夢と現実と
もうどうしていいか分からない。
ここからは出られないし。
ソファでうずくまりどうしたらいいかを考えても何も浮かばない。
あの時ああしてればとかそんなことばかり考えて後悔ばかりしている。
こんな能力なんかなきゃいいのに。
こんな能力この世には必要ない。
私なんか産まれてこなきゃこんなことにならなかったのに⋯⋯。
でも⋯⋯だからって私が消えればいいとかそういうことじゃないよね⋯⋯。
私を大切にしてくれた人がいて。心配してくれる仲間がいる。
でも。もしもの時は⋯⋯。
そんなことを考えながらウトウトしてしまった⋯⋯
『まなみ!まなみ!ピー』
頭の上から声。
え?
ハッと顔を上げると。そこにはピーちゃん。
「ピーちゃん!?良かった!無事だったの?」
『まなみ!オレは今、桜井とお菊と一緒にイルカラ!ピー!2人も無事ダゾ!』
ピーちゃんは私の肩に乗る。
「2人共無事?よかった。」
ホッとした瞬間⋯⋯後ろから。
「まなみ様」
声をかけられて振り向くと。
あ⋯⋯ここは夢の洋館だ。
おじいさんがいた。
「夢か⋯⋯。」
ホッとしたような、でも残念なような気分。
「ここはあなたの館です。夢であり現実。少しお疲れですね。座ってください。」
おじいさんはそう言って私をソファに座らせる。
『ピー!ナンカ食え!!空腹は、ロクナコトカンガエネーゾ!ピー』
ピーちゃんはテーブルの上のマカロンとクッキーを持って私の手に落とす。
「ありがとう。」
甘くて優しい味。こんなの食べたのはじめてだよ⋯⋯。涙があふれてきて。
しばらく無言でマカロンとクッキーを食べる。
「まなみ様。今は西家に囚われているとのことですが。どういたしますか?」
おじいさんがそう言って私を見る。
私はおじいさんを見つめて。
「私が、バカだったの。忠告されても簡単に考えちゃって。ゆうちゃんも本当は向こうの仲間だったなんて気がつかなくて⋯⋯。」
思い出すたび涙が溢れる。
「はい。でも。人を信じられるあなたは正しい心を持っていると言って良いのだと思いますよ?」
おじいさんは優しい目で私を見てそう言った。
「あなたのお母様も素直な優しい方で。信じたものはとことん信じてしまうお人好しで。でも。駄目だった時は、振り返らない。次に進める強い力の持ち主でした。」
私のお母さんの話⋯⋯?
「⋯⋯ずうっとずうっと遠い記憶だからまなみ様は思い出せないかもしれませんが。よくお腹の中のあなたに声をかけていました。あなたが幸せになれるように⋯⋯あなたが自分の意思を貫けるように⋯⋯。」
と、その時ピーちゃんが叫ぶ。
『まなみ!目をツブレ!ピー』
ピーちゃんがそう言って私の目の前に飛んでくる。
え?!
目をつぶる。
⋯⋯
『かわいいかわいい。ママの宝物さん。ママの大切な大切なまなみ。あなたの力が素敵なことに使われるように⋯⋯。あなたが優しい気持ちを強く持って生きていけるように⋯⋯』
誰?
優しい声。なんか遠い昔に聞いたことのあるような声。
『大丈夫。あなたは一人じゃないから。』
目の前にうっすらと女の人が見える。大きなお腹をさすっている。
髪の毛の長い。目の大きな綺麗な女の人。
「あ⋯⋯」
私は声を出すことはできない。ただ、その人を遠くから見つめるだけ。
すると私の周りに温かい風が吹く。
大きなお腹の女の人は私の方を見た。
目が⋯⋯合った?
『あなたは?』
私をじっと見つめるその人は。何かを考え込んで。
また私を見つめ。愛おしそうに微笑む。
『あぁ!まなみね?んふふふ。私とあの人にそっくり。すぐわかったわ。
⋯⋯何か迷ってるの?大丈夫よ。あなたの力を正しいことに使ってね?あぁ、力が少ないわ。あぁ、それならお腹の中のこの子の力を少し未来に持っていってくれる?とても強い力なの。今はまだ少ない方がいいから。』
え?!
その瞬間私は光に包まれる。
暖かくそして優しい光。体の中からどんどん力がわいてきて⋯⋯。
そのまま目を閉じた。
『ピーまなみ!!起きろ!ピー』
え?!
ピーちゃんにほっぺたをつつかれて。目を開ける。
「ここは⋯⋯」
夢の洋館⋯⋯。
「まなみ様?大切なものを取り戻したみたいですね?」
おじいさんは優しく笑った。
体から何か分からない力が湧いてきてる気がする。
『ピーまなみ!オマエの力が!戻っタンダ!!ピー』
ピーちゃんはそう言って私の頭の上に乗ると。
『おかえり!まなみ!ピー』
嬉しそうに飛び跳ねた。




