潜入捜査
「ここはね僕の秘密の隠れ家なんだ。ここで、色々なことを考えるの。」
町のハズレの一軒家。パッと見は小さなお家なんだけど⋯⋯
中に入ると秘密の扉があって、地下に続く入り口。
地下へ進んでいくと。
「広い⋯⋯」
広い部屋があった。
「何でも揃ってるから。」
お菊ちゃんはそう言って大きなソファに私達を誘導した。
「なぁ。ここはお前の家?なのか?」
海が聞くと。
「うん。まぁね。家の事業の手伝いの報酬で自分だけの秘密基地を建てた感じ?まぁ、ほらケンケンみたいなバリアーとか?結界?とかそういうのはないから、見つかっちゃうかもしれない恐れはあるけど。でもまぁ、ケンケンがそこはフォローしてくれてるでしょ?」
お菊ちゃんがケンケンを見ると。ケンケンは小さく頷いた。
おお。さすが⋯⋯。
「じゃぁ、しばらくは立て籠めるってわけね。」
桜井君がキョロキョロ部屋を見回してつぶやいた。
「でも広いねぇ。熱帯魚かわいいねぇ」
たっつんが言うと。
「⋯⋯かっこいいって言えっていってるぞこの熱帯魚⋯⋯。お前んちの魚喋るのか?」
海が熱帯魚を見ながらそう言った。
え?
皆で熱帯魚の水槽の前。
「ねぇ海くん。熱帯魚しゃべってる?」
お菊ちゃんが海に聞くと。
「え?ああ。餌を先月のに変えろ。今のはいまいちだ!って言ってるぞ。」
えええ?うそぉ。何も聞こえないんだけど⋯⋯。
「そう。先月のと今のと違うんだよ。餌⋯⋯」
お菊ちゃんが信じられないように海を見る。
ちょ、ちょっとまって。
え?!
「が、海さぁ。お魚の話がわかるの?!」
私が海に聞くと。
「え?!皆も聞こえてるんじゃないの?今だって、かわいいお友達がきたー!だぁれ?って言ってるぞ?」
海はポカンとした顔をしてみんなを見る。
聞こえないよ。そんな声⋯⋯。
『ピー!やっとパワーアップしたか!バカ海!』
え?!
突然大声を出したピーちゃんが得意げに海の頭に乗る。
『コイツは!鳥だけジャナク!生き物とハナシヲデキル能力ナンダヨ!やっと目覚メタナ!ピー』
えええええっ?!
「そーなの?!」
海が一番驚いていた。
『ピー!そもそも、まなみの夢の館で、力を貰ッタノニ!ケンケンは順調にパワーアップシテテ、お前はイツマデモ変ワラナイカラよー!後で、ヨッシーに文句イイニイクトコだったんだケド。まぁヨカッタ!オセーンダヨ!大事なものを守ロウトシタ時ニ、ヤット覚醒するナンテナ!ピー』
どういうこと?
「ヨッシーってなんだ?」
海はまずそこかぁってとこに突っ込む。
まぁ私も思ったけど⋯⋯。
『ピー館にいた、じじーダヨ!ヨシロウだから、ヨッシーだ!ピー』
衝撃な事実。ヨシロウさんなんだね。
「で、オレのスキルって⋯⋯」
『ピー動物や生き物と会話デキル能力だろー!鳥ダケ限定ノワケアルカ!アホが!ピー。今マデお前の中で眠ッテタンダヨ!ピー!』
ピーちゃんがドヤ顔で海を見る。
も、ものすごい能力じゃなない!!
そんな能力が隠れていたわけ?!
「じゃぁさ!ってことはさ!街中の野良猫やカラス、ドブネズミまで味方にできるってこと!?」
とお菊ちゃんは目を見開く。
『ソウナルナ!タダ!海が信頼されレバナ!ピー』
ピーちゃんが元気よく答えた。
「そうか!⋯⋯いろんな生き物君たちに協力を頼んで、洋平君のこととか、まなみちゃんのママの居場所を探ってもらえたらいいね!」
たっつんがそう言って私を見る。
!!!そうか!
「そりゃいいよー!虫ならさぁバレなそう。蜘蛛とかかっこよくない?!」
桜井君も興奮している。
「そうと決まれば海君!うちの裏の虫とか動物とかに話をしてみようよ!うちの裏は林になってるから、なんかしらの生き物はいるから!」
『でも、海ノコトヲ気に入ラナイト!シカトされるぞ!結構気難シイカラナ!ピー』
ピーちゃんがそう言いながら、興奮気味のお菊ちゃんと海と外に向かう。
ケンケンも念のために同行した。
ケンケンの結界でお菊ちゃんちとその林のあたりまで守られてるんだって。
大きく結界をはると、それもまたよーちゃんに気が付かれやすいから、結界を張ってることにきがつかない規模のを張ったとか言ってるんだけど。
なんだかみんなすごいよ⋯⋯。
残された3人はひとまずソファに座って一息ついていた。
「ボク⋯⋯役に立てないなぁ」
たっつんがポソっと言った。悲しそうなたっつんを桜井君が覗き込むと。
「え?そんなことないじゃん。たっつんは、ながーく伸びた髪で、悪いやつ縛ってやりなよ!何も使えない能力はむしろぼ、く、じゃ〜ん。」
そう明るく言う。
え?!
私は慌てて桜井君の前に立ち
「桜井君?!そんなことないよ!何でもポエムみたく読めちゃうんだから。みんなが優しい気分になるんだよ?それにさ、暗号見たら逆に普通に読めちゃうかもよ!」
そう桜井君に言うと。
桜井君はにっこり笑って
「ん〜どうかねぇ。そうだといいなあ。」
そう言った。
「いやーほんとに喋れるのね!びっくりしたよ。」
お菊ちゃん達が戻ってきた。
「どうだった?」
私が聞くと
「うん。色々頼んでみたけど。どうかなぁ。まずカラスとかは何かくれって言うしさぁ。」
『知力高いカラスに舐めラレテ、イルンダゾ!バカの事は分カルンダナ!ピー』
ピーちゃんがバカにしたようにそう言った。
「うるせーな!でも、まなみの為ならやってやるってスズメが言ってたぞ。お前人気者だな。」
『ピー。海のコトはシカトで。まなみの為ダカラ協力をスルッテヨ!!ピー』
えー?
スズメ?
「どういうこと?」
私がキョトンとしていると。
お菊ちゃんが興奮して口を開く。
「まなちゃんのね、ママの話を海君がカラスにしてたら、スズメが寄ってきてさ、ぴーぴー言うのね!で、海君に通訳させたらさ!『まなみ!かわいいから大好き!いつも庭の木に止まってまなみを見てた!!まなみのためなら力貸す!』って言うの!まなちゃんの家は水が沢山あるし!大好きなんだって」
えええ?!
確かに庭の木にスズメはよくいたなぁ。
気にもしたことなかったかも⋯⋯。
「スズメに好かれるとはすごいねぇ。まなみちゃん。」
桜井君が感心して私を見る。
「蜘蛛も、まなみの家で元気に暮らせてるから恩返しとか言ってたぞ!」
え?!
あーもしかして!
「ママがさ、蜘蛛は益虫だから、むやみやたらに殺さないってよく言ってて。それかなぁ??」
「それだな。」
海は感心したようにつぶやいた。
『結局オメーは使エネーナ!みんなまなみの人徳ジャネーカ!ピー!』
ピーちゃんがバカにしたように海の頭をつつく。
「でも。お話できるのは海なんだから!海がすごいんだよ?」
私が言うと。
海は照れたように頷いた。
「じゃーあとは蜘蛛さんやスズメさん達の潜入捜査の結果待ちだね!ちょっとお腹になにかいれようか!」
お菊ちゃんはニッコリ笑って皆にそう言った。




