嘘の親友
お風呂に入ってさっぱりして
ケンケンの用意してくれた服を着た。薄いピンク色のワンピースは私にピッタリだった。
すごくかわいい。
食堂に向かうと
皆がもういた。
「まなちゃん!かわいい!ワンピース!えー!それ。Sociaのじゃん!」
「え?Socia?お菊ちゃんなぁに?それ。」
「まなちゃん知らないの?高級ブランドだよぉ。
⋯⋯ケンケンってば、センスいいなぁ⋯⋯しかも他にもあるって言ってた⋯⋯。」
最後の方はポソっと言ってたけど。
「なんか言った?」
「ううん。何でもない。よく似合ってる!今度さ!お揃いのバッグプレゼントさせて?!
まずは!なんか食べよ?もうさぁしばらく閉じ込められていたから、ろくなもの食べてなかったの⋯⋯。」
そうだよね。あんな薄暗いところに閉じ込められていたんだもん。
「お菊ちゃんちょっと痩せたもん。」
お菊ちゃんはもともと細身。中性的な顔立ちなんだけど。ぱっと見は女の子にも見えちゃうんだけど。
喋り方もおっとりしてるしね。
でも、閉じ込められていたせいか更に痩せた感じがして。痛々しく見えた。
「でも。夢で一度会えたのがよかった。まなちゃんのスキルだよね?それ。まなちゃんに伝えることができたから。少し安心してたんだ。助けてくれてありがとう。」
お菊ちゃんは私の手を握る。
「うん。本当によかった。」
「でもさ、桜井君来たときはどうしようかと思ったよ。助けに来て捕まるとか⋯⋯。で、気晴らしにしりとりしようとか言うしさぁ⋯⋯。」
お菊ちゃんが、ジト目で桜井君を見る。桜井君はキョトーンとした顔で答えた。
「えー?だってさ、気持ちは明るく持たないとだからね♪そもそも、ぼくはまなみちゃんを信じてたからさ!」
でも良かった。
そんな話をしていたら。
ぐぅぅぅ。
お腹がなってしまった!!!!は、恥ずかしい⋯⋯。
『ピーまなみー!メシメシ!!ピー』
ピーちゃんがテーブルの上でマカロンをかぶりついて手招きした。
「でも何とか助け出すことができてよかった。心配したよ。」
ケンケンが朝食を食べながら私たちを見る。
「でも。桜井くんから話を聞いたけど⋯⋯ゆうちゃん⋯⋯びっくりしたよ。」
お菊ちゃんがつぶやく。
うん。私も今でも思い出すと悲しい気分になる。
ゆうちゃん⋯⋯。まさか、よーちゃんの家の者で、よーちゃんの指示で動いていたなんて。
あの無表情な顔。私のことを冷たく見たあの目⋯⋯。
思い出すと、考えると涙が出てきてしまう⋯⋯。
「これは、僕のミスだ。彼女のことは最低限調べたんだが⋯⋯その時は掴めなかった。まさか西家の者だったとは⋯⋯。これも記憶操作されていたのかもしれない。危険な目に合わせてごめんね。」
ケンケンが頭を下げる。
「⋯⋯ケンケンは悪くないよ。私達だってゆうちゃんのこと全く疑ってなかった⋯⋯。」
私はそう力なくつぶやいた。
ずっと友達だと思っていたんだけどな。何か変に感じることなんか今までなかったのにな⋯⋯。
あんなに楽しく話して、2人だけの相談とか、内緒話とかしてたのに⋯⋯。
みんなみんな嘘だったんだよね⋯⋯。
「ほんとにショックだよ。わたし⋯⋯人を見る目なかったのかなぁ。」
お菊ちゃんも悲しそうにつぶやく。
「⋯⋯あのね。しょうがないと思う。怪しいって思って友達にならないでしょ?それだけ、ゆうちゃんが⋯⋯ぼくたちを騙すのがうまかったんだと思うから。」
たっつんが私達にそう言って。悲しそうに笑った。
皆が悲しいって悔しいって思ってる。
忘れないよね⋯⋯。
でも。もう仕方がないこと⋯⋯。
もうどうにもならないことなんだ。
「くやしいけどな。もうあいつは忘れよう!誰にも責任はない!」
海がキッパリと言った。
ピーちゃんがマカロンを頬張りながら飛び上がると海の頭の上で大きな声で言った。
『ピー!海!お前!!たまには良コトヲ言ウジャネーカヨ!ピー』
「こら!ピーちゃん!マカロンのカスが頭に落ちるだろーが!」
そうだよね。誰も悪くない。もう忘れよう。私達は前に向かっていくんだから!!
食事が終わって私はよーちゃんちで起きたこと、聞いた話をみんなに話す。
「洋くんとうとう本性現したね。しかも。嫁にしたいだなんて!ずうずうしい!絶対渡さないんだから!!」
お菊ちゃんはすごく怒っている。なんか違うことに特に怒ってるんだけど⋯⋯。
「ねぇまなみ?洋平くんは、次期当主って言ったのは本当に?」
ケンケンが私を見て尋ねた。
「うん。言ってたよ?一番能力の強い自分が次期当主って決まってるって。」
「そう⋯⋯妙だな⋯⋯。」
ケンケンは首を傾げる。




