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洗脳と魅了

皆に何かあったらどうしよう!!

こわい!!!

そう思ったその瞬間。


パァァァ

と、辺りが明るくなって⋯⋯

光に包まれる。

突然の光!眩しくて目をつぶる。

え? 

何?!何が起こったの?!

フワッとした感覚がして⋯⋯

恐る恐る目を開けると⋯⋯

ここ⋯⋯は⋯⋯

「あ⋯⋯ここ⋯⋯」

夢の洋館の前にいた。


「まなみ様!」

扉があき、中からよしろうさんが出てくる。

「よしろうさん!!」

なんでここに?

「皆様もどうぞお入りください」

え?!

皆?!

振り返ると

「ケンケン!海!お菊ちゃん⋯⋯桜井君も?!」

皆がいた。


『ピー!ヨッシー!!ちょっと待テ!!コイツラ変ナモノニ!捕まってル!ピー!』

ピーちゃんが海のポケットから飛び出すとよしろうさんの肩にのる。

「⋯⋯あぁ。本当ですね。」

よしろうさんはそう言って、後ろからハリセンを取り出して⋯⋯

「はい!悪霊たいさぁーん!」

バシ!バシバシバシ!

海とお菊ちゃんと桜井君の頭を思いっきり叩いた。

えええっ?!

「念のため!」

そう言ってケンケンの頭も⋯⋯ 

バシ!

ええええっ?!


「いってー!何だこれ!」

海が頭をさする。

「変なものが付いてましたので。祓いました。これは⋯⋯洗脳と魅了かと⋯⋯」

え?

洗脳と魅了?


「ちょ!それよりここどこ?」

お菊ちゃんが驚いて辺りを見回す。 

「まなみ様の館です。現実と夢と⋯⋯時をつなぐ館です。ここは、まなみ様が望めばいつでもはいれる館。

また、まなみ様以外は館に選ばれたもののみが入れる館です」

⋯⋯え?

「館に選ばれた?」

私がよしろうさんを見ると。よしろうさんは優しく微笑む。

「はい」

⋯⋯あ⋯⋯

あの時⋯⋯なんでよーちゃんだけダメだったんだろうってずっと引っかかってた。

館に選ばれなかったんだ⋯⋯

じゃぁ、みんなは選ばれたってこと?


「さぁ、お入りになって、ひとまず座ってください。まなみ様、とてもお腹が空いてらっしゃいますね?」

よしろうさんは、ふふっと笑って私を見る。

⋯⋯確かに⋯⋯


私達は館の中の大きなソファに腰掛ける。

テーブルには美味しそうなハンバーガーとスープ

あとは色とりどりのマカロン。

「皆様も召し上がってください。」


「うわ、うっま! なんだこれ、さっきのショップのより美味いぞ!?」

海がさっそくハンバーガーにかぶりつき、目を丸くする。

お菊ちゃんも温かいスープを一口飲んで、

「はぁ〜落ち着く⋯⋯。ここがまなちゃんの夢の館なんだ⋯⋯」

とあたりを見回して、ほっと一息ついた。

「素敵なお部屋だね」

桜井君も頷いて辺りを見回した。


私も温かいスープを口に運ぶ。じわっと身体の奥まで染み渡っていく美味しさに、さっきまで全身を縛りつけていた冷たい緊張が、少しずつ解けていくのが分かった。

「⋯⋯よしろうさん」

スープカップを両手で包み込みながら、私は問いかけた。

「さっき言ってた『洗脳と魅了』って⋯⋯」

よしろうさんは静かに頷き、マカロンの乗った皿を私の前に置きながら口を開く。

「はい。ただ人を引きつけるだけのものではありません。ターゲットの精神の深層に忍び込み、思考を麻痺させ、自身の望む感情や記憶を植え付ける⋯⋯極めて悪質なスキルです」


ケンケンが苦い顔で口を開いた。

「魅了して操るだけじゃなく、対象の『心そのもの』を上書きしているってことか⋯⋯」

「え、待って⋯⋯じゃあオレ、さっきまでマジで操られてたってこと!?え?!誰に?!」

2個目のハンバーガーを口に咥えたまま、海が青ざめた顔で私たちを見回す。 

「海、SKYどう思った?」

私があらためて聞くと

「え?あーアイドルは飛んではねて大変だなぁって感じ?そこまで興味ないからさぁ」

海らしい答えだった。

さっきと全く違う!


桜井君もマカロンを手に取ると

「ぼくも⋯⋯なんか変だったかも⋯⋯」 


「はい。ですが、モヤは祓われましたよ。もう大丈夫ですよ」

あぁ、さっきのハリセンでかな?


よしろうさんが穏やかに微笑むと、海たちは心底ホッとしたように胸を撫でおろした。


でも——私の胸のつかえは取れなかった。

ポケットに入っている、あのチケットの感触が重くのしかかる。


「⋯⋯よしろうさん。ダイさんが⋯⋯明日のコンサートのチケットを私とケンケンに渡してきたんです。『来なかったら、お友達が心配だね』って⋯⋯」

私の言葉に、館中の空気が一瞬でピンと張り詰めた。


「お友達が心配って……それってオレらのことかよ!!?」

海が大きな声を出した。


私はポケットから渡された関係者チケットを取り出した。

金色の箔押しがされた高級感のあるチケット——

「行かないと皆に何かあるってこと?」

私が呟くと

「もしかしたら⋯⋯その者の能力は、一度『洗脳と魅了』を流し込んだ対象を、何らかの力⋯⋯遠隔でいつでも操ることができるのかもしれません⋯⋯」

よしろうさんが静かな、けれど厳しい声で告げた。

「え?でも、ハリセンで⋯⋯」

さっき皆の頭を叩いたハリセンを思い出す。

「はい。ハリセンの力で祓うことはできたので、今は問題はありません。しかし、いつでも皆さんを操ることができるということも言いたかったのかもしれませんね⋯⋯」

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