【03 逆転ストロボライト】
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・【03 逆転ストロボライト】
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俺は叫んだ。
「じゃあ俺にも著作権料払えよ! これ俺の実体験だろうがぁぁああああ!」
「そうだね」
と淡麗と同調した風間来水は俺から目を逸らさずにこう言った。
「じゃあ何でも言って、覚悟はできているよ」
何でも、言って、覚悟は、できているよ……? おいおい、著作権料払うのか? マジか、というか、何でも、って、言ったよなぁ。
「何でもって言ったよなぁ!」
「そう、何でもって、言ったよ」
何だコイツ、余裕そうに……実際余裕なんだろうなぁ! なぁ! いくらでも著作権料払えるということなんだろうなぁ!
金いっぱい持ってて! 一億と言っても一億払えるくらいには金があるんだろうなぁ!
じゃあそういうことじゃねぇだろ!
そういうことじゃねぇんだわな!
男をイラつかせたこと、後悔させてやるよ! 男は今度こそ絶対的強者なんだよ!
「セックスさせろ! 物語の通りにな!」
決まった……これで、風間来水は慌てて「な、何でもなんて嘘でブー」とか豚みたいに言うに決まっている。ぶひぶひ目の前で泣き叫べ、クソ女が!
すると風間来水はスッと立ち上がって、会計の紙を持ってレジに立った。
「逃げる気か! おい! セックスだぞ!」
と俺は追い打ちをかけると、風間来水は表情を崩さず、
「だから今からホテル行くんでしょ? ここのコーヒー代もタクシー代もホテル代もアタシが払うよ。あんま金無いだろ、溜口は」
と会計を軽く済ませて、スマホをイジりながら、喫茶店を出て、
「配車アプリ、すぐ来るよ」
と言うと、すぐにタクシーが出入り口に横付けしてきて、風間来水は一切動じず、近くのラブホテルだと思われるホテルを運転手に告げると、運転手が小声で、
「真昼間から良いですね」
と呟いた。この運転手のソレ、セクハラじゃないか? とか思ったと同時に、俺これから人生で初めてセックスするんだなとか、いやそれはセクハラじゃないか? とか、何かいろんな言葉が脳内から精子が込み上げてくるように溢れ出してきた。もうカウパーなんてレベルじゃない。本汁だ。本汁ってAVメーカーあったっけ? あったら俺、著作権払わないといけないのかな? でも公明選挙みたいに、みんな使っていた言葉を勝手に使われたみたいなことじゃないか、俺はネットで選挙について調べることが好きだから知ってるんだよな、賢いんだよな、芸能人と選挙の関係性をずっとネットで調べている、シコるか芸能人と選挙の関係性を調べている、あとゴシップ、まあそれも全部ゴシップだけども、芸能人のAVデビュー大好きだけども、大体誰という芸能人ばかりでつまらない。もっとテレビに出ていた芸能人がAVデビューしてほしい、というか俺も今日から撮影? 今、撮影開始? ま? まん? これってホントにセックスしちゃうんですか先生、先生、セックスって二十六歳同士がしてもいいものなのでしょうか、いや風間来水が留年していたら二十六歳同士じゃないけども、いや待てよ、俺が留年していた疑惑無いか? だとしたら年下とのセックス……! これは犯罪だぁ! 良くない良くない! 年下とセックスなんて犯罪だぞ! おい! いや俺留年してなかったわ! ギリギリ留年してなかったわ! ちゃんと出席だけはしていたから! でもそのせいで俺は毎日のようにイジメられて。イジメられたくて学校来てるん? とか言われてさ。そんなわけねぇだろ、俺は留年しないために高校行っていたんだわ。ホント陰湿。イジメって陰湿、これ標語になるんじゃないか? 投稿しようかな、健康をテーマにした川柳のコンテストにイジメ標語応募してブレイクしようかな、ブレイクスルー、俺のブレイクスルー、というか処女膜をブレイクスルーつって。いや風間来水が処女である確率低いけども。こんなエロいんだもんなぁ。パンパンだろ、パンパンだからすぐにセックスさせてくれる流れになったのか? いやそれは何か、ちょっと、セックスを舐め過ぎている。舐められ過ぎているだろ、マジで。逆にセックスしたかったとか? というか俺とセックスしたかった? 相思相愛ってわけ? いや俺が想ってないわ! 俺は復讐のセックスだよ! 堕としてやるだけのセックス! 今度こそ男性上位! 今度こそ男尊上位! 今度こそ男が空想した通りにならなきゃおかしいんだよ! よっしゃ! セックス! 脱・童貞宣言! マジのセックスしてやるぞ! こうなんというか、ネチャァって感じに違いない! 小説家は自分の体験したことしか書けないらしいからな! 俺のセックス描写、めっちゃ巧くなるから! セックス描写の神と言われながら直川賞獲ろうかな。言われながらの直川賞凄過ぎる。ついでに芥木賞も獲ろう。W受賞して、俺が本当のWだつって、Wエンジンをこき下ろそうっと。こき下ろすって何か下ネタみたいな言葉だよな。コキもついでに下ろすもあんま良くない。子機卸すなら業者なのに(巧い)。電子業者ね。電話売ってる電子業者ね。電話って今日日売ってるのかな? 今の時代もう全部スマホじゃん、電話ってマジで必要あるのかな? 電話の需要性知りたいわぁ、ホントは女の身体知りたいごんすなぁ(はぁと)って! セックス! セックスするんだよ! おい!
「着いたから降りろって」
「こき下ろすぅっ?」
「いや何言ってんだよ、溜口。もうホテルの前だから。タクシーにお金も払ったから。ほら、いくぞ」
俺は風間来水に袖を引っ張られるまま、ラブホテルの中に入っていった。
無人の受付って何か怖くない? SF過ぎないか? と思うわけだが、風間来水はどんどん手続きを進めていった。
鍵も手に入れて、エレベーターに乗ると思ったら、自販機の前で立ち止まり、あぁ、やっぱり女もファンタとか飲むんだと思ったら、
「溜口。コンドームのサイズどんなもん?」
と言ってきて、急に何言ってんだ、ファンタの味を聞けよと思いつつ、俺は自販機のほうに目をやると、なんとコンドームの自販機で俺はその場で腰を抜かしてしまった。
まさかコンドームの自販機なんてあるとは。SF過ぎないか? もはやSF漫画のセックス・シーンじゃん。藤子先生もそういうシーン、書くんですねぇ、じゃん。
風間来水は一息交じりに、
「もしかすると分かんないとか? じゃあ大中小三つ買っておくからその時になったら自分で確かめろよ」
全く動ずることなく、どんどんコンドームを買っていく風間来水。業者か? いくら余っても町のコンドーム屋さんで売るから平気というヤツか?
「じゃあ行くぞ、ちゃんとついてこいよ。慣れていないんだろうから」
と俺の裸を見透かすような流し目をしてきて、俺は怒りを通り越して既に勃起してしまった。
風間来水と部屋に着くと、なんとシャワールームがガラス張りで、どういう防犯意識? と思ってしまった。
いやむしろシャワー中も相手の動向が見えて、防犯としては最高なのかもしれない。ずっと中から監視できるから。
風間来水はすぐに荷物をテーブルに下ろすと、
「じゃあ先シャワー浴びるから。適当にAVでも見て気分高めておいて。もっとすごいことしてあげるから」
「AVってなんだよ! スマホの電池無くなるだろ!」
「いやラブホテルはAV見れるんだよ、そのテレビで」
「なんだよ!」
「なんだよって何だよ、日本語絶対違うだろ。とにかくシャワー浴びるから」
「シャワーって! ガラス張りだぞ! 大丈夫か!」
「は? これからセックスするんでしょ?」
「女子が簡単にセックスって口にするな! 女子だろ!」
「どういう価値観だよ、つーかさ、女子も普通にセックスするから」
「AVかよ!」
芯食ったツッコミ出せた(巧い)。
風間来水は呆れるような顔をしながら、
「芯食ったみたいな顔してるけど、芯食ってないからな」
芯食ってなかったらしい。残念。
風間来水は続ける。
「つーかさ、もしかするとビビってんの?」
俺はもうこういうことはハッキリ言ってやることにした。
「こんなんおかしいだろ! セックスって愛し合っているもんがするもんだろ! 急にこういうのは良くないだろ!」
風間来水は鼻息で笑ってから、
「溜口が言い出したんだろ」
「いや俺は嫌がると思って言っただけだから! みなまで言わせるな! 野暮だぞ!」
「あんま女子に恥かかせるな、野暮だぞ。シャワー浴びてくるから」
「おい! まるでセックスしたいみたいじゃないか! そういうの何かおかしいぞ! 俺おかしくなっちゃうぞ! おい!」
俺の言うことを無視して風間来水はガラス張りのバスルームに入って、服を脱ぎ始めたので、俺は飛び掛かるように奥のほうの壁とベッドの隙間に入り込み、体育座りをした。
俺はそこで足で頭を挟んで、耳を塞いでなんとか耐えることにした。でもおかし過ぎる、こんなことおかし過ぎる、ホントにSF過ぎるだろ。SFじゃん、これじゃぁさぁ。俺のセックス節目になってしまう。愛し合っているわけじゃないのに。風間来水がシャワーを浴びている音が聞こえる。こんな音だって本来聞いていいはずないのに。付き合っている男女しかこんな音、聞いちゃいけないのに。この世界はおかしい。こんなことが起きてしまうなんておかし過ぎる。脳内ではこんなに言葉が精子ばりに溢れ出るのに(巧い)喋ようとすると全くもって機能不全。ちゃんと言いたい言葉が全然出てこない。チンコから溶岩か(巧い)ホント洋楽過ぎる、展開が。歌詞の展開よ? メロディの展開は邦楽が日本一だけども、歌詞の展開はもうホント洋楽はセックス&セックス、日々セックス精進しておりますって感じで、おりますおりますタクシーここでおりますって言えば良かったかな。ラブホテルに行くなんて富裕層じゃん。俺は全然生活保護なのに。ラブホテルに行くなんてブルジョワ過ぎだし、マジで俺のチンコがブルジョワして参りましたみたいな(巧い)。
「溜口もシャワー浴びてこいよ」
いつの間にかベッドの上で寝転がりながら俺に話し掛けてきた風間来水。バスローブなんてブルジョワ漫画でしか見ないわ。
というかベッドの上ということは俺が位置的に下で、変な女が俺の上にいるんじゃねぇよ、と思いながら、
「なんだよ! それ!」
と俺は叫ぶと、風間来水は少しイラつくように、
「なんだよ、それ、じゃなくて。溜口がセックスしようと言ったんだろ、早くシャワー浴びてきなよ。こっちはいつでもできるよ」
「いいよ! 別に!」
風間が大きく息をつくと、
「まあたいして洗ってないクサい客とかもいたし、そのままでも別にできるけど?」
と言ったところで、俺の脳のシナプスはバチンと当て込んだ。
「オマエ! 風俗で働いていたビックリ女かよ!」
俺が直感でそう荒げると、風間来水はつまらなそうな顔で、
「別に。風俗で働くくらい普通だろ。というか溜口と同じ高校出身なんだから、良い会社に勤められるわけないだろ? それにさ、イジメで学校生活潤っていたバカが頭良いはずねぇだろ」
まるで論破するようにそう言った風間来水。
そういうことか、セックス慣れしていたというわけか、汚ねぇ女だ。
それなら俺のやることは一つ!
「今はまだ焦らす! どうせセックスしないといけないのに、まださせない! 嫌々の先延ばしだ! ずっと俺はオマエの精神をいたぶってやる!」
「それでいいよ、全部覚悟はできているし、そもそも言っただろ? 好きにすればいいって」
と言うと、風間来水はシャワー室というか脱衣所に行って、服に着替えるためだろう、バスローブを脱ぎだしたので、危ない! と思って、目をまぶたで覆った。
その後、服を着た風間来水とLIMEを交換して、現地解散となった。
別れ際に風間来水から、
「お土産」
と言って、渡された大中小のコンドーム三つ。やってやろうじゃん(どれが一番合うか確かめてやろうざん)と思った。




