卵サンド
⋯⋯どうしよう。捕まっちゃった⋯⋯。
連れてこられた部屋は2階。とても豪華な部屋。
ふかふかの絨毯に広くてフワフワのベッド。
豪華なソファが置いてあって。大きなクローゼット。
お風呂もトイレも部屋についている。可愛いぬいぐるみが棚においてあって⋯⋯。
でも⋯⋯窓はなく。外を見ることはできない。
1人で呆然としている。
「あ!携帯!」
慌ててポケットから携帯を取り出す。
⋯⋯え?!圏外⋯⋯。
圏外になっていた。
連絡できない⋯⋯。
「まなみの部屋は携帯繋がらないようになってるんだ。ごめんね。」
後ろから声をかけられて振り向くと。
よーちゃんがそこにいた。
「お腹すいたよね?卵サンド好きでしょ?昔っから好きだったよね?」
よーちゃんがテーブルにサンドイッチを置く。
黙って俯く私の前によーちゃんは立つと、私の顔を覗き込む。
「どうしたの?まなみが、自分からきたんじゃない。よく考えたら危険って分からない?普通。あー、親友のゆうちゃんがいたから平気かと思ったのかな?
ふふふふ。彼女はうちの一族の者だとも知らずにね?相変わらず、考え方が甘いよねぇ。」
⋯⋯嫌な言い方。よーちゃんってこういう人だった?
小さい頃から知っている私の幼馴染のよーちゃんは⋯⋯あ⋯⋯全部記憶操作だったんだよね⋯⋯。
「食べないの?美味しいのに。食べなよ?」
よーちゃんはサンドイッチを1個手にもつと、パクっと食べた。
「もしかして毒でも入っていると思った?まなみの好物にそんなことするわけないでしょ?それにさ、まなみは大切な僕の物なんだからね。
⋯⋯ちょっとやることがあるから、いったん行くね?あ。着替えはねクローゼットに色々揃えてあるからさ。よかったら着替えて?
また来るよ。」
よーちゃんはそう言って笑うと。
部屋を出ていった。
すぐ!部屋を出ないと!
扉に向かうけど、扉は開かない。
トイレもお風呂も窓も1つもない⋯⋯。
豪華な部屋だけど。まるでここは⋯⋯監禁場所みたい。
お菊ちゃん。桜井君⋯⋯ピーちゃん⋯⋯。
どこにいるんだろう。
扉を叩いてみる。びくともしない⋯⋯。クローゼットを空けてみるけどこんなとこからは出れるわけないよね。
沢山の洋服がかかっている⋯⋯。よく見るとみんな私のサイズだった⋯⋯。
なんとかしてどこか出れそうなところを探す。
でもそんな所はなかった。
ここから出られないの?
あの時やっぱりケンケンの言うことを聞いていたらよかった!
でも。ここに来てしまったことはもうしょうがないんだ。事実なんだもん⋯⋯。
どうしていいかわからず。部屋にあるソファに座る。
どうしていいかわからず途方に暮れていると。
ガチャという音を立てて扉が開いた。
「よーちゃん⋯⋯」
「卵サンド食べてないの?おなか空かない?それともスイーツ持ってこようか?」
よーちゃんは私に問いかける。
私は首を振った。
「そう。いらないの?」
よーちゃんは私の向かいの椅子に座ると。私の顔を見る。そしてサンドイッチを食べる。
「おいしいのにね。ねぇ?まなみ?少し話そうよ。」
「⋯⋯」
「まなみのスキルはね。とても素晴らしいものなんだよ。僕のスキルと合わせて使えば。この世界の全てを自分のものにできる。表に出てやる必要はないんだよ?裏から世界を回すんだよ。何でも思い通りだ。」
⋯⋯なんてこと⋯⋯
私はよーちゃんを見つめる。
そんなことをよーちゃんは考えているの?
「そんなことのために能力をつかえない。」
「は?何言ってるの?こういうことに使わなくて何に使うの?あと、君は拒否権ないよ?」
よーちゃんが冷たく私を見て微笑む。
冷たい目。
「私にだって意思があるの。嫌なことはしない!」
私はよーちゃんを睨みつせて言い放った。
よーちゃんは私を見て、笑うと。
「そう。まだ、まなみはさ、スキルが完全に戻ってきてないからね。まずそこからかな?でもね?ちゃんと言うこと聞かないと。薬使ったりしなきゃいけなくなるからさ。君には、なぜか記憶操作がききにくいんだよね。ちょっと前はよく聞いたのに。やっぱり能力が戻ってきているのが原因かな?」
私の反論なんて一切聞く気がないって態度で。よーちゃんは椅子から立ち上がると私の隣のソファに腰掛ける。そして、私の耳元で囁いた。
「まなみ、あのさ、ちゃんと言うこと聞けないならさぁ。
⋯⋯桜井君と菊池君を殺しちゃうこともできるよ?そのほうがいいかな?」




