真実はどこに?
『ウマクイッタナ!こっちだまなみ!ピー』
ピーちゃんは廊下に出て、しばらく進むと。
私の服を口ばしでひっぱる。
「え?ピーちゃん。どこへ行くの?食堂はあっちだよ?」
『コッチコッチ!!』
引っ張られて連れて行かれたとこは。
学校の裏庭のベンチ。
「ケンケン?!」
そこにはケンケンがいた。
「まなみ!よかった。大丈夫だった?
ピーちゃん。おつかれ!はい!マカロン!」
ケンケンはマカロンを3つピーちゃんに渡す。
『キガキクナ!くるしゅうない!ピー』
ピーちゃんはベンチの端に座るとマカロンを食べ始める。
え?どういうこと?
「ケンケン?」
「うん。まず座って。」
ケンケンが優しく微笑む。
⋯⋯。
「け⋯ケンケン⋯お菊ちゃんが⋯⋯。」
「うん。さっきお屋敷まで確認に行ったよね?学校には来ていなかった?」
!!
ケンケンは、お菊ちゃんのことを覚えている。
私はホッとして、その場に崩れ落ちそうになる。
「大丈夫?」
私を支えてケンケンはベンチに座らせてくれた。
『ケンケン!お前!ナイスタイミング!まなみ!大丈夫カ?ピー』
そう言ってピーちゃんはわたしの膝の上に乗る。
「ケンケン!なんかおかしいの!皆!お菊ちゃんを⋯⋯後よーちゃんも変だし。」
「うん。落ち着いてゆっくり話して?」
ケンケンは私の肩を優しく抱いてくれる。
あ。また⋯⋯。
体に癒しの力が流れてくる。
「ケンケン⋯⋯」
「うん。心の動揺も癒やせるんだ。便利だろ?」
⋯⋯本当だ。さすが!スペシャルだ。
心が落ち着いてきて。
私は教室であったことをケンケンに話し始めた。
「お菊ちゃんの存在がクラスでなくなっちゃったの⋯⋯。」
ケンケンは黙って話を聞いてくれた。
優しい風の中は心地よく。安心して話ができる。
話終えると、ケンケンは私の頭を優しく撫でて。
「大丈夫だよ。僕はちゃんと覚えているから。」
そう言ってくれた。
良かった。お菊ちゃんはちゃんと存在してるんだよね。
ケンケンは考え込んでから、口を開く。
「クラスで菊ちゃんの存在がなくなって。皆その違和感に気が付かないのか⋯⋯。
そうだ⋯⋯海くんは?」
「海?海もお菊ちゃんを知らなそうだったよ。」
思い出したら苦しくなって。ジワっと目頭が熱くなる。
『まなみ!ナカナイデ!!海がクソバカでごめん!
アイツ!単純だから。引っかかりヤスイ。
でも、アイツもエラバれたヤツだから!スグおかしいことに気ガツク!ピー』
え?どういうこと?
「ピーちゃん?それって?」
『ピー!!
海は、森の洋館デまなみをマモルチカラをもらってる!』
⋯⋯どういうこと?
「ピーちゃん。ちゃんと説明しないと。
まなみ、一緒に行ったよね?夢の洋館。あの時に僕と海くんは、洋館のおじいさんにまなみをまもるためにこれをもらったんだ。」
え?
あ。何かを渡そうとしていたかも⋯⋯
準備ができたから呼んだって言ってた。
ケンケンは靴下をずらして足首を見せる。
そこには私のピアスと同じ夢でもらったピアスと同じ石のついたアンクレット。
「手とか指とか耳とかは目立つから。見つからない場所につけるように作ったみたいだよ。」
ケンケンがそう言ってアンクレットを撫でる。
⋯⋯確かに足首ならなかなか人には見えないね。
⋯⋯?なんで隠す必要があるの?
「ケンケン⋯⋯。どうして見つからないように?」
私がつぶやくと。
膝の上ピーちゃんが
『ピーピー!アイツに見つからないタメ!アイツ危険!』
「ぴーちゃん?アイツって?」
私はピーちゃんを抱き上げる。
ピーちゃんも、ケンケンも何を知っているんだろう。
と⋯⋯その時だった。
ケンケンの風がざわめく。
「まなみ!話さないで。」
耳元でケンケンがささやく。
「まなみ?こんなところにいたの?」
後ろから聞き覚えのある。優しい声。
ずっとそばで聞いていた。優しい声。
「よーちゃん⋯⋯。」
よーちゃんだった。
『ピー!よーへい!オレ!いまマカロン食ってんダゾ!ジャマスンナ!!!
ケンケンノヤローがタマタマイテ、ご馳走してくれた!センエン儲け!ピー』
ピーちゃんは飛び上がると、よーちゃんのそばに飛んで行く。
「わ!ピーちゃん。泥棒だよ?それ。」
『!!海にはナイショ!ナイショ!ピー』
よーちゃんは小さく笑うと。
「まったくもう。仕方がないなぁ。」
⋯⋯いつものよーちゃん。
よーちゃんは私の所へくると。
「堂本さんどうしてここに?」
ケンケンを見つめるよーちゃんは、やっぱり冷たい目。
私は慌てて説明しようとすると。
「うん?食堂で、まなみとピーちゃんがいて。
マカロン!マカロン言ってたから。ご馳走したんだよ。
すぐ食べるって、ピーちゃんが駄々こねるからさ。
ここで食べてたんだ。
まなみの分も食べちゃったから。その1000円でまなみの分買いに行かないとって思っていたんだよ。」
ケンケンがそう説明して。
よーちゃんに笑顔を向ける。
「そうなんですね。
まなみ、お腹すいたんじゃないの?何か買いに行こう?
堂本さん。まなみ、もういいですよね?
あとあなた、Aクラスなんだから。Eクラスのまなみにあまり近づかない方がいいですよ。Aクラスは特別なんだし。」
よーちゃんはそう言って私の手を引く。
私は引かれるまま立ち上がる。
ピーちゃんは私の右肩にトンと乗ると。
『オイ!ヨーヘイ!オレにも何か買え!ピー』
「ほんとに食いしん坊だねぇ。重くなって飛べなくなるよ?」
よーちゃんは、そう言ってフッと笑うと。
私を見る。
「あ。ふふふふ。よーちゃん。ひどい〜。でもピーちゃん飛べなくなったら。私の肩にいればいいよ。」
『まなみヤサシイ!!!ピー。ヨーヘイ、いじわる!!』
「ひどいなぁ〜。さ、まなみ行こう?」
私の手を引くよーちゃん。
フッと私の耳元に優しい風が吹く⋯⋯。
『大丈夫だから。今はまだ。菊ちゃんのことは口に出さないで。』
ケンケンの声だった⋯⋯。
ケンケンと離れて、よーちゃんと2人になると。
よーちゃんは前を見て歩きながら私にこう言った。
「ねぇ。まなみ?彼のこともしかして、好きになっちゃった?」
⋯⋯。冷たい声だった。
私を見ようとしない。
「え?!あの⋯⋯えっと。そう言うのは分からないよ。でもね。ケンケンは、お友達欲しいっていってて。
お友達だよ?よーちゃんもケンケンのお友達じゃん?」
そう答えるのが精一杯だった。




