新たな始まり
「まなちゃんおはよ〜!」
教室に入るとお菊ちゃんが手を振る。
私はお菊ちゃんに手を振り返す。
あれから⋯⋯
よーちゃんの一族が学園の運営から退いて、ケンケンの堂本家と、お菊ちゃんの菊池家とで学園を運営することになって。
お菊ちゃんのパパが理事長ケンケンのパパは理事となったんだけど。
一番大きく変わったのは、能力別クラスをなくしたこと。
『色々な能力に触れて、すべての能力を平等に扱い。尊重し合う』
そういう方針になって。
色々な能力を混ぜ込んだクラスに変わった。
でもね、AクラスとかBクラスの何人かは、無能クラスと混ざるのを嫌がって、編入してしまう人もいたんだよね。
でも、ケンケンが、堂々と、AもEも関係ない。さまざまな能力を理解し合うべきだって態度を示したこともあって、大体は納得したみたいなんだ。
だから、学園の警備もしっかりしたものに変わって、学園内は安心して生活できる環境になった。
でも、色々な能力がある世界なんだから、この方針は素晴らしいと思う。
この先色々な仕事につくんだから、色々な能力の人のさ助けてもらうってことじゃない?
そういうのを学ばなきゃダメだってことなんだと思う。
だから、思ったより、暴動起きたりとかもなく。
みんななんとなく納得している感じはした。
ただ上位スキルの存在は変わらないから、やっぱりクラス内でも格差は生まれちゃうのかもしれないんだけどね⋯⋯。
実際格差はある⋯⋯。
だからどのクラスも⋯⋯ちょっとそういうのがあったりする。
でも⋯⋯そういうのもなくなる世界になるといいのになぁ。
そのためにはこういう教育って大切だよなって思うんだ。
お菊ちゃんのパパは理事長になって、そういう学園を目指していくんだと思う。
さすがだよね!
今はまだかわったばかりだから、すぐにはかわらないけど、この先がどんどん理想に近づいていくといいなぁ。
こうやって、私の身の回りは変わってきたんだ。
あ。あと変わったことと言えば、制服も変わったんだよね。
今まではネクタイとかで、クラスがわかるようになってたんだけど、それも廃止。
制服も可愛く変わって。私はちょっとうれしいんだ♪
でも、高等学校に女子が少ない現実はまだまだ変わらずで。
ひとクラスに1人2人しか女の子はいない現実は変わってないんだよね⋯⋯。
私のクラスも女子は私1人。
そういうとこが今後変わっていけばいいのになぁ⋯⋯
そして、私達は、2年生に進級した。
クラスはもちろんみんなシャッフルされて、今まで接したこともないクラスの人たちと一緒になった。
でも。
海と、お菊ちゃん、桜井君が、2年生になっても同じクラスだったの!
あと、なんとケンケンも!
ほかのクラスメートは知らない人だったけど、なんとかうまくやれてる?のかなぁ?
やっぱり、無能スキル=元Eクラスっていうのは、皆は使えない能力と見てるから、クラス内でもやっぱり差別的なのも少しあるんだよね⋯⋯。
その中でも学園の理事長の息子のお菊ちゃんには皆何となく嫌がらせはやりずらいみたいなんだけど⋯⋯
私とか桜井君はね、ちょっと意地悪をされたりしてるんだよね。
海は⋯⋯最近仲良くなった蛇のヘビ丸君がいるおかげで、ビビられてるんだけどね。
「おはよう。」
窓際の後ろから2番目の席に私は座る。
席に座って机の中に手をいれると。
⋯⋯またか⋯⋯
机のなかからゴミ。
今日はお菓子のゴミ。
私は小さくため息をつくと、それをそっと取り出して、教室のゴミ箱に捨てに行く。
こう言うのはあるんだよね⋯⋯。
「まなちゃん?どうしたの?」
斜め前のお菊ちゃんが私を振り返る。
「ん?何でもないよ〜。お菊ちゃん。今日の宿題やってきたー?」
私は話をさっさと変える。
お菊ちゃんは鋭いから心配かけないようにしないと。
後ろの席の桜井君が私に身を乗り出すと。
「まなみちゃん。また?大丈夫?そろそろちゃんと相談したほうがいいよ?」
桜井君がそう私に耳打ち。
あ、ゴミのこと?
うん⋯⋯そうなんだよねぇ。毎朝なんか入ってる。
パンの袋とか⋯⋯お菓子のカスとか。
そんなことして暇だよねって思って無視してるんだけど。後ろの席の桜井君にはお見通しだよね。
でも、同じクラスのケンケンとかに相談すればなんとかしてくれるって思う。
でも、それってどうなの?って思ってなかなか言えないんだよね。
「ありがとう桜井君。ちょっと様子見るね。桜井君は大丈夫なの?」
私がコソコソ聞くと。
「まなみ、さっきのゴミ。」
海が私の横に立った。
ありゃ。海にはお見通しだったか。
「ゴミ?」
私が聞くと
「また、ゴミ入ってたのか?」
海が心配そうに私を見る。
すると向こうの方から⋯⋯ チッ
と舌打ち。
その方にチラッと目を向けると。
数人の男子。
小日向君とその取り巻きだ。
小日向君は、たしか、元々はB組だったのかな?
だから属に言う上位スキルクラスにいたわけ。
何の能力だったかはもう忘れちゃった!
私、興味ないことは覚えないんだ!
「ごみ箱女」
聞こえるように私にそう言ってきた。
むっ!クラスに女は私しかいないから、それは私のことよね?!
私は気にしないように無視をしたけど。
「またあいつか⋯⋯」
海がつぶやく。
桜井君がうなずきながら
「意地悪のスキルの小日向君ね〜♪」
桜井君!聞こえるよ!
「まなちゃん?!もしかしてまた?あのヤロウ⋯⋯」
あぁお菊ちゃんにもバレちゃったか。
お菊ちゃんは学園の理事の息子だから。
こういうことに力をつかうのは良くないから
「大丈夫だから。ね?ゴミなんか捨てりゃーいいの。ゴミ箱もわかんないおバカがいるのは、高校生になっても困ったちゃんですねぇ。赤ちゃんからやり直して学んでくださいね。って思ってるけど。それは内緒ね?」
私はそう言ってニッコリ笑う。
小日向君が嫌な顔をして私を見た。
と⋯⋯
クラスがシーンと静まる。
「おはよう。なにかあったの?」
ケンケンが教室に入ってきて、私達のところへやってくる。
だいたいケンケンがくると、この話は終わるの。
一番の上位スキルをもつケンケンにはみんな逆らわない。逆らえない。
「ケンケン。おはよう。何もないよ。近所にゴミを不法投棄するお馬鹿な人がいて。その話してたの。」
私がそう言って笑うと。
「え?!警察に相談したほうがいいよ。ゴミ箱ではないところにゴミを放置するのは犯罪だよ?」
ケンケンは心配そうにそう言った。
「そうだよねぇ。ゴミはゴミ箱に。幼稚園生でもできるもん♪できない人がこの世に存在するんだねぇ。」
桜井君は嫌味っぽくそう言ってチラッと小日向君を見た。
小日向君は私を睨みつけると、プイっと顔をそらす。
⋯⋯ねぇ。あいつなんなの?
私もだんだん腹が立ってくるんだよねぇ。
「次は投げつけてやりたいけど。証拠がないのよねぇ」
私は小さくため息をついた。




