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9/28

女の勘と髪の毛

今日の1限目は古典なんだけど。

今、

竹取物語をやっていて。

桜井くん!が音読にあたったの

「今となっては……

逃れられぬ甘美な密約。

儚い記憶の彼方へと去りゆく、あの熱い夜⋯

思い出すたび、

抑えきれない愛おしい衝動が、身体の底から込み上げてくる……。

そう……あの日、

密やかに芽吹く、小さくも愛おしい

深く青々と繁る……みずみずしき、緑の世界⋯⋯

『あぁ。こんなところに愛おしい⋯』

それを⋯」


!!!!!

なんかドラマチックになってる。

なんか恥ずかしくなってきた⋯⋯

さ、桜井くん。

今日も絶好調。

「み、緑の世界ってなによ。よーちゃん、緑の世界だって」

後ろの席のよーちゃんに振り返って、私はもう我慢できなくて。

「翁が竹を取り行くだけの場面なのに。『今は昔』だけでここまで広げるなんて、桜井くんは本当にすごいねぇ。」

よーちゃんは感心してる。

海なんか、机に伏せって肩震わせてるよ!


「桜井〜先生なんか変な小説読み聞かせられてる気分になっちゃったぞ⋯⋯」

「え〜先生そんな、褒めていただいちゃって⋯⋯」

桜井くん。褒めてない褒めてない!

でも、桜井くんのそういう肯定的な考えいいよね!!


「あれ?まなみ。ピアス変えた?」

桜井くんのドラマチック竹取物語なのに

それどころじゃない感じなのに、後ろの席のよーちゃんが私に言った。

「ん?あぁ。うん。そうなんだ!」

「へー光に当たって綺麗だね。」

よーちゃんはそう言って小さくつぶやく。

「ねぇ?誰にもらったの?もしかして⋯⋯」

えっと。

私は夢の中でおじさんにもらったって言おうとしたんだけど⋯

口に出したらダメかー。

「マ、ママにもらったの。でも一個しかなかったから。一個だけね。」

「ふーん。そうなんだね。しかし、桜井くんは相変わらず面白いこと言うよね。」

「ホントだよねぇ」

よーちゃんにはあとで説明しなきゃだよね⋯⋯。


休み時間

「やだぁっ!嫌な予感!!」

お菊ちゃんが大きな声を出した。


「!!でた!お菊の『女の勘!』」

クラスメートがザワザワっとなる。

お菊ちゃんは、サラサラの髪の毛、華奢な体。

見た目儚い女の子のように見えるんだけど。

男の子。

菊池っていうからお菊って呼ばれていて。


「お菊ちゃんどうしたの?」

「あぁ。まなっ!今日はお昼のA定食。品切れの予感しかしない。」

⋯⋯

お菊ちゃんの能力は、『女の勘』

誰が言ったか、太古の昔から⋯⋯女の勘はよく当たるという⋯⋯。

お菊ちゃんの女の勘はほんとによく当たる。

じゃぁ、今日はA定食は食べられないね。


「ええええ〜っ」

すると後ろから大きな声!!

はっ!!!

「だれか!ハサミ!ハサミ!たっつんの髪!」

ゆうちゃんが大きな声で叫ぶ。

私はハサミを持って、たっつんのもとへ。

立川くん⋯⋯たっつんは、驚くと髪の毛が伸びちゃうの。

驚きが大きいとものすごく伸びるのね。

私はハサミを持って、たっつんに駆け寄ると。

伸びた髪の毛をゆうちゃんと分担してジョキジョキ切る。でもどんどん伸びてくるからきりがないよ。

でもね!でもね!

不思議なの!切り落とすとその髪の毛は消えちゃうの。

なんかエコだわぁ。

すごい。どうなってるのって毎回思う。

でも切っても切っても伸びてくるから⋯⋯。

「たっつん!気にするな?!B定食もあるしさ!ほら、ナゲット食えよ!」

海が、高橋くんからナゲットをもらうと、たっつんの口に詰め込む

「美味しい〜チキンナゲット好き」

たっつんはやっと落ち着くと。

髪の毛は伸びるのを止めた。


「ふうっ。一苦労ね。たっつん、A定食が相当食べたかったのね。チキンナゲットに救われたわ。」

ゆうちゃんは髪の毛を最後綺麗に切り揃えてあげて、いつものながさに戻してあげてる。

そういうのは、ほんとゆうちゃん得意なの。


「A定食食べたかったの?」

私は慰めるようにたっつんに聞くと。

「うん。だって、サバだったから。それに、お菊ちゃんの勘はあたるし⋯⋯」

「そっかぁ。でも次は食べれるからね。」

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