番外編 〜伝えられない気持ち〜
「で。海?その腕に巻きついてるヘビさんはどうしたの?」
まなみがオレの腕をみて不思議そうに尋ねた。
「うん。今朝玄関前にいて、なつかれた。名前はヘビ丸。」
「へぇ。スベスベねぇ。」
まなみは大きな目を驚いたように開いて、ヘビ丸を触りながらオレを見る。
⋯⋯はぁ。昔っから思うけど。まなみはかわいい。
サラサラの髪の毛に、小柄な体。上から下まで全てがかわいい!
好きだ。本当に好きだ。大好きだ!!
⋯⋯でも言えない⋯⋯。
小さい頃から一緒だからこそ言えない⋯⋯。
はぁぁぁ~⋯⋯。
あれから色々あって、学校は大きく変わった。
学園の経営?ていうのが、洋平のところの息のかかってたところがみんな失脚して、いまは、堂本さんとこと、お菊のとこで、共同で経営をしている?みたいなんだよな⋯⋯
詳しいことは知らん。(よく理解できない)
大きく変わったのは制服。
今までの制服はクラスごとに違うネクタイで、シンプルな制服だったんだけど。平等に能力さまざまを尊重しようっていう学園の方針になった結果、クラスごとの差をなくして男子は紺色のネクタイ、女子は赤と紺色のチェックのリボンになったんだよな。
しかも!女子のスカートも可愛いチェック柄に変えやがってよ。
これは絶対あいつらの要望が詰まってるにちがいない!
だって、こんなにまなみに似合う制服はない!
「ねぇ?なにボーっとしてるのよ。海。ヘビ丸さんはなんでいきなり海のところに?」
まなみがヘビ丸を撫でながらオレを見上げる。
こんな見上げる仕草でさえ。こんなにドキドキしてるのはオレだけなんだ⋯⋯。
「うーん。なんか、オレを気に入ってくれた?みたいだけどわからん。」
「でもさ、蛇は幸運を呼ぶのかも。」
確かに⋯⋯
『ピー!金運ダナ!ピー』
オレのカバンの中から顔を出すピーちゃん。
金運か⋯⋯。
「金運?!なんかすごいねぇ。宝くじでも買ってみたら?」
まなみはヘビ丸を撫でるとそう言った。
「そうだなぁ⋯⋯」
金運か⋯⋯
金運じゃないんだよぉ。オレが欲しいのは。
オレが欲しいのは!まなみなんだよぉ!!
「今日帰りに宝くじを買いに行こう〜!」
まなみはニコニコしながらヘビ丸を撫でる。
「あぁ。行くか!」
「当たったら何する?」
まなみがキラキラした顔でオレを見る。
クソー!可愛いなぁ!!
オレがいつもこんなふうに見てるのは内緒なんだ。絶対言えない⋯⋯。
「まなみは何に使いたい?」
「うーん。どこかリゾート地に旅行行きたい!」
!!!旅行?!
「おぉ!いいなぁ。」
いいに決まってる!海の綺麗な、海辺のリゾート地とか⋯⋯。
可愛い建物が沢山あるオシャレなリゾート地とか⋯⋯。
⋯⋯まなみとならどこでもリゾートだよなぁ。
『ピー!おい!テメー!目がイッテるゾ!ピー』
ピーちゃんがオレの頭をツンツンする。
「いってーな!」
『バカが!何考テンダ!ピー!』
うるせーな!
「んふふふ。2人は仲良しだよねぇ。」
まなみはニコニコしながらオレを見る。
『お前!ヘタレ』
なぬ?!
オレの腕に巻き付くヘビ丸が舌をチロチロ出しながらそう言った。
くそーわかってるんだよ!
でも⋯⋯まなみの隣にずっといたいんだ⋯⋯。
関係が変わるのか嫌なんだよ⋯⋯。
『⋯⋯海⋯⋯すまん。そんな顔するなよ。宝くじ買ってテーマパークでもいけ!』
ヘビ丸は申し訳なさそうにオレを見てそう言った。
「海?ヘビ丸君なんか言ってた?」
「ん?あー宝くじ買えば?だって。当たったら、テーマパークでもいくかぁ。」
「えっ?!行きたい!楽しみ〜。期待してる!行こう!海!」
まなみはニコニコ笑うと歩きだす。
ずっと隣にいたいんだよオレは。
でも、オレはまなみを見つめてため息をついた。
そうは簡単にいかないんだろうなあ⋯⋯。
「かーい?はやく!学校遅刻しちゃうよ?」
「おー!」
いつものようにオレはまなみの隣で学校に向かう。
伝えることは⋯⋯まだ、できないけど。
ずっとこの隣でいられますように。
オレはヘビをさすってそっと祈った。
『おれは、金運だぞ?』
ヘビ丸がポソっとなんか言ったけど聞こえないふりをした。
番外編をお読みいただきありがとうございます!現在、第二部の構想も準備中ですので、楽しみに待っていただけると嬉しいです!
面白いと少しでも思っていただけたら嬉しいです。




