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戦慄のクオリア  作者: 音無砂月
新章 トライゾン決着編

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目覚めの時

 エデンにトライゾンの女王が来た。

 伯明に言われてフェイクは藍華の部屋に行った。

 空気の通りを良くするために開け放たれた窓からは風が入り込み藍華の美しい髪を揺らめかせる。

 「藍華さん、いい夢は見れていますか?」

 窓の淵に腰かけ、フェイクは藍華の手を軽く握った。生きているのかを疑いたくなるぐらい藍華の手は冷たかった。

 「大丈夫。君は必ず守るから」

 「・・・・フェイク」

 「愛睦さん、どうしたんですか?自宅待機では?」

 「ソルダの関係者は人質になる可能性があるからクリミネルに集合しているの。私は総理からトライゾンの狙いは藍華だって聞かされたから心配になって」

 「そう」

 愛睦は椅子を藍華の隣に持っていき、向かい合う形で腰を下ろした。そしてフェイクと同じように藍華の手を握る。

 「・・・・藍華」

 「!」

 「!」

 愛睦とフェイクはお互いに顔を見合わせた。

 藍華の手が自分達の手を握り返してくれたのだ。此の二年、まるで反応が無かったのに。

 「藍華」

 「藍華さん」

 二人の呼びかけに答えるようにゆっくりと藍華の目が開いた。

 「総理、天音さん直ぐに来てください。藍華さんが目を覚ました」

 フェイクは胸につけているアイリスに呼びかけた。





 テレサを収監室に閉じ込め、艦隊に乗っていた船員も広めの収監室にまとめて閉じ込めた。個室を与えられたのはテレサとルドルフ、艦長だけだ。一応、責任者的立場にある人間だからだ。ルドルフに関してはテレサの側近という理由だ。

 全員無事に収監室に閉じ込め、艦隊をクリミネルの倉庫に収納するように伯明に命令を出した直後、フェイクから通信が入った。

 『総理、天音さん直ぐに来てください。藍華さんが目を覚ましました』

 「直ぐに行く」

 何故、こんな時に目覚めたんだ。と思いながら隼人は急ぎ足で藍華の部屋に向かった。遠子とは藍華の部屋の前で会った。二人とも言葉を交わさなかった。

 無言で遠子がドアを開け、隼人、遠子の順で部屋に入った。其処にはベッドに腰かけ、外を眺めている藍華の姿があった。

 「まさか、本当に目覚めているなんて」

 遠子は信じられないという眼で藍華を見たが直ぐに自分の仕事を思い出し、藍華のバイタルを取り出した。

 「藍華さん」

 「・・・・総理?」

 「はい。お久しぶりです」

 「何だか、長い夢を見ていました」

 まだ目覚めたばかりで声がかすれ言葉を紡ぐのに苦労をしている様子が見られた。

 「君は二年間眠っていたんだよ」

 「・・・・・二年も」

 驚いているのかもしれないが目覚めたばかりでまだ頭が働いていないのか彼女の表情はまだ乏しい。

 「覚えている。二年前のこと」

 「・・・・・タカが死んで、一宮さんと桜井さんが倒れていて。二人は?」

 「いずなさんに問題はないよ。舞子さんは打ち所が悪くて植物状態になっている」

 「そう」

 藍華は眉尻を下げ、悲しそうな表情を作った。少しずつ思考が動き始めた証拠だ。

 「他には何を覚えていますか?」

 「トライゾンに誘拐されて。其処で、牢に閉じ込められた白鬼隊と、そう。来須翔真の実験」

 「蘇生実験のことですね。流さんから伺っています」

 「私、将軍と、ブルーマ将軍と来須を追い詰めたんですけど逃げられてしまって。其れで研究所が爆発することをして二人で逃げたんです。でも、間に合わなくて。もうダメだって思って、死にたくないって思って、其処で私の意識は途切れたんです」

 「そう」

 「あれからもう二年は経っていたんですね。将軍と、黒崎博士はどうなりましたか?」

 「将軍は直ぐに目を覚ましたけど来須のことを軍法会議にかける必要があるからとトライゾンに残ったけれど処刑されたと聞きました。黒崎仁美さんは研究所の外で遺体となって発見されました。来須翔真に関しては遺体が見つかってはいないので分かりません。捜索はしているのですが手がかりはゼロです」

 「総理、其の操作に一人宮家辰巳を加えてください」

 「其れは?」

 「来須翔真の助手で私に彼の実験のヒントをくれた人です」

 「分かりました。まだ目覚めたばかりで疲れるでしょう。今日は其の辺にしてお休みなさい」

 「はい」

 「フェイクと愛睦さん、遠子さんは此処に残って下さい」

 「「「はい」」」

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