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戦慄のクオリア  作者: 音無砂月
新章 トライゾン決着編

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渋谷奪還作戦終了

 「あともう少しだ。頑張ろう」

 休憩を終え第二のクロワ設置点に到着し、彰は持っていたクロワを設置した。

 残るクロワは二つだ。

 「おい、またサウロンが出たぞ」

 一世は直ぐにエヴァンジルを発動させ、サウロンに突撃した。其の後を追うように白鬼隊の三人も突撃する。

 他のメンバーもエヴァンジルを発動させた。

 夜無はサウロンと戦う仲間の後姿を見て、此の戦い方じゃあいつか死ぬと思った。

 まだ強敵と呼ぶべきサウロンには出会ってはいない。

 ファースト世代が戦ったというフュズィオン型のような強敵と。だから今のように戦闘が成り立っているだけなのだ。

 今回も危うさはあったが何とか大きな損害もなくサウロンを倒していた。だから余計に悪いような気がする。

 「どうしたの、夜無ちゃん」

 戦闘が終わった後、直ぐに次の地点へ向かおうとした一行だが、夜無だけが其の場に留まって動こうとしなかった。たまたまメンバーの一番後ろに居た心愛が直ぐに其のことに気がついた。

 動かない夜無を心配して戦闘に居た彰が夜無の所まで来た。

 「どうかしたの?もしかしてさっきの戦闘で何処か怪我をした?」

 「つぅか、ビビってるだけじゃないの。此奴、さっきの戦闘に参加してなかったし」

 「鬼塚君!そんな言い方ないよ」

 心愛がキッと一世を睨みつけるが一世は全く意に介さなかった。

 「此のままじゃあ、いけない気がする」

 夜無は静かに、けれど前を見据えて言った。

 「いけないって何が?」

 「戦い方。みんな、バラバラで、いつか破綻する」

 「はっ。破綻って」

 一世は小馬鹿にしたように笑った。諫める彰の声を無視して一世は夜無を睨みつけた。

 「今まで問題なくいけてたじゃん。其れを今更」

 「でも、今まではそんなに強敵じゃなかった。其れに数だって三~四体程度だったから。でも、其れ以上数が増えたら多分、無理」

 「何弱気になってんの?今更怖気づいたわけ?」

 「・・・・分かるような気がするかも」

 独り言のようにルルーシャは呟いた。だが、静寂に満ちた此の世界で彼女の言葉は確かに全員の耳に入っていた。

 「・・・・ルルーシャ?」

 「ゼフェルもイスファーンも感じてたでしょう。私達はファースト世代と戦ったことがあるから尚更。彼らは常にお互いの位置を把握し守り合っていた。お互いを守り合っていたわ。そんな彼らだからフュズィオン型とも戦って勝利することができたんだと思うの」

 「俺達はファースト世代よりも弱いって?」

 一世の言葉も目つきも夜無に向けていた時よりも更に険しくなる。彼は日本を侵略したトライゾンの手下であった白鬼隊を酷く憎んでいる。

 「あなた達は彼らが戦ったところを見たことが二でしょう」

 暗に自分はあるから彼らの強さを断言できるとルルーシャは言った。

 「違うよ」

 一世が掴みかかる前に彰はルルーシャの言葉を否定した。

 此の状況で彰がルルーシャの言葉を否定するとは思わなかったので一世も否定されたルルーシャも、成り行きを見守っていた他の仲間も驚いた。

 「確かにファースト世代は強かった。きっと俺達よりも連携に長けててだからどんなに強い敵とも臆することなく戦えたんだと思う」

 其れに比べらた自分達はバラバラ過ぎると彰は思った。きっと彼らなら仲間の一人が何処にいるかも分からない状態を放置してはいないだろう。でも、自分達はあっさり放置した。いつものことだからと。

 心配はしながら迎えに行くことも探しに行くこともしない。仲間なんて名ばかり。

 「藍華さんの力が一番大きかったと思うよ。以前、桜井先輩が言ってた」

 二年前、クリミネルが藍華を奪還して暫く経ってからいつ目覚めるかも分からない藍華を見て、いずなが零す様に言っていたのを彰は今でもよく覚えている。

 『私達は黒崎の力に頼りすぎてた。自分ではそんなつもりがなくても、きっと無意識のうちに頼っていたんだと思う。だから破綻した。藍華一人に負担がいった。だから彼女は人間でいることができなくなったのね。彼女を失って、白鬼隊と私と蒼空だけで戦っている時に其れを強く思う』

 疲れた様にいずなが漏らした。多分、自分に言うつもりがなかったのだろう。言い終わった後に『今の忘れて』と言っていずなは苦笑していた。

 「此の話は帰ってからにしようか。今は任務を優先させよう。序に何処かにいる白牙も探してね」

 敵地でする話ではないと誰もが判断し、此の話はいったん終了した。






 其の頃、艦隊では。

 「あの子達、大丈夫かしら」

 艦隊の中から渋谷方面を見つめていずなは呟いた。

 「いずなちゃんは意外に心配性なんだな」

 ビール片手に伯明が来た。

 「ちょっと、任務中ですよ」

 「一杯だけ」

 「どうだか」

 伯明はビールを一気飲みし、気持ちがよさそうに声を上げた後いずなの視線の先にある渋谷を見た。

 「大丈夫だろ、あの子達なら。お前達の時と違って人数も多いし」

 「多ければいいってもんなじゃないでしょ。其れに蓮城さんなら気がついているでしょ。あの子たちはてんでばらばらだって」

 「まぁな」

 指導官として訓練に立ち会っている伯明も確かに感じていた。連携がまったくできていないと。何度か其れで注意したことはある。だが、其れでもよくはならなかった。

 「白鬼隊も混じっているしな。なかなか難しいんじゃねぇか」

 「其れでも乗り越えなければいけない。ソルダは一人では戦えないのだから」

 「藍華ちゃんのことを言っているならいずなちゃんのせいじゃないぜ。そもそも誰かのせいってわけでもない」

 「・・・・分かっています」

 みんなで力を合わせて戦っているつもりだった。でも、強敵が現れた時一番頼りになるのは藍華だった。だから知らずに藍華に頼ってた。そんなことにも気がつかなかった己の愚かさが悔しい。

 深い眠りについた藍華。目覚めて欲しいけど、もう二度と戦ってほしくはないから此のまま目覚めないで欲しいと願うのは仲間として最低だろうか?

 「そろそろ時間だな」

 「はい」

 まもなく任務終了時間となる。







 「此れで最後」

 クロワを設置し終えた。

 「コントロール、此方イスファーン、クロワ設置完了」

 イスファーンはアイリスの花に触れ、コントロールにクロワが全て設置されたことを告げる。

 『コントロール了解』

 渋谷のソルダ、白鬼隊からの通信を受け取りコントロールはクロワ発動の為にコンピュータを忙しなく弄る。

 「クロワ、全て問題なく設置完了しています」

 「クロワへの供給完了しています」

 コントロールからクロワに直接サン・グラールの成分をまねて作り上げた力を供給が完了し、発動準備は整った。

 「クロワ発動」と隼人が指示をすると「クロワ発動」と唱和し、和枝はクロワを発動させた。

 渋谷では大きな十字の光ができ、サウロンが次々に石化していく。

 クロワの発動が停止するのを待って今度はセンサーで渋谷に居るサウロンが殲滅できたかを確認する。

 「サウロンの反応なし」と朝子がセンサーを確認しながら隼人に伝える。

 「結界作動」

 「結界作動」

 再び隼人の指示を繰り返し口にして、和枝は今度はクロワが本来持っている結界の能力を作動させた。

 「結界に異常ありません」

 「コントロールより艦隊へ。フィデールを配置」

 『艦隊了解』

 艦隊に居た伯明は隼人の指示を受け、艦隊に居たフィデールへ渋谷へ下ろした。

 「此れで任務終了だな」

 「あとはあの子たちが戻ってくるのを待つだけか」

 サウロンが居なくなり安全になったのを確認されているのでフィデールのみで渋谷の街へ消えていく。

 彼らはこうやってクロワに霊能力を注ぎ、一足先に日本へ滞在することになる。日本が完全に奪還でき、サウロンを殲滅するまで。

 ソルダと白鬼隊は其れから一時間後に艦隊へ戻って来た。全員の無事を確認したいずなは安心した顔で彼らを迎えた。

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