占い
「――それでは、次はどこに向かいましょうか」
「そう、ですね」
再び、賑やかな道を歩いていく僕ら。ユリアさんの耳の少し上には、先ほどまではなかった青いアネモネ――先ほど、僕がプレゼントしたヘアピンが既に飾られていて……うん、自分で贈ったとはいえ、やっぱり恥ずかしいね。
「「……ん?」」
ふと、声が重なる僕ら。視線を移すと、そこにはこの賑やかな場所において何とも異質な雰囲気を放つ黒装束を纏った人が。そして、その人の前には……えっと、ホロスコープ? ちなみに、ホロスコープとは西洋の占星術で使用される天体の配置図のことで。そして、ということは、この人は恐らく占い師さんで……まあ、何となくそうかなとは思ったけども。ともあれ、ユリアさんの意向を窺うべく隣へと――
「……あれ、もしかして……あのディヴィナさま?」
「……ほう、わらわのことを知っておるのか嬢ちゃん」
「……あの、ユリアさん。もしかして、有名な御方なのですか?」
「ご存じないのですか!? あのディヴィナさまを。百発百中と評判の、伝説の占い師と名高いあのディヴィナさまを!」
「……す、すみません」
視線を移すと、大いに驚愕――そして、僕の問いにキラキラした瞳で説明をしてくださるユリアさん。……うん、そんなに有名な御方なのですね。その、無知でごめんなさい。……ただ、それでも百発百中は流石に……まあ、余計なことは言わないけども。
ともあれ、当然のこと占っていただく流れに。ちなみに、僕はやんわりお断りしようとしたのだけども――
『――もちろん、一緒に占っていただきますよね? ハンスも』
隣に立つ美少女から、有無を言わさぬ満面の笑顔でそう尋ねられてしまったわけで……はい、もちろんですとも。
……ところで、どんな御方なのだろう? わらわというご自称、声質、そして貫禄のあるご口調からも、恐らくは人生の酸いも甘いもお噛み分けになったご年配の女性ではないかと――
「――うっ!」
卒然、強風が吹きつける。さっと隣を見るも、ユリアさんがなにかをした様子はなく、ただただポカンとしたお表情をなさっていて……うん、そりゃそうだよね。そもそも、いま風を放つ理由なんてどこにもないし。そういうわけで、再び占い師さんへと視線を移し――
「…………へっ?」
ふと、ポツリと声が。そしてほぼ同時、ユリアさんのお表情の理由も理解ができて。と、いうのも――
「……あっ、その、これは……」
眼前には、黒のフードが外れた占い師さん――先ほどとは打って変わって慌てた様子の、僕らよりも歳下であろう可愛らしい女の子がいらっしゃるからで。
思いも寄らない展開に、茫然と顔を見合わせるユリアさんと僕。再び正面へ視線を戻すと、先ほど以上にしどろもどろなご様子の黒装束の占い師さんが……うん、なんだか申し訳ない。
「……その、ごめんね? ほら、よしよし」
「お子さま扱いするでない! わらわはもう、21歳の立派なレディーじゃというのに!」
「「ええっ!?」」
ややあって、躊躇いつつも占い師さんの頭を撫でるユリアさん。すると、返ってきたのは何とも衝撃のお言葉で。えっ、21歳!? 申し訳ないけど、どう見ても10代前半くらいにしか――
「……あの、立派なレディーさま。どうか、このわたしくめにアンチエイジングのご秘訣を――」
「ユリアさん!?」




