罠
「わ。どうしたの?」
私とゆうちゃんと桜井君とピーちゃんとよーちゃんちにいる。
ケンケンは最後まで心配してたんだけど。
ダメ!危ないってすごく心配してくれたんだ。
でも、ゆうちゃんが任せて!と押し切る感じでよーちゃんちへ向かった。
でもちょっと不安もある⋯⋯。でも。私はゆうちゃんの作戦を信じたい!だって大切な仲間だもん!Eクラスのみんなは仲間だもんね!
それにゆうちゃんの能力もすごいから。うまくいくと思うんだ!
よーちゃんはびっくりして私達を迎え入れてくれた。
「で、これよこれ!このケーキを届けたくて。来ちゃったわけよ!」
ゆうちゃんがニヤニヤ笑う。
「えー例の激甘の?良かったのに、お土産なんか。まぁ、入って入って。」
よーちゃんに促されるまま家の中へ案内される。
広いおうち⋯⋯長い廊下にいくつも部屋がありそう⋯⋯
「どうぞ」
通されたお部屋は綺麗な大理石のテーブルのダイニングかな?
「わぁ。すごいねぇ。豪華!」
桜井君はキョロキョロしてる。
「で!このケーキをね食べてほしいのよぉ!今ここで。」
ゆうちゃんはニッコリ笑ってよーちゃんにケーキの箱の蓋をあけて中をみせる。
「わぁ。きれいな色だねぇ。想像していたより小さいよ。紅茶いれようか。」
よーちゃんはケーキを見つめてそう言った。
「あ!ちょっと待って!お手洗い借りていい?!まだ食べないで?!お手洗いどこ?!」
ゆうちゃんはそう言って廊下に出る。
使用人の人がでてきて、案内されている。
確か⋯⋯ゆうちゃんの作戦では。いつもみたく和気あいあいとケーキの話をして、その間に怪しいとこがないかをゆうちゃんが見てくる。だったよね。
ゆうちゃんの能力は見たものを一瞬で記憶して、紙にかける能力だから。よーちゃんちの間取りを確認するってこと。
そうすればどこにお菊ちゃんがいるかとか推測できるし、あとから忍び込むこともできるってことになったたんだよね。
ゆうちゃんが出ていった後。
「よーちゃん。ケーキさ。本当に美味しくて。ぜひ食べてもらおうと思ったの。」
私が言うと桜井くんも横で
「色とか形が可愛いよね。」
『ピー!すげーウマイゾ!何個デモイケル!ピー』
ピーちゃんは⋯⋯そんなに美味しかったんだね。
⋯⋯でも。よーちゃんが一口食べて渋い顔するのもちょっと楽しみってゆうちゃんが言ってた。
まぁ確かにね。
「へぇ。そうなんだ?」
よーちゃんは、ケーキを眺めている。
しばらくゆうちゃんを待ちながら雑談をしていた。
桜井君が他愛もない話をどんどん話してくれて。桜井君!ナイスだよ!
でも⋯⋯ゆうちゃん遅いなぁ。
『まなみ!ゆうのヤツ遅クナイカ?!ピー』
左肩に止まるピーちゃんが私の耳元で囁く。
確かに⋯⋯。
「あれ?ゆうちゃん遅いね?迷子になっちゃったのかな?私見てくるよ」
私が立ち上がった瞬間。
「その必要はないよ。」
よーちゃんの声。
え?!
「なんかあったのかな?」
桜井君がポソっとつぶやく。
よーちゃんは私の隣までくると、ぽんっと私の右肩に手を置く。
「まなみ。会いたかったよ。スキルについてはまなみはすべて思い出してないと思うけど。それ以外の話は聞いたんだろ?」
⋯⋯どういう⋯⋯こと?!
『ヤバい!もしかして⋯⋯罠か?!ピー』
ピーちゃんが私の耳元でそう言った時。
「入っておいで。」
よーちゃんが扉の方へ声をかけた。
「かしこまりました。」
扉を開けるとそこには。
「ゆうちゃん!?」
ゆうちゃんがいた。
え?!ゆうちゃん!戻ってこれたんだ!良かった!なんかあったのかと思った。
「ゆうちゃん。大丈夫?」
立ち上がってゆうちゃんのそばへ行こうとすると。
私をその場に押し付けるように肩に置いた手に力をかけるよーちゃん。
⋯⋯立てないよ⋯⋯
その時だった。
「洋平様。問題なかったでしょうか?」
ゆうちゃんの口から⋯⋯
え?!
「うん、問題なかったよ。ご苦労さま。
ん?変な顔してるけど。桜井君にまなみ?どうしたの?あーもしかして彼女?彼女はね。もう隠さなくて、いいよね?うちの分家の分家で、遠縁の者なんだけど。瞬間記憶の持ち主で。まぁ分家にしてはつよいスキルでさ、うちの使用人として働いていてさ。今まで、Eクラスで監視役に置いてたんだよ。」
え⋯⋯どういうこと?
私はゆうちゃんを見る。
ゆうちゃんは無表情に私を見ると。
「洋平様。連れ出してくるのは簡単でしたが、堂本の力は強そうです。まだ確証は取れていませんが、洋平様と同様複数スキルの可能性もあるかと。」
ゆうちゃんが淡々とよーちゃんに伝える。
よーちゃんはニコっと笑うと。
「うん。わかったよ。ご苦労さま。下がっていいよ。」
「かしこまりました。」
私の顔を一切見ようともしないゆうちゃん。
ゆうちゃん⋯⋯。
私ゆうちゃんに騙されていたんだ⋯⋯。
私バカだ!ケンケンの言うことを聞けばよかったのに⋯⋯。
「さてと。疲れたよね?まなみの部屋は2階に用意してあるから。⋯⋯桜井君は菊池君といっしょのがいいかな?」
冷たい目で桜井君を見て。
桜井君はどこかに連れて行かれてしまった。
残るのは私とピーちゃん。
「その鳥はさ⋯⋯うるさいだけなんだけど⋯⋯生意気で嫌いなんだよなぁ。」
よーちゃんはそういってピーちゃんをつかもうとする。
「よ、よーちゃんやめて!」
『やめろ!ヤメロ!ピー』
「やっぱりうるさいね!この鳥も、桜井君と突っ込んでいて!」
よーちゃんはピーちゃんをひったぐると、人を呼んで持って行かせてしまった。
⋯⋯ピーちゃん⋯⋯。
「よーちゃん。どうして⋯⋯」
「ん?どうしてって。まなみ以外邪魔じゃない?さぁ。部屋に案内するね。おいで。」
よーちゃんの目は今まで見たこともないような。
冷たい目だった。




