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西家の秘密

「よーちゃん⋯⋯駄目だよ!お菊ちゃんと桜井君にひどいことしないで!」

「それはまなみ次第じゃない?」

フッと笑うよーちゃん。

「2人は帰してあげてよ。だってよーちゃん私だけが目的なんでしょ?」

私が言うとよーちゃんはニッコリ笑って

「そうだね。でも。まなみがちゃんと言うこと聞いたらかな?」

そう言った。

嫌な笑みだった。

「まなみの能力はさ少しずつ戻ってきていて。特に野外活動の時とか⋯⋯。

学園のあの山にはさ、実験室があって、色々な実験をしてるんだよね。うちの一族は学園も握ってるから。そういう特殊な能力の者をあつめてさ。実験していたんだけどね。1匹逃げちゃったらしくてさぁ。」

よーちゃんは楽しそうに笑って話を続ける。

「野外活動で、ちょうど山に行くしその時にでも処分するつもりでいたんだけと。そしたらさぁ。まなみのスキルで!あんなことになるとはね。あの頃からだんだん目覚めてる感じがあって。ゾクゾクしたよ。」

「実験って?」

私が尋ねるとよーちゃんはおかしそうに笑って答える。

「色々だよ。まぁ生物兵器とかかなぁ?最近は。」

え?!

いったいこの人は何をしたいの?

「そんな実験⋯⋯」

「力があるだけじゃぁ。世界を自由に回せないじゃない?邪魔なものも処分しなきゃいけないしさ。いろいろだよ。まなみはさ、これから僕と一緒にいるわけだから、また詳しく今度話すね?」

目の前で話すよーちゃんは誰?

私の知っているよーちゃんじゃない。

「ゆうちゃんだって⋯⋯本当に、よーちゃんの一族の⋯?」

「そうだよ?僕の一族はさ。当主になれるのはスキルが一番強いものと決まっていて。本家の者がなるとかそういうことはないんだ。能力の低いものは高いものへ絶対服従なんだ。能力が高ければ高い地位につく。僕達のスキルに刻み込まれているんだ。

現当主はさ、今体調が悪くてさ。ねぇ?次期当主って誰だかわかる?」

よーちゃんは私を見つめる。

⋯⋯

「僕だよ。」

一族で一番力の強い者⋯⋯。目の前のよーちゃんは次期当主⋯⋯。

「よーちゃんは⋯⋯一番力が強いの?」

「うん。そうだよ?次期当主を決めるのってさ、能力のある者同士が集まって、力を比べるんだよ。大抵はさ自分より強い力のある者と認識されれば服従の関係になるんだけどね。力のつよい者同士はね。結局潰し合うんだよね。そうやって生き残る一番力のあるものが当主になるんだ。そうやって勝ち上がった。だから力の強いものに服従なんだよ。心からの服従なんだ。同じ一族のスキルとして、強いものに従うことになっているんだよ。」

潰し合うって⋯⋯。当主になるためにそんなことを⋯⋯。

だから、ゆうちゃんも逆らうことができないんだ⋯⋯。

「まなみの能力は僕の能力をさらに高めて。わが一族をさらに強くするんだよ。最初死んだはずの東家の夢の能力者が生きているかもという話を聞いたときは。心が震えたよ。生きていてくれてありがとう。まなみ。」

よーちゃんはそう言って私の頭を優しく撫でる。

「触らないで。」

私はソファから立ち上がり、よーちゃんと距離をとる。

「このままここにずっといるんだから。仲良くしたいな?大切な幼馴染なんだし。」

心にもない言い方。

よーちゃんは私をジッと見つめて

「うそ!私の幼馴染じゃないじゃない?!」

記憶を操作して幼馴染になっていただけ。

よーちゃんは私を見てフッと笑うと楽しそうに言った。

「でも。まなみは当主の妻になるんだからさ。」

え?

急にそんなことを言われて私は目を見開いてよーちゃんを見る。

どういうこと?

「そんな驚いた顔しないで?僕のために能力を使うなら。妻としてそばにいたほうがいいと思ってさ。いい考えだろ?ただ、まだ能力が復活してないから。はやめに目覚めさせないといけないかな?」

よーちゃんは私の腕を引っ張り私を引き寄せる。

「来ないで!」

よーちゃんの手を力いっぱい振りほどく。

「⋯⋯。あんまり言うこと聞かないと、君のママだってどうなるか知らないからね?」

「え?」

ママも?

「東家もバカだよね。あんな一般スキルの水の能力者なんかに任せるなんてね。

だからすぐ見つかっちゃったんだよ。

せめて堂本家にでも預けたらよかったのに。

⋯⋯でもまぁ。堂本家は中立な立場だからむずかしかったのかなぁ?」

「ママにはひどいことしないで!」

「だから。まなみ次第でしょ?今はさ、うちで監視してるよ?今日はさ、僕のうちにみんなで泊まりに来るって電話しておいたよ?」

ママのことは把握してるってよーちゃんの言い方。

私はもう何も言えなくなっていた。

「もう遅いからさ。今日はもう休んで?鍵は内側からあかないようにできてるからさ。僕以外は。また明日話そう。ゆっくり寝てね?おやすみ。」

よーちゃんはそう言って私の頭を撫でると、出ていった。

⋯⋯もう、逃げられないよって後ろ姿が言っているように見えた。

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