余韻
二三
6限はあっという間に過ぎ去った。いや、過ぎていたというのが正しいかもしれない。
どうやら、夢の世界で、約50分間もお世話になっていたようだ。あぁ、よく寝た。
しかしながら、まだ少し眠い。
机に突っ伏しながら寝ていた俺は、再び眠りにつこうかという勢いだ。
まわりのクラスメイトは既に帰宅の準備、もしくは部活動に行く様子もチラホラ見かける。
心地よい睡魔が俺の脳内を攻撃してくるため、もはやHPはゼロ、うとうとしかかっている。
あぁ、もう寝ちゃってもいいか。
俺は再度机に突っ伏して、寝る体勢をとった。
俺が目を覚ました時には、夕焼け空が、大空いっぱいに広がって、幻想的な風景を醸し出していた。
さっきまで、ざわついていた教室も静かになり、残るは帰宅部(否認可)の連中が数人いるぐらいである。
俺の知り合いはというと・・・、 あれ、一人もいないじゃないか。なんか寂しいな。
マサトはたしか今日は見たい作品があって、家でのんびりくつろぐのだとか。
その話を聞いたときの、マサトの顔が、やたらニヤけていたのは、俺の気のせいだったのだろう。
ん、鼻の下も伸びてたような。
まぁ、いいや。
そういえば、ちかげは、どうしたのだろう。
いつも一緒に下校してるわけじゃないから、放課後、一緒になることは、ほぼない。
軽く挨拶して、それぞれ、友達と帰るのがいつもの日常だ。
ちかげは、特に部活とかも入っていない無所属だし、いつもと一緒で、さっさと家に帰ってるな。
そう思いつつも、ちかげが、いないことに少し寂しさを感じている。
まぁ、帰ったんならしょうがないか・・・。
なぜかはわからないが、胸につんと突っかかるような気持ちが、俺の心を満たしている。
これは『切なさ』というものなのだろうか。
ちかげがいないってだけで、こんなにも寂しい気持ちになるのだ。
今までそんなことは、なかったんだけどな。
なんかあれだな、切ないって言葉は、うまく言葉にしづらいな。
ドラマとかマンガとか見てる時は、平気で切ないとか思ったり、口にしたりできるんだけどな。
自分が体験したことを伝える時に、切ないって一言で片づけても、いかんせん相手に伝わりづらい気がするんだ。今日のオレなんてまさにそうだ。
だから俺自身もよくわかってない。
とりあえず、ちかげがいない今の教室は、寂しい。その解釈だけでいいと思う。
「まぁ、誰もいないし、帰るか」
ちょっぴりだけ哲学に浸った俺は、カバンを取り出した。そして、睡魔を思い出したかのように、大あくびをしながら、俺は夕焼けの教室を後にしたのだった。




