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ライトノベルがドチャクソ売れたので、俺をイジメていた女子連中に自慢する痛快ざまぁwww  作者: 伊藤テル


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【16 かいこう】

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・【16 かいこう】

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 ある日、普通に一人でレジに入って仕事をしていると、なんと河合愛が一人で来店してきたのだ。

 レジの俺を見るなり、きっとすぐに俺だと分かって、聞こえるくらいのデカい舌打ちをしてきた。

 そうだ、舌打ちするヤツは人間じゃない、動物だと思って心を落ち着かせる。

 でも相手は河合愛だ、さすがに手汗が止まらなくなってくる。

 何度も何度も隠れてズボンで手汗を拭くが、すごい速度で制服のズボンの拭かれる部分がよれていく。

 このことを別のお客さんに指摘されたり、本部にクレームが入ってしまったらどうしよう、ズボンが不潔な店員がいるって。

 河合愛は全部の棚を物色するように列を移動していき、最終的には缶チューハイ一本だけ手に取って、それをレジにデカい音をわざと立てるように置いた。

 ちょうど角度的にイケそうだったので、品物を触らずにレジを通す。

 河合愛はレジに立ってからずっと舌打ちをしている。大丈夫、この場合は人間じゃないから、深いことは考えなくてOK。

 何か難癖つけてくるかなと思ったんだけども、舌打ち以上のことはしてこなかった。

 場合によってはカラーボール投げつけてやればいい、これは女性店長の言葉だ。

 無論意味無く使ったら謝罪案件だけども、バイトなんてそれくらいでいいと言われた。

 どうせコンビニなんていくらでもあるんだから、ここがクビになるだけだから、他のコンビニ会社に勤めればいい、と。

 まあ何事も無くて良かった。

 家には直帰する。来水から『時間通りに帰って来ないとダメだからね、寄り道しないでね』と言われているので、スーパーへ寄りたい時も一回帰宅して来水と言葉を交わしてから、スーパーに出掛けるのが約束となっている。

俺は夕ご飯の料理を作りながら考える。

 きっと河合愛もビックリしたんだろうけども、これからもまた来るだろうか。

 いいや俺が店員やっていれば来ないとは思う。何故なら俺のことを汚らしいと思っているだろうから。

 今回は触れずにレジを通せたが、今度はきっと触れてバーコードを読み込まないといけなくなるだろう。

 そんなことは絶対嫌がるだろうから、来ない、うん、来ない。来ないと思いたい。

 夕ご飯が完成した時には心も落ち着いていたので、平常心の面持ちになり、来水にバレることも無かった。

 また明日、いつも通り午前十時から午後二時まで頑張ろう。

 次の日の、午後一時半頃、このあたりで昼ご飯の客足が一旦引き、スナックを揚げられる時間になっていく。

 そのタイミングでなんとまた河合愛が来店したのだ。

 絶対来ないと思っていたので、目を丸くしてしまっていると、一直線に俺がいるレジに来て、こう言った。

「住民税払いたいんだけども」

 しかも日常茶飯事的業務じゃない。

 俺は即座にバックヤードにいる店長に声を掛けようと、そっちへ向かって歩き出すと、

「テメェがやれよ、雑魚チンコ」

 と言ってきて、本当に最悪だと思う。イヤガラセでこんなことするぅ?

 いやまあ業務だけども、こんなことコンビニでするヤツ、本当にいねぇよ、って、全部終えたあと、店長が言っていた。

 結局店長がオーナーに電話して、やり方を教えてもらったらしい。またオーナーはオーナーで何か見ながら教えてくれたらしい。

 店長が、

「あれ何? もしかすると溜口くんへのイヤガラセ?」

 と問いてきて、俺はつい口ごもってしまうと、

「あういう悪友のノリ、キツいよな。しかも同級生で二十七歳でしょ? こんなん未だにして恥ずかしくないのかね」

 と俺が言いたいようなことを全部言ってくれて、ちょっとだけスッキリした。

 でもずっとこんなことが続くと、本当に参ってしまうな、と思っていると店長が、

「まあ住民税とか一回払ったら一年は払わないから。あんま気にする必要無いよ、あんなんケダモノ、ケダモノ」

 と笑い飛ばしてくれた。

 そう、その通りだと思う。

「有難うございます」

 と一礼すると、店長は、

「溜口くん、真面目過ぎ。裏では客にあだ名付けていいんだよ。アイツ、今後は業務妨害って呼ぼうよ」

 と真っ直ぐ悪口だったので、つい吹き出して笑ってしまった。

 俺はこの店長の下でずっと働いていたいから、変なタイミングでカラーボールを投げつけることは辞めようと思った。

 でもそれからも、河合愛が普通に何度も来るようになり、やっぱり居心地は悪いもので。

 しかしながらそんなことを来水に相談してしまうと、来水が嫌な気持ちになるかもだから、そう易々と相談できる内容でも無いと思う。

 勿論コンビニのバイトを辞めるつもりもない。せっかく俺が繋がった社会だし、店長や後輩の男子高校生との縁もあるし。

 仮に、来水に相談したとして、そうなったらなんと言っても来水から酷く反対されるような気もするし。

 来水は未だにやっぱりコンビニのバイトは辞めてほしそうにしている。

「バイトするより、マッサージ覚えてアタシの身体をほぐしてよ」

 とかよく言ってくる。

 そりゃそっちのほうがある意味お金になるかもだけども、やっぱり俺はこのコンビニのバイトを辞めたくない。

 別に来水からもお小遣いのようなモノはもらっているので、お金に困っているわけじゃないけども、このお小遣いのようなモノという言い方、まあそういう言い方を心の中でしているのは俺だけども、とにかくそういうモノだけじゃ嫌なのだ。

 勿論来水は「今日のお給料」と言って渡してくれる。でも何だかそれは中学生がお手伝いをしたら頂けるお小遣いのように感じて、俺は快く受け取れないのだ。

 厳密には受け取ってはいるけども、特に何かに使うようなことはしていない。今までは一日一食のカップ麺以外、ほぼ全てFANZAに全BETしていたけども、もう一年くらいはFANZAに課金していない。

 だからって今まで購入した分を見ることはあるし、一人でシコるような時もある。でももう新しい動画がほしい欲求は無くなった。というか来水からもらったお金でFANZA買うの、さすがに精神的畜生じゃないか?

 コンビニのバイトで得たお金で、応援したいアーティストの楽曲を購入したりしている。基本サブスクだったり、ユーチューブのMVで聴くけども、本当に好きなアーティストには購入という形をとっている。

 いつも通り夜、二人でアニメ映画を見終えたところで、来水が、

「バイトで悩みとか無い?」

 と聞いてきて、一瞬ドキッとしてしまう。

 つい「あ、あ」とか言ってしまうと、来水が即座に、

「嫌な先輩とか後輩とかいたら、すぐ辞めてきていいからね!」

 と拳を握って殴るようなポーズをした。

 いやいや、

「特に何も無いよ」

 と普通に答えたつもりだったけども、

「何か怪しい」

 と目をじとっと見てきたので、何か言わなきゃと思い、

「男子高校生の後輩が仕事できすぎて、俺は情けないなぁと思うだけ」

 と本当ではあることを言うと、来水が、

「でも幸次の良いところは家で家事もできるところだから! アタシのアシスタントもしてくれるし!」

 そう言って背中を優しく叩いてくれた。

 何か、河合愛のことを騙しているみたいで、胸がチクッと痛くなった。

 その後は突っかかってくることも無く、歯を磨いて、それぞれの部屋へ行った。

 ベッドの中で考える。

 やっぱり河合愛のことは言っちゃダメだって。

 きっとこれ以上何かというか、悪化というか、変なことをしてくることは無いだろう。

 だって今のところ無いんだから、やるなら俺がこのコンビニからいなくなる前に、俺が河合愛から逃げる前に仕掛けてくるだろうし。

 そもそも家だって知っているんだから、家から出てきた瞬間に襲って、何かしでかしてもいい。

 ただただコンビニにやって来て、舌打ちして帰っていくことしか繰り返さないヤツが、急に何かしてくることは無いだろう。

 大丈夫。

 きっと、大丈夫。

 そう言い聞かせて、今日も寝た。

 当然寝つきは河合愛が来た日以来あまりいいものではないけども、まあもっと頑張っている人がこの世にはいるので、俺は恵まれていると心を疑似的に安心させながら、目を瞑っている。


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