↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
90/108

報告①

授業中先生の説明を聞きながらウトウト⋯⋯

眠くなるんだよねぇ⋯⋯

世界史って苦手なの。

なんか聞いてるだけで眠くなっちゃう。

先生はさぁ眠くさせちゃう力を持っていたりして⋯⋯

ウトウトとしていると⋯⋯


フッと目の前が揺らぐ⋯⋯



『まなみ様!』

声をかけられて目を開ける。

「よしろうさん。」

夢の洋館に来てしまっていた。

あれ?なんで?


「申し訳ございません。授業中に」

ん?どういうこと?

「緊急なお話があったのでちょうど眠りの世界に入るとこでしたのでお声がけいたしました」

あー⋯⋯寝そうだったからちょうどいいって呼ばれてたってことかな?

でもよしろうさんから呼ぶなんて、そんなにないことだよね。


「何かありましたか?」

私はよしろうさんを見る。

あ⋯⋯もしかして

「この間の調べが終わったんですか?」

私がハッとして聞くと。

よしろうさんは頷く。


「はい。まずはご報告をと思いまして。組織のボスが分かりました」

え?!ボス?

そんな大切なことがわかったの?!


「そ、それはだれですか?私の知ってる人ですか?」

私が聞くと

よしろうさんは私を見つめ口を開いた

「⋯⋯堂本新一という方で⋯⋯」

⋯⋯聞いたことあるようなないような⋯⋯

あれ?

ケンケンって⋯⋯堂本だよね?


「よしろうさん⋯⋯ケンケンと関係あったりする?」

私が聞くと

よしろうさんは頷いた。

「堂本一族の方でまちがいありません。⋯⋯ケンケン様のお兄様です」

!!

え?!

ケンケンのお兄さん?!

うそうそうそ


「ちょっとまって!どういうことですか?!ケンケンお兄さんいたの?!ケンケンはこのこと知ってるんですか?!」

私は大きな声でよしろうさんに問いかけた。

「⋯⋯ケンケン様のお兄様は、ケンケン様が小さい時に行方不明になっているようです」

え?そうなの?

ケンケンのお兄さんが⋯⋯行方不明?

そうだったんだ⋯⋯


「まなみ様⋯⋯この話をケンケン様にするかしないか分からなかったもので、まなみ様を先に呼んだ次第です⋯⋯」

そういうこと⋯⋯

心配だから、先に相談してくれたってことなんだ⋯⋯

どうしよう。

ケンケンはきっと傷ついて、悩むだろうな⋯⋯

でも⋯⋯


「よしろうさん。私はケンケンに話すよ。ケンケンは、知らなきゃいけないことだと思うから」

私はそう言ってよしろうさんをみる。

これは話さなければいけないこと。

隠してはいけないことだ。


「はい。かしこまりました。まなみ様⋯⋯急にしっかりなさりましたね」

「え?」

「先日まではまだ、不安ばかりが表に出ておりましたが⋯⋯」

よしろうさんはそう言って優しい目で私を見る。

そう私は強くならなきゃいけない。

みんなを守るために⋯⋯

「うん。もう迷わないって決めたの。自分のせいでとか思ってたんだけど。それは違うのが分かったから」


「⋯⋯左様でございますか。実に、たくましくなられましたね」

よしろうさんは深く頭を下げると、その瞳に静かな温もりと敬意を宿して私を見つめ直した。

「ケンケン様にとって、これはあまりにも残酷な真実かもしれません。ですが⋯⋯覚悟を決めた今のまなみ様のお言葉であれば、きっとケンケン様の心にもまっすぐ届くはずです。ケンケン様はそれを受け取れる方であると、私は思います」

よしろうさんの言葉が、胸の奥にじんわりと温かく広がる。

守られてばかりだった私が、みんなを支えたいと心から思えた瞬間だった。


「⋯⋯ではまなみ様、そろそろお戻りください。また、詳細はまなみ様がお手すきになられたら、こちらでご報告いたします」

よしろうさんが優しく微笑むと、洋館の景色がすうっと白い光の中に溶けていく——。

⋯⋯


ハッとして目を開けると、視界に飛び込んできたのは黒板と、淡々と響く世界史の先生の声。

「⋯⋯というわけで、この時代の王位継承問題がだな⋯⋯」


⋯⋯夢から戻った⋯⋯

そっと斜め後ろの席に視線をやると、ケンケンが真面目な顔でノートにペンを走らせていた。

その横顔はいつも通り落ち着いていて、どこか優しくて、頼りになる私の大切な仲間。

だけど、その胸の奥には『幼い頃に行方不明になったお兄さん』という深い傷や寂しさが、ずっと眠っていたのかもしれない。


⋯⋯ケンケン⋯⋯

私の決意を込めた視線に気づいたのか、ケンケンがペンを止め、ふっとこちらを振り返った。

目線だけで「どうしたの?」とでも言うように、優しく眉を下げて微笑んでくれる。

その笑顔を見て、私の胸はぎゅっと締め付けられたけれど、もう迷いはなかった。

放課後。絶対に、自分の口からケンケンに伝えよう。

何があっても、私がケンケンの隣にいて、一緒に受け止めるんだから——。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。