としていたので気持ちも考えず悪い態度を取っていたかもです。罪悪感。谷八木さん余計なこと言わないでくださいよ。責任転嫁の手のひら返し。

由早 「おはよう。どないしたん?」

いつもと違う雰囲気に由早も教室に入ったばかりなのに気付いたようです。由早に対して何かを取り繕うように言葉が私の口から零れ落ちた。

紗希 「好きではないですがほんの少しだけ無関心ではないですよ。」

嘘は言っていない。好きではないし、しょぼくれているとちょっと罪悪感を感じました。何をやっても許されると思っていました。反省。あと罪悪感から解放されたいです。

泰河 「ツンデレ来た!」

大好物だったようです。どこに潜んでいたのかは知りませんが彼に対しては無関心です。逆に言えば無関心なのでどこにいたのか分からない。

宗磨 「ほらな。」

泣いた日富美がもう笑う。泣いてはいませんでしたがぴったりの形容です。サービスしすぎましたかね。やはりスルーするくらいが丁度いいですね。

蒼甫 「おはよう。カズご機嫌やな。」

今度は教室に入ったばかりの上ノ丸がご機嫌な日富美に気付いたようです。

由早 「さっきまでえらへこみやってんで。」

蒼甫 「へ?」

由早の返答に状況が更に理解できなくなった上ノ丸が怪訝な顔をした。

宗磨 「いや、大きな試練を乗り越えて人として大きくなったんよ。」

バシバシと上ノ丸の肩を叩きながらやや遠くを見ながら得意げに語る。OK。調子は戻ったようですね。これで私の罪は無いですね。

蒼甫 「それはそうと、金ヶ崎さん放課後時間いい?」

上ノ丸も日富美を華麗にスルーして話題を変えた。私の方を見て話していたがその後ろにいた瑞希に話かけているかもしれないので、瑞希の方を見て上の丸が言ってますよと目で合図を送った。

蒼甫 「いや、瑞希さんじゃなくて紗希さん。」

ほほう。私と瑞希の区別がつくとかやりますねと思いましたが都花と谷八木が横に居るので状況判断できますね。それよりも危惧していた状況になりつつあるのが憂鬱。

紗希 「放課後は部活でして・・・」

宗磨 「奇遇やな。俺も紗希ちゃんに用事があんねん。」

食い気味に話す日富美に恐怖を感じる。さっき止めをさしておけばよかったですね。救いを求めるべく瑞希、由早、都花に視線を送るが皆それとなく目が合わない。意地悪。

紗希 「ですから、部活がありましてですね、忙しいのですよ。」

適当に答えたつもりでしたが部活と言うワードがよくありませんでした。

宗磨 「茶園場は関係ないやんな?」

蒼甫 「カズ!」

うわ、面倒臭い質問。あの件以来茶園場と私のことが噂になっているみたいですね。本当迷惑。

紗希 「日富美さんも関係ないですよね。」

感情が顔に出る私はまだまだ子供ですね。

由早 「おやおや、紗希ちゃんムキになりすぎちゃう?日富美君チャンスはまだ誰にでもある段階やで。」

宗磨 「チャンスきた。」

来てませんよ。由早は本当ちょくちょく余計なことをいいます。喧嘩したいのですか?場の空気を読んだのか上の丸が話題を変えようと質問をする。

蒼甫 「金ヶ崎さんのタイプというか好きな有名人っておる?」

いまタイプって言いましたよね。真逆の人だったら諦めるのでしょうか?それとも寄せてくる?好きな有名人位はいますよ。

紗希 「羽入義治さんとか豊崎昌幸さんとか。あと打ち上げ花火。」

仲間はずれがいます、どれでしょう?

宗磨 「誰それ?ってか打ち上げ花火は人じゃないでしょ。」

正解です。

蒼甫 「羽入義治さんは棋士だよ。有名やね。」

うーん豊崎さんは知られていないようですね。某将棋漫画の主人公のモデルと噂もあるのに・・・頑張れ豊崎さん応援しています。

紗希 「豊崎昌幸さんも棋士ですよ。面倒くさいのでイケメンさんでいいです。」

由早 「面倒くさいって・・・」

瑞希 「イケメンさんって・・・」

都花 「ははは。」

蒼甫 「将棋指している人が好きなの?」

なんか誤解を生む聴き方をしてきますね。ここで肯定すると日富美が茶園場の名前を出してきそうですね。意識している私なかなか洗脳されてきましたね。

紗希 「落ち着いていてほんわかしている人がいいです。棋士とかは関係ないですよ。ガツガツしている人は苦手です。」

牽制も入れて100点に近い回答じゃないですか?アピールしたいがガツガツしている人は苦手という事で前に出れない。このジレンマで今日という日を乗り切りたい。

宗磨 「俺ほんわかしてるで?ちょっと落ち着き足らんかもやけど。」

何のアピールですか?私の話聞いてました?最初しか聞いてなかったのですか?重要なのは最後の「ガツガツしている人は苦手」というところですよ。本当に成績優秀なのか疑わしくなってきましたね。

蒼甫 「ガツガツしている人は苦手って言ってんで。」

ナイスです。上ノ丸さん。そう、こう言う所に気が付く人の方が話しやすいですね。

宗磨 「別にしてないやん。普通の会話やし。お前考えすぎなんちゃうん?」

あなたはもう少し考えてくださいね。

由早 「日富美君今のは紗希ちゃんポイント低いよ。上ノ丸君が正解かな。」

何やらポイント制が導入されましたね。貯まると何かもらえるのでしょうか?景品が私に関係していて怖そうなのでスルーしておきます。

宗磨 「え?じゃあどうすんの?無理ゲーじゃね?」

ええ。ゲームじゃないですから。無理ですけど。

由早 「学内で五指に入る美人がそんなに簡単に落ちると思ってんの?日富美君さ、頭脳は学内で五指に入るんだからさもっと考えなきゃ。」

またしても意味不明な説明ですね。美人=簡単に落ちないって短絡的だと思います。ほら、相性とかってあると思うし。美人は甘んじて受け入れておきます。由早に諭された日富美は納得いかない様で小首を傾げながら考え込んでしまった。そうこうしているうちにそれまでの場の空気を清算する始業のチャイムが鳴る。SHRを終えると図書室に赴き指定席(勝手に決めている)に陣取る。右後ろから視線を感じるが無視して勉強にアプリに励む。そして休み時間を迎えた。

瑞希 「紗希ちゃん今日の放課後用事ないよね?」

言いたいことは大体察しがつくのでどうしても外せない用事で対処する。

紗希 「いえ、むしろ家に帰るマストの用事しかないですよ。」

瑞希 「じゃぁないって事だね。」

いや、人の話聞いて下さいよ。マストって言ってるじゃないですか。

瑞希 「放課後17時に校門ね。」

お構いなしに話を続ける瑞希に冷ややかな視線を送りつつ探りを入れる。

紗希 「何をする気ですか?」

瑞希 「帰るだけだよ?マストなんでしょ?」

危険。すっごい笑顔の裏に何か逆手に取られた的なフラグが立ってしまった様な気がします。その小首を傾げてほほ笑むの止めてください。かわいいじゃないですか。私もしたいけどキャラ的に無理。裏山です。

紗希 「びゅーって返りますよ。」

意味不明な擬音でとにかく早く帰ることをアピールしていると由早が椅子ごと移動して体を預けてきた。

由早 「みぃちゃん何か仕掛けて来るみたいやな。」

まるっとお見通しとばかりに由早が瑞希を牽制する。

都花 「仕掛けるって・・・」

苦笑いの都花を見て私のポジションが由早に奪われたような気がした。他の人に都花が苦笑いさせられるのにやきもちとか私の性癖もやばいですね。

瑞希 「由早ちゃんは仕掛けないの?」

仕掛けるってなんですか?

都花 「仕掛けるんだ・・・」

あ、またしても私のポジションが。

由早 「仕掛けるの認めるんだ。紗希危険だよ。」

おどけてどさくさに紛れてハグをする。貴方も危険ですよ由早さん。

瑞希 「人聞き悪いなぁ。認めてないし、安全ですよ。そして答えになってないよ。」

何?この言葉遊び怖い。都花以外は信用しない方がいいみたいですね。

由早 「え?私は何もせーへんよ。」

過敏になり過ぎると「私は」の「は」がもう引っかかってしょうがないです。私はしていませんが○○が勝手にしましたというパターンですか?そうならば○○は茶園場でしょうね。

紗希 「よくわかりました。用がある人はお昼休みにお願いします。放課後はほんと帰りますから。」

お昼休みなら時間が限られているし、後に嫌なことを残すくらいなら先にこちらから打って出てあげますよ。

由早 「私は用ないかな。」

瑞希 「私も。」

駄目だこの人たち。絶対自分たちのペースで事を進めていく気ですね。もう知りませんから。

紗希 「じゃあいいです。」

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