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戦慄のクオリア  作者: 音無砂月
偽りの平和

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第七章 異人Ⅳ

舞子は説明の方法が思い浮かばずに助けを求めて鷹人を見た。鷹人も上手い説明の仕方が見つからずに苦笑する。

 「俺達の中にはコアがある。だから自分の中にコアの存在を認識して其れに命じる感じかな」

 分かったような分からないような説明だ。此ればかりは舞子の「感覚」という答えが正しいので体験していない人間に説明するのは難しい。

 「成程ネ。命じるという表現を使ってるが、コアには意志があるカ?」

 「ある。俺達はまだできていないけど藍華ちゃん、黒崎さんは実際にコアとの意思疎通が可能だ」

 「何故お前らにはできないネ?」

 「其れが分かれば苦労はしないわよ。アイツにあって私達に無い何かがあるとしか言いようがないわ」

 「おかしな話ネ」

 「大分、打ち解けたみただな」

 ソルダ同士で話しているところに伯明が来た。

 「今日は交流会も含めてソルダ同士で食事をするそうだ」

 「俺はパス」と即答したのは蒼空だった。面倒くさいと言わなくても顔に書いている。

 「残念ながら強制参加だ。準備はこっちでするからお前達は時間まで好きにしろ。食事会に大人は不参加だから」

 「ずりぃ」と蒼空が文句を言ったが伯明は聞こえないふりをして会議室を出た。

 「どうする?其々好きに行動する?」

 「ワタシ、日本観光がしたいネ」

 「近場ぐらいなら案内できるよ」

 「ならそうするネ。スーリヤも構わないカ?」

 「いいよ」

 「じゃあ、みんなで案内をしましょう」

 「俺は疲れたから部屋で休む」

 「私もパス」

 いずなと蒼空は即会議室から出て行ってしまったので舞子と鷹人で案内をすることになった。と、言っても観光地らしいものはない。

 「何か買い物でもしますか?」

 「そうネ。日本の服、珍しいね。其れがみたい」

 「二人ともチャイナ服みたいな感じだからね。着物系とかがいいかな」

 「本格的すぎません?簡単に着られる浴衣とか」

 「いいかもしれないね。丁度夏祭りとかもあって今なら種類が豊富だし」

 舞子と鷹人は話し合って大型デパートに行くことにした。ミャンとスーリヤは日本のことには詳しくないので二人の後ろをついて行く。時々、ミャンが買いたい物のジャンルを口にするがお店選びは舞子と鷹人に完全任せきりだ。

 「スーリヤは何か買いたい物はないの?」

 折角の日本観光なのにミャンの注文ばかりに応え、スーリヤは一度も注文を行ってはいない。心配した鷹人が声をかけるがスーリヤは首を左右に振り、美味しそうにアイスを食べるミャンを見つめる。

 「僕はいいんです。姉さんが楽しければ其れで」

 「お姉さん思いなんだね」

 「たった二人だけの姉弟ですから」

 其の後もスーリヤはミャンの行きたいところについて行き楽しそうにしているミャンを嬉しそうに見ていた。

 此の後に控えている食事会は和食と和食が口に合わなかった場合を考えてシン国のものを中心に用意されていた。ミャンは和食がとても気に入ったようで美味しそうに食べていた。

 「気を利かせて買い物に付き合わなかったけど鷹人と舞子に進展はなさそうね」

 楽しそうに話すが友達の距離までしかない鷹人と舞子を見ていずなはがっかりそうに蒼空に報告した(蒼空が頼んだことではなく、いずなが勝手にしたことだ)。

 「何の話だ?」

 「いや、あの二人ってお似合いだなと思って」

 「そういうのは本人がどうにかするものだろう」

 「二人の性格からしてそうならないから気を利かせたんじゃない」

 「だいたい二人の気持ちはどうなんだ?俺にはただの友人に見えるが」

 「其処から発展することだってあるのよ。気づいたらいつの間にかってね」

 「だったらそうなるまで待てよ。めんどくせぇ」

 「なってない弟ね。兄の恋を応援する気がないなんて」

 「まだ其処まで行っていない」と蒼空は抗議しようとしたが既にいずなは舞子の元へ行っていた。

 何はともあれ、シン国の交換留学は無事に終わり、二人は翌日シン国に帰って行った。

 「やっと面倒なことが終わったな」

 「そうだね」

 蒼空の呟きに鷹人が同意するとは思えなかったので少し驚くと鷹人は似合わないことを言ったと苦笑した。

 「お前でも本音が口に出ることがあるんだね。まぁあの女じゃそう思っても当然だけど」

 「いや。俺が面倒だと思ったのはどっちかっていうとスーリヤの方かな」

 其れこそ予想外の名前だ。

 「友好的だったと思うけど」

 「表向きはね。でも、彼はずっと僕達日本人とミャンの間に居た。まるで姉を守る盾のように。其れに笑ってはいたけど、表面上だけで。目は常に此方の動きを観察していた。彼は俺達の誰も信じてはいないよ」

 鷹人の話を聞いて蒼空は彼らが旅立った方角を見て「其れは面倒だ」と言った。


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