【08 吐きダメ】
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・【08 吐きダメ】
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ライトノベルをぐんぐん読んだ。久しぶりに文章というモノを読んだかもしれない。ここ最近は本当に読んでもFANZAのレビューくらいだったから。
何かいつもより脳内が明朗快活というか、言葉が自分の頭にこっくりと入ってきた。
まだちょっと語彙の引き出しがおかしいところがあるかもだけども、何かだいぶスッキリ満帆マンになったのかもしれませんな。
昼になると、風間来水が部屋から出てきて、
「昼ご飯作るから」
とノックせずにドア越しに声を掛けてきた。
俺はむしろ監視してほしいのか? と思いながら、監視してやることにした。一緒にデカいキッチンのある居間にいて、ソファーに座って風間来水の動向を確認している。
俺はふと、
「風間来水ってさ」
と言ったところで、すぐに割って入ってくるように風間来水が、
「だからフルネームで呼ばないで、来水でいいじゃん」
と何だか嫌がるように言ってきて、むしろ下の名前だけだと近過ぎるだろとも思ったんだけども、まあいいじゃないか音頭が脳内で流れたので、
「じゃあ来水さ」
と言うと、またカットインしてきて、
「やっと名前で呼んでくれた」
と小さく顔の近くでピースをして、何か可愛かった。
いやいや可愛くてもどうせコイツは風俗ビックリ女なわけで、そもそもその話をしたかったわけで、
「来水ってもう風俗行かないの?」
すると風間来水は大爆笑してから、
「辞めたに決まってるでしょ!」
と手を叩いた。さっきまで包丁持っていたのに手を叩くことを優先するなんてむこうみずだなと思いつつ、
「じゃあもう風俗嬢は辞めたんだ」
「辞めるよ、稼げれば! 今は好きに小説が書けて幸せだよ!」
と満面の笑みで笑った。
するとまるで切り返すように来水が、
「逆に風俗行ってもいいよ、金も出すし」
と言ってきたので、俺はすぐに怒髪天みたいな感じになった。
俺は尊厳を踏みにじられたと思ったからだ。
だからそのことをちゃんと発露することにした。
「性欲だけで女子と接するほどケダモノじゃねぇよ!」
「だから童貞なんだっ」
フフッと笑った来水に俺は腹が立ってしまい、
「うるせぇよ! いいだろ! 童貞は! 機会が損失していただけだからさぁ! 全然やろうと思えばいつでもやれるし多分!」
来水は優しい面持ちで、
「でもいいと思う。風俗で遊ぶヤツよりも童貞のほうが自然で人間らしいよ」
でも俺は、正直風俗行く男のほうが本当は健康的な人間だと知っている。
風俗で性欲を発散する人間のほうが普通なのだ。少なくても絶対健康的なのだ。
性欲は気分を高揚させるということをシコる自分は知っている。それを本物でやれたらどんなに幸せだろうか。
でも俺は怖いのだ。女子が怖いのだ。人間そのものが怖いのかもしれない。生身の人間が。
AVの中に閉じ込められた映像の人間は別に怖くないし、いくらでも見れる。
でも生身の人間は本当に怖い。こんなことで怯えている俺は不健全なのだ。
もっと生身のビックリ女を好き勝手イジってやることが男の性欲として真っ当だ。それは絶対そうだ。
しかしながらそれは不安になる。俺なんかが触ったら死んでしまうのではとか思ってしまう。
本当に俺は女子から嫌われている人間だから、きっと俺が触れたら女子は死んでしまうかもしれない。発作が起きるかもしれない。
俺は結局のところ女子にイジメられて、自分の精子やウンコを食べていた人間だ。
そんな人間に触られたらきっとアレルギーというか、アナフラシキーみたいなことが起きて死んでしまうかもしれない。
俺は直接、この手で足で、人を傷つけることがしたくない。結局言うことしかできない。もしかしたら言うこともできていないかもしれない。
松岡実奈にはなんとか上位に立って口撃できていたけども、河合愛には全然だったし、そもそも来水にだって全然上からいけていないし。
上からいくのが男のはずだ、女性を屈服させてこそ男だと思う。男尊こそ正しい形だと親からも言われた。でもそんな正しい男に俺はなれないかもしれない。ずっとこのまま雑魚チンコのままかもしれない。
せめて風俗から女性に慣れることができたら。でも俺はできない。生身の女性がとにかく怖いんだ。
「できたよー」
来水が目玉焼きとサラダとスープと、トーストを焼いてくれた。
「基本マーガリンだけども料理用のバターもあるし、あっ、そや、黒糖シロップもあったかもっ」
と対面に座った来水がそう言う。
トーストの麦の香り、生きた食べ物の香りは久々なような気がする。
いや昨日ピザ食べたんだけども、純粋な、穀物の香りというか、混じりけのない純粋な食べ物の香りというか(描写どうだろう、ライトノベル読んだ直後だから自信ナシ)。
俺はその生きた食べ物の香りをそのまま味わいたく思って、
「タレはいいわ」
と答えると、来水は何故か少しだけ残念そうな顔をした。
でも、
「来水が作ってくれた料理をそのまま楽しみたいだけ」
と本音をそのまま伝えると、来水は何だか満面の笑みになり、そこまでのことは言っていないけどな、と少しだけ不安になった。
もしかするとタレを付けずに直で食べたほうが毒の効き目がいいみたいな、いやそう仮定するとタレ付けない宣言した時の残念そうな顔は一体何なんだ、でももういいや、毒を考えるの飽きた。そもそも毒って中二病過ぎるだろ。俺のチンコはちゃんと大人なんだって言い聞かしてやるんだ。
昼ご飯も食べ終えて、来水はまた執筆するらしい。
俺は来水が自分の部屋へ行く前に、この家なりのトイレ掃除の仕方を聞くと、普通に答えてくれて、というわけで俺はトイレ掃除をすることにした。
このトイレで来水も用を足しているのか、と思ってしまうと、ついまた興奮してしまう。
生身の人間は苦手だけども、生身の人間の残り香はかなり好きだ。エスカレーターでも女性の後ろだと嬉しい。
というか隠しカメラを設置して、来水の映像を収めてやろうかなとも思ってしまう。映像にしてしまえばこっちのもんだから。
でもどうせ、バレるかもだし、それならfictionの、映像の、AVだけでいいかと思って、洗い終えたトイレでシコるだけで辞めた。
何かテンションマックスになってしまい、三回シコった。
トイレから出ると、なんとそこに来水が立っていて、半笑いの感じで、
「シコっていたっしょ」
と言われてしまい、これはもう白状するしかないと思い、シコっていた旨を伝えると、来水はムッとしながら、
「トイレ掃除している時はさ、薬品の匂いがこもるから扉開けておきな」
と言われた。
何か、めっちゃ恥ずかしかった。
シコっていたことを罵倒されるならまだ勃起できたかもだけども、何か自分の身体を心配され、むしろ舐めんじゃねぇと思えてきた。
俺は自分の部屋に戻り、デカい声を出しながら、壁を一発殴った。
するとなんとどうだろうか、どうやら手の骨にヒビが入ったらしい。利き手で殴るんじゃなかった。
この家は木造の一軒家に見えていたけども、実際は鉄筋の家なのかもしれない、あぁ、なんとも壁が硬かった。安い壁だと思っていたのに。
手の指があまりにも痛くて、シコることもできなくて、ずっとライトノベルを黙って読むことにした。
本棚から本を取る時が本当に痛くて、もう手の骨から爆破するんじゃないかと思ってしまう。
でも他にすることもなくて、とにかく本を読むことしかできなかった。
夕ご飯、また来水が「作り出すよー」みたいなこと言ってきたけども、俺は「はーい」と返事だけして、そのままライトノベルを読み続けた。
来水が「完成したよー」と言ってきたので、ドアノブを左手で回して、居間に行った。
俺は来水から「今日はスプーン派だから」とできるだけ悟られないように注意して、そう言って、スプーンを受け取り、左手で食べていると、来水から少し呆れるように、
「シコり過ぎて骨折したん?」
と言われて、これはまあ自尊心のある勘違いをしてくれていると思って、
「そそそ、そう」
と違和感無く答えると、来水から、
「明日、病院な」
と言われる。
「はい」
と返事だけして、静かに夕ご飯を食べ終え、俺が席を立つと、来水が、
「つかシャワー、昼に浴びた?」
と言いながら一緒に立ってきた。
俺は昼を思い出しながら、
「いや浴びてないけども」
「今日のお風呂は?」
「別にキャンセルでいいかな」
「明日病院行くんだから、お医者さんがクサいと困るでしょ。アタシは平気でも外の人には清潔でいなきゃ」
なんてうるさいんだと思いながら、
「いいよ、別に」
と、できるだけぶっきらぼうにそう答えると、来水が、
「骨折が痛いならアタシが体を洗うから、勿論普通に服着た状態で手でね」
俺は目を丸くしてしまい、
「いや! いいよ! 俺に触ると危険だから!」
「何が危険なんだよ、そんな自分を高圧ガスみたいに言っちゃって。大丈夫だって」
「いや俺は汚いんだよ! 俺なんかに触ると穢れるんだよ!」
「つか元・風俗嬢舐めんなよ、そんな悪魔の遣いみたいな男性に出会ったことねぇわ」
「悪魔は風俗行かないだろ!」
「悪魔こそ風俗来るだろ」
見解の違いだ……いやいや、ここはちゃんと言うしかない。
「俺に触ったらアナフラシキー起こすかも」
「あなふらしきー? あぁ、アナフィラキシーね、いやそんなヤツいないから。中二病過ぎる」
「俺は中二病じゃねぇ!」
「いやどこに沸点? じゃあ握手しようか」
そう言って手を出してきた来水。
俺は無意識にズボンで手汗を拭いた。
来水は笑顔で、
「別に手汗も大丈夫だしさ」
と言いながら強引に俺の手を握ってきた。
俺は緊張で固まってしまうと、
「逆に溜口がアナフィラキシーになった? アタシが元・風俗嬢だから? それ酷くね?」
「いや……来水は別に普通……」
と精一杯だけども世界最小の声で、なんとか言葉を絞り出した。
だって来水が心配そうな顔をするのは何か嫌だったから。
来水は手を放し、ホッと俺がしていると、来水の手は俺の頬を優しく触れて、
「嫌な感覚する?」
と言ってきた。
俺は一瞬、目を親指で潰されるのでは、と思ってしまい、顔を引いてしまうと、
「ゴメン……」
と来水があまりにも悲しそうな顔をしてきたので、俺は咄嗟に、
「いや! 目を潰されると思っちゃっただけで! 別に大丈夫だよ!」
と何か言ってしまうと、来水はなおも悲しそうな顔で、
「そっか、そういうようなイジメもしていたもんね……目潰しのフリではあるんだけども……さすがに訴訟にはならないようにって河合が……」
「違う! そういうことじゃない! 俺がおかしかっただけだ! 俺はおかしいんだよ! ずっと!」
来水は伏し目がちに、
「それは知ってる」
と呟いた。
なんでなんだ、本当は嫌なはずなのに、俺に触れるなんて本当は嫌なはずなのに。
一体何なんだ、元・風俗嬢だから胆力が違うのか、もう訳が分からない。
確かにお医者さんをクサがらせることはダメなことは一理ある、でも身体を洗ってもらうのは……もういい! 覚悟を決める!
「じゃ、じゃあ身体、洗ってくれよ」
「いいのっ? 大丈夫! アタシ慣れてるから!」
何で声が明るくなったのかは理解できないけども、俺は来水と共に脱衣所に行き、俺は裸になって、来水は薄着になって、まあ半袖になった。
正直裸は高校時代にいくらでも見られているので、抵抗は逆に無い。
来水は俺の身体を洗いながら、ふとこんなことを言い出した。
「最後のほうは障がい者専用風俗で働いていたから、身体を洗い流すことも余裕でできるんだよ」
俺はそこから障がい者専用風俗について質問していった。
あまりにも知らないことだったから。




