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何かが始まる兆し

「え?!転校生?」

お菊ちゃんからもらったチョコを食べながら話をしていたんだけど。

んんん、高級チョコレートじゃん!

私は頬がゆるむ。美味しい♪

で、急にお菊ちゃんが転校生が来るって話をしだして⋯⋯。

「そうなの。しかも2人もなの!」

お菊ちゃんが指を2本立ててそう言った。

へぇ。

「珍しいな。転校生。」

海もチョコを横からひょいっと取って食べながら尋ねた。

私の机の中からヘビ丸君が出てきて、可愛い舌をチロチロと出す。

あれから私の席にはヘビ丸君がいてくれてる。

だから、そのおかげで私の机への嫌がらせはなくなったんだ。

ありがとうヘビ丸くん!


すべすべのヘビ丸くんを撫でながら、

「で、その転校生がなんかあるの?」

私が聞くと。

お菊ちゃんは、待ってました!とばかり、目を輝かせて周りを気にしながら小さい声で答える。

「じ、つ、は。パパの話だと。アスカとケンゴが転校してくるらしいの! 来月からなんだけどね?!」

は?

「だれそれ、お菊ちゃんの親戚?」

私がヘビ丸君を優しく撫でながら尋ねると。

後ろの席の桜井君が身を乗り出してきた。

「ちょっとぉー! SKYのメンバー覚えた? まなみちゃん?!」

え? ご、ごめんなさぁい。覚えてませぇーん。

でででも、CMは楽しみにしてるよ?

慌てて桜井君に振り返り、

「あははは。SKY1号、2号とかじゃないんだっけ……?」

「もー戦隊ものじゃないんだからさぁ!」

そ、そうかぁ⋯⋯。

私は多分⋯⋯ううん、絶対知らないだろうって思って、桜井君の隣の席のケンケンを見つめて、

「ケンケン。SKYって知ってる?」

って助けを求めるように聞いてみる。ケンケンはテレビとか見なさそうだし、きっと味方になってくれるはず。

ケンケンは読んでる本をパタンと閉じて顔を上げると、

「ん? SKY? あぁ、『愛愛愛してる』のでしょ? 知ってる。人気あるよね。」

えー!

「ケンケンも知ってんだぁ⋯⋯」

愛愛愛してるって⋯⋯

何⋯⋯知らない⋯⋯

し、しかも恥ずかしい題名⋯⋯

「まなみ? 知らないの? 最近毎日テレビに出ているのを見るけどなぁ? でもそこまで僕は詳しくないけどね?」

ケンケンはニコッと笑って私を見る。

ちょっとー! 爽やかな微笑み!

ていうか、なんでみんなSKY見てるの?

「あいあいあい〜してる♪ きみきみきみだけ〜を♪ あいあいあい〜してる♪……ってやつだろ?」

海が口ずさみながら答える。

えー! 

知らない〜!

私は闇に紛れて悪を切るみたいな時代劇が好きなのよぅ!

「んもー。ほんっとそういうの疎いよねぇ!」

お菊ちゃんが呆れたように私を見る。

「でででも、桜井君のあの『こじらせ男子』のCMは楽しみにしてるよ?!」

私が慌てて言うと、お菊ちゃんが頷いた。

「あぁあれね。来月から始まるみたい、CM。」

ひぇ~はやい!

てことは……来月からテレビで「舌打ちしちゃったり〜♪」が流れて、さらに教室にはその歌を歌ってる張本人が2人も転校してくるってこと⋯⋯!?

あ、後、詩のモデルも同じクラスにいるね⋯⋯

「あとね、『愛愛愛してる』もぼくの作詞ね?」

桜井君がニコッと笑う。

ひっ! 

ごめんなさい恥ずかしいとか心の中で言っちゃって!

「帰りにSKYのこと詳しくおしえるからぁ!」

お菊ちゃんがそう言ったとき。


『キーンコーンカーンコーン』

と、チャイムが鳴った。

ナイスなタイミングだわー!

私達は慌てて席について授業の支度をする。

しかし⋯⋯SKYってそんなに人気なのね。

でも⋯⋯チョコレートのCMで見たやつがそうかもなぁ。

ボーっと考えながら授業を聞いていると⋯⋯

不意に強烈な眠気に襲われる。

⋯⋯

『まなみ様!』

ん?

あれ? ここ⋯⋯。

辺りを見回すと見覚えのある場所。

夢の洋館だ!

「私⋯⋯」

目の前にはよしろうさん。

ピーちゃんはヨッシーって呼んでいたけど⋯⋯。

よしろうさんは、私の顔を見ると大きな声で話し出した。

『まなみ様。お気をつけください。何か良くないものが動き出している気配を感じます。私も調べますので、まなみ様はくれぐれもお気をつけてくださいね?』

急にそんなことを言われてびっくりしてしまう。

と⋯⋯

『ピー! ヨッシー! 少し落ち着ケヨ!ピー』

ピーちゃんが私の前にパタパタと現れた。

「ピーちゃん」

ピーちゃんの言葉を聞きつつもよしろうさんは私をじっと見つめて言葉を続ける。

『まなみ様。くれぐれもお気をつけて!』

え?

その瞬間⋯⋯あたりが急激に暗くなって⋯⋯

⋯⋯


はっと目が覚めたら⋯⋯

先生が淡々と説明をしている、いつもの世界史の授業だった。

あ⋯⋯夢⋯⋯か。

「まなみちゃん? どうしたのー?」

桜井君が後ろから私にそっと問いかける。

「まなみ。寝てた? もしかして⋯⋯」

ケンケンも心配そうに私を見る。

「ううん。大丈夫だよ!」

そう答えて2人を見たけど⋯⋯。

あんな風に言われれば心配しないわけはない。

後でみんなには相談しようかな⋯⋯。


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