雑貨屋さん
「勉強になりましたか? ハンス」
「はい、ユリアさんのお陰でとっても」
「ふふっ、それはよかったです。それでは、明日にでも確認のテストを行いますね?」
「……へっ? あっ、それは……」
それから、一時間ほど経て。
図書館にてしばらく勉強をした後、再び二人で情緒豊かな商店街を歩いていく。……いえ、その、確認のテストはちょっと自信がないなぁと。ほら、流石に全部は覚えていないですし……それに、ものすごく近くのユリアさんにドキドキするあまり、ところどころで勉強に集中できなかった部分もありまして……うん、言い訳ですごめんなさい。……ところで、さっきの図書館でのことだけど、他にも気になった本があって――
「――あっ、ここなんてどうでしょう?」
「……へっ? あっ、はい、とっても素敵なお店だと思います!」
「……ほんとに、そのように思ってます?」
「はい、もちろんです!」
何とも慌ただしく答える僕に、何とも怪訝そうにお尋ねになるユリアさん。……いや、ほんとに素敵だと思ってますよ? ただ、ちょっと考え事をしていたせいで驚いてしまっただけでして。
ともあれ、僕らの視界には白を基調としたレンガ造りの小さなお店――ガラス越しに映る可愛らしい小物などを見るに、どうやら雑貨屋さんのようでして。
「ねえ、ハンス。これ、いいと思いませんか?」
「そうですね、とっても可愛らしくて、ユリアさんによくお似合いだと思います」
「……そ、そうですか……」
店内にて、ゆっくりと歩みを進めつつほのぼのと会話を交わす僕ら。雑貨屋ということで、店内にはアクセサリーなどの小物や、家具や文房具、キッチン用品など幅広い種類の商品が彩り豊かに並んでいて。
その後も、ほのぼのと店内を見て回っていく僕ら。こういうことに普段はあまり時間をかけないけれど、ユリアさんと一緒ならすっごく楽し――
「……ねえ、ハンス。もしよければ、お互いに一つずつ選んでプレゼントをしませんか?」
「…………へっ? あのユリアさんと、不肖わたくしめが……ですか?」
「どのユリアさんですか。あと、どんだけへりくだるんですか」
衝撃のご提案に、不意に我に返る僕。ご冗談、という感じでは……うん、なさそう。だけども――
「……ですが、ユリアさん。僕に、ユリアさんのお気に召すようなセンス溢れる選択ができるとは――」
「おや、嫌なのですか? なるほど、私ではなくアイラさんとプレゼントを贈り合いたいと。まあ、それでしたら無理にとは言いませんが」
「……いえ、もちろん嫌などではなく……その、分かりました」
おずおずと不安を口にする僕に、何とも冷ややかな笑顔のユリアさん。……いや、なんでここでアイラさんのお名前が? まあ、それはともあれ……うん、ここで断るという選択肢がないことだけは流石に分かるわけでして。……いや、もちろん嫌なわけではないんだけども。




