やっぱり恥ずかしい?
「――それでは、今日は光魔法に関してのレッスンを行います。準備はよろしいですか?」
「はい、お願いしますユリアさん」
それから、一週間ほど経て。
彩り豊かな中庭にて、向かい合いそう口になさる可憐な少女。うん、今日も頑張らなきゃ。……ところで、それはそれとして――
「……あの、ユリアさん。今更ではあるのですが……その、学校でもお着けになっているんですね、それ」
「いけませんか? そもそも、他でもなく貴方がプレゼントしてくれたのではないですか」
「……まあ、それはそうなのですけども……」
たどたどしく話す僕に、事も無げにお答えになるユリアさん。それ、とは彼女の耳の少し上に飾られた青い花――先日、僕がユリアさんへ贈ったアネモネの花を象ったあのヘアピンで。……まあ、それはそうなのですけども……ですけども、改めてちょっと恥ずかしいなあと。
「……これでも、気を遣ってはいるのですよ? これを贈ってくれたのがハンスだと周知になれば、そのことでまた色々と言われることになるでしょうから」
「……あ、ありがとうございます」
すると、不服そうにお話しになるユリアさん。……うん、まず間違いなくそうなるよね。今でも既にそうだけど、きっと尚さら。……まあ、色々と言われることが嫌なわけじゃなく、ただただ恥ずかしいというだけなんだけども――
「――ユリアさん!」
卒然、後方から響く鋭い声。誰のお声か、なんて確認するまでもないけれど……振り返ると、そこには声音に違わぬ鋭い視線を向けるアイラさんのお姿が。一方、僕の隣ではユリアさんが呆れたようなご表情を浮かべていて。
「……ハンスとユリアさんが一緒にいても、あたしには関係ない――そんな感じのことを、ちょっと以前に言ってたよね? ……でも、やっぱり関係ないことはないと思う。だって、ハンスはクラスメイトだよ? クラスメイトが色々嫌なこと言われてたら何とかしなきゃ、って思うのは普通のことだと思う」
そう、ユリアさんを見つめ告げるアイラさん。その綺麗な瞳には、明確に強い意思が宿っていて。一方、ユリアさんは何も言わずアイラさんを見つめている。もしかすると、反論ができずにいるのかもしれない。アイラさんのお言葉は、恐らく客観的に判断しても理に適っていると思うし。
――だけど、僕は明確に自分の意思でユリアさんと一緒にいる。誰に何を言われても、僕はユリアさんと一緒にいたい。なので――
「あの、アイラさん。僕は――」
「ここにいたんだね、アイラ!」
「「「……へっ?」」」
瞬間、声が重なる。その三人――ユリアさん、アイラさん、僕の視線の先には、随分と慌てたご様子でこちらへと向かってくる見目麗しき黒髪の男性――僕ら二年F組の担任、ミシェル先生で。……でも、いったい何をそんなに――
「……さっき、近隣の方からご連絡があって……君の家が火事になって、ご家族が出られなくなってるそうなんだ!」




