幸せのバトン
「まなみ様!まなみ様!」
『まなみ!まなみ!ピー』
部屋に通されて寝たはずなのに。名前を呼ばれて目を覚ます。
ここは?
「あれ?ここ⋯⋯。」
目の前にピーちゃん。
あれ?!
「ピーちゃん!もう大丈夫なの?」
『ピーモンダイナイ!ここで休めばすぐヨクナル!』
ピーちゃんは元気に飛び回る。
ここは?
あたりを見回すと
「ここ!夢の中の!!」
そこは夢の中で見た、森の中の洋館
ってことは、ここは夢?
「まなみ様。大丈夫ですか?心が混乱しているようですね。」
洋館のおじいさんが私の目の前に立つ。
「今日、私の⋯⋯能力の話とか、東家の話を聞きました。」
「そうでしたか⋯⋯どうぞ座ってください。」
私はソファへ腰掛ける。
温かい紅茶とマカロンが用意されている。
ピーちゃんはマカロンのとこへ飛んでいくともぐもぐ食べ始めた。
「少し落ち着くといいのですが⋯⋯。」
私の前に座るおじいさんは私を心配そうに見つめる。
「私、本当は、今の住んでる家の子じゃなくて。
能力もなんかとてつもないもので⋯⋯どうしていいかわからなくて⋯⋯。よくわからなくて。」
「はい。」
私を優しい目で見つめられ。少し落ち着いてきた⋯⋯。
「まなみ様。ここまで生きてきて。幸せですか?」
急にそんなことを問いかけられる。
え?突然⋯⋯。
それは⋯⋯。
周りから無能とか言われつつもママに沢山愛情もらって何不自由なく生きてきた。
学校だっていい友達に恵まれていたし⋯⋯。
私⋯⋯。
「⋯⋯私、よく考えたら、幸せ。」
「そうですか。」
おじいさんはにっこり笑った。
『ピーまなみ!幸せ!幸せなんだから!アンマリ難しくカンガエルナよ!
まなみは、ホントのパパとママに幸せになるように生カサレタ!それだけだ!今の育てのママへ幸せのバトンを渡シタダケダ!だから、幸せの力に満ちテルンダゾ!何もモンダイナイ!気にスルナ!!ピー』
ピーちゃんはマカロンをほおばると、私の膝のうえでドヤ顔でそう言った。
「まなみ様、その通りですよ。あなたには幸せになるためにお産まれになったんですよ?大丈夫。あなたのお父様とお母様の力が体に満ちている。そして、今のお母様の力に支えられてます。」
幸せになるためのバトン⋯⋯。
心がフッと軽くなったような気がした。
でも⋯⋯私のために犠牲になった、本当のお父さんとお母さん⋯⋯。
私は下を向いて考えてしまう。
「まなみ様。あなたのために犠牲になったと、もしかして思ってらっしゃいますか?⋯⋯それは違いますよ。あなたの中で、お父様とお母様が生きているのです。あなたを幸せにするために。」
『まなみ!パパとママ、愛してるってずっと言ってる。その愛をナカッタコトニスルナ!オレは元気なまなみがスキダ!ピー』
ピーちゃん⋯⋯。
「あなたが苦しんでいたら、お母様とお父様も悲しみます。」
そう言われて何だか、難しく考えなくていいって言われているような気がした。
『まなみは、パパとママ2人!最強ジャン!ピー』
ピーちゃんが大声でそう言って私の頭の上に乗る。
マカロンがポロポロ頭からこぼれ落ちてくる⋯⋯。
「ぴーちゃん、食べながら頭の上はよくないよぉ。しかも食べすぎ!ふふふふふ。なんかおかしい。」
私はぴーちゃんを頭の上に乗せて笑い出してしまった。
『ピー!!やっと笑ッテロ!いつも笑ッテロ!
起きたら作戦会議ダゾ!だから今は笑ッテロ!ピー』
ピーちゃんがポロポロマカロンを口からこぼしながらそんなことを言っていたけど⋯⋯。
私はそのまま眠ってしまった。




