帰還
「あはは。テーブルの上に出るとは⋯⋯。いててて。ティーカップ割ってごめんなさい⋯⋯。」
慌ててテーブルの下に降りる。
「まなみ!心配したよ⋯⋯」
ケンケンはそう言って私を抱きしめた。
え⋯⋯。
いきなりのことだったから驚いたけど。
でも。戻ってこられたんだ⋯⋯
「ちょっとぉー!近すぎ!わたしも!」
お菊ちゃんが割り込むように私を抱きしめた。
⋯⋯わぁ。
「まなちゃん!ありがとう!やっぱり!!決めた!ケンケンになんか!まなちゃんは渡さないんだから!」
ええっ?!
お菊ちゃんがよくわかんないことを言っているんだけど⋯⋯
後ろから
「まなみ⋯⋯心配した。」
海の声。
首だけ後ろを向けると。
海が泣きそうな顔して立っていて。
「海⋯⋯」
「戻ってこないから。後悔した。一緒にいけばよかったって。」
「うん。ごめんね。心配かけて。」
と⋯⋯
『ピィー!!オレには声カケナシカァ!この薄情野郎!ピー』
ピーちゃんが顔の頭をつつく。
「いててててて。ピーちゃんやめろって!心配したに決まってるだろ!!!」
海が頭をつつかれながら答える。
「ちょっとぉ。ぼくは?ぼくは無視なわけ?」
桜井君がそう言うと。
「そんなことないよ!心配してたんだよ?良かった!戻ってこれて!」
たっつんが長い髪の毛を引きずりながら桜井君に駆け寄った。
「うわぁ。ハサミハサミ!!!海くんも切って!!!すごいことになってるから!」
「おわっ!!!マジか!」
桜井君と海が後ろで大騒ぎ。
良かったぁ。戻ってこられた。みんな変わらない⋯⋯。
でも。すごく疲れちゃって⋯⋯。
なんだか気が抜けちゃった。
「まなみ?!」
「まなちゃん?!」
2人の声を遠くに聞きながら⋯⋯私はそのまま意識を手放した。
⋯⋯
⋯⋯
『まなみ。力が落ち着いたわねぇ。』
遠くから声がする。目を凝らすと⋯⋯
愛おしそうに大きなお腹をさする女の人の姿。
あ⋯⋯あの時見た⋯⋯お母さんだ。
『大丈夫?なんかあった?』
後ろから優しそうな男性の声がした。
『ふふ。さっきね。未来の娘に会ったのよ。まなみの力を返してきたわ。』
『ん?そうなの?』
『ええ。あの子の力ね。時空を超える力だったわ。そんな能力もあるのね⋯⋯。とても強い力。
でも⋯⋯とてもかわいかったわよ。元気そうだった。これから少し大変かもしれないけど。大丈夫よ。私達の選択は間違えてない。』
『そうなんだね。でも。僕も会いたかったなぁ。未来の娘に⋯⋯』
『んふふふ。』
2人はにこやかにほほ笑みあって、愛おしそうにお腹の膨らみを撫でる。
『この子の未来が幸せであってほしい。』
『⋯⋯そうだね。乗り越えてほしい。』
⋯⋯
⋯⋯
優しい声と静かな時間だった。
私はそのまま深い眠りについた⋯⋯。
ん⋯⋯眩しい⋯⋯
目が覚めるとそこは⋯⋯
ん?ベッドの上?
⋯⋯あれ。制服のまま。
はっ!ここは?!
もしかして今までのが全部夢?!
体を起こすと。あたりを見回すと窓から眩しい太陽の光⋯⋯。
窓だ⋯⋯ここはあの部屋ではない⋯⋯。
あの窓も何もないあの部屋⋯⋯あそこではない。
よかった。夢じゃなかった!現実だ!
ホッと一息ついた時
「まなみ?目が覚めた?体調は大丈夫?」
「まなちゃーん?大丈夫?」
ケンケンとお菊ちゃんが部屋に入ってきた。
「あ!2人とも。うん!もう大丈夫!体もスッキリしてるよ!」
私は起き上がって2人の元へ。
「よかった。着替え用意したんだ。気に入らなかったらほかのもあるから言って?お風呂は奥にあるから支度しておいで?」
ケンケンは優しくそう言って笑った。




