異変?
さて、そんな驚愕すべき経緯を経て今日に至るのだけども――
「……ところで、ユリアさん。今更ではありますが、本当に良かったのでしょうか? その、このような素敵な衣装を貸していただいて」
「ええ、もちろんです。そもそも、あの時点からでは衣装の用意も間に合わないでしょう? それに、学院での貸し出し期間もとうに過ぎていましたし」
「……まあ、それはそうなのですが」
「それから、既に申し上げたように、その衣装はお貸ししたわけでなく差し上げたものですので、そのまま所持していただけたらと」
「……しかし、流石にそれは……」
「どうか、お気になさらず。そもそも、それは貴方のために一週間も前から仕立てたもの。なので、ご不満でなければ受け取ってくださると嬉しいです」
「そ、そんな、ご不満など! ……はい、ありがとうございます、ユリアさん」
温かな微笑とお言葉で、僕の懸念を払拭してくださるユリアさん。何のお話かというと……いや、説明するまでもないかもだけど、僕が身に纏っている衣装――ユリアさんがくださった、爽やかな白を基調とした素敵な衣装に関してで。……はい、ありがとうございます、ユリアさん。
「……それにしても、改めてですがとっても似合っていますよ、ハンス。まあ、自分で仕立てておいてこう言うのも些か気が引けますが」
「……ユリアさん」
すると、柔らかに微笑みそう告げてくださるユリアさん。お世辞ではなく、本心から言ってくださっていることがひしひしと伝わる表情と声音で。そして、そんな彼女に対し――
「……その、ユリアさんもとても良くお似合いで……その、とても綺麗です。あっ、もちろんいつもとても綺麗なのですが!」
「……へっ? ……あ、ありがとうございます……」
そう、目を逸らしつつ口にする。爽やかな水色を基調とした素敵な衣装を纏う、銀髪の可憐な少女へと。……うん、恥ずかしい。顔が赤くなってるのが、鏡を見なくても分かるくらいに。でも、ユリアさんも褒めてくれたのだし……それに、この紛うことなき本音を僕も言いたかったし。
ややあって、少しだけ落ち着きユリアさんへと視線を戻す。すると、ユリアさんのお顔に先ほどまではなかったはずの異変が。そんな彼女に対し、今度はどうにか目を逸らさずに言葉を口にする。
「……あの、ユリアさん。もし、熱がおありなのでしたら――」
「至って健康ですけども!?」




