記憶
まずは教室へいって。
もしかしたら、お菊ちゃんが来てるかもしれないからね。
今日のこの話は2人だけの秘密にしよう。
ケンケンにそう言われて。
私は教室へ向かう。
慌てて教室へ。
「おはよう!」
教室へ入り。辺りを見回す。
⋯⋯やっぱりお菊ちゃんはいない。
やっぱりお菊ちゃん⋯なんかあったんだ⋯⋯。
お菊ちゃん。どこに行っちゃったの?!
その時。
「まなみ!おはよう〜珍しいね!海くん達と一緒じゃないの。」
ゆうちゃんがそう言って私のところへ来る。
「あ。うん。ちょっと朝用があって。」
「ふぅん。
昨日の文化祭は!本当に盛り上がったよね!何かさぁ~もっとやってたかったよね!クラス14人団結してさ!!最高だったよね!Eクラス最高だよ!」
え⋯⋯。
ゆうちゃん?
ちょっとまって⋯⋯。
うちのクラスは⋯⋯15人だよ?
キョトンとする私。
「まなみ?どうしたの?ボケっとして。体調悪い?」
よーちゃんが、私に近づくと。私の顔を覗き込む。
「え?あ。ううん。な、なんでもないよ?」
⋯⋯と⋯⋯
ケンケンが車の中で何度も私に言ったことを思い出す。
『まなみ。もし、まなみの記憶と違うことをみんなが言っても、違うって言ってはいけない。』
ケンケン⋯⋯そう言ってた⋯⋯。
どういうこと?
このことなの?
「か、海!昨日のアイドルセンターは何人だったっけ?!」
私が海に聞くと。
「ん?4人だろ〜まぁオレはさぁ全く人気なく。3人がセンターだったわ。」
⋯⋯お菊ちゃんの存在がない?
どうして?!
『まなみ!まなみ!ピー。タイチョウ悪いのかー?』
ピーちゃんが、私の肩に乗る。
「え?やっぱ昨日たくさん楽しんだから。次の日って疲れるよね!えへへ。お休みにしてくれればいいのにぃ〜。」
私はそう言って笑うと席につく。
⋯⋯おかしい。
なんで?
お菊ちゃんの存在がない⋯⋯。
どういうことなの?
なんでみんな?!
私は何がなんだかわからなくなって、でも口に出してはいけない⋯⋯。
黙って考え込んだ。
お菊ちゃんはいた。昨日もちゃんといたよ。
なのになんで?!
クラスはお菊ちゃんのことを誰一人として、話題にしない。
そもそも、14人になってるんだもん。
「まなみちゃ〜ん。数学教えて。ここ。」
桜井くんがそう言って私のとこへノートをもってくる。
「あ。うん。」
「ここのね?コサキンと幻の愛の輝きのところなんだけど⋯⋯。」
⋯⋯。
「あ。えっと。後でもいい?かな?ちょっと、意味を考えさせて。」
何も考えられなかった。
「まなみ。桜井に読ますな!意味わかんないことになってるぞ!何か変な話になってるぞ!」
海が桜井くんからノートを取り上げる。
あ。そうだよね。ポエムになっちゃうんだもん。
「ふふふ。コサキンまた出てきたね」
よーちゃんが私の顔を見て、微笑む。
でも。よーちゃんの目は笑っていない⋯⋯。
よーちゃんは何か知ってる?
私は、ブルブルと首を振ると。
「んふふふ。桜井くんってば。わかんないよぉ〜。考えちゃったよ〜。
教科書のどの問題かを指でさしてもらってからかなあ?」
「えええー?ここだよー。」
桜井くんは教科書を出して開くと指さして私の顔を見る。
なんてことない毎日の会話なのに。
おかしい。
どうして皆はお菊ちゃんを忘れているの?
「まなみ。なんかあった?もしかして変な夢みたのかな?」
よーちゃんは私にそう尋ねる。
⋯⋯。
「えっ?あーおいしいケーキとプリンを食べ損なう夢を見たの⋯⋯。残念だったんだぁ。」
私が笑いながら言うと。
「そうなんだね。」
よーちゃんは微笑みながら答えた。
「食い意地の張った夢だなぁ。相変わらず。」
海は私の頭をポンポンと叩いてそう言った。
授業はまったく集中できなかった。
どうしてみんなお菊ちゃんを⋯⋯。
昼休み。私は慌てて出てきたので。お弁当を持っていないことに気がついた。
でも食欲なんかないから⋯⋯。
『ピーピーまかろん!!!マカロン!!!マカロンくわせろー!ピー』
ピーちゃんが海の頭をつつく。
わ!ピーちゃん⋯⋯。
「痛ってー!!マカロンなんか学校に売ってないぞー!」
『ある!センエン!センエン!!センエンよこせ!』
ピーちゃんは海から1000円をひったぐる。
「すごいねぇ。あんまりひどいと焼き鳥だ。」
よーちゃんが笑いながらピーちゃんを見る。
ピーちゃんは
『ケッ!やれるモンならヤッテミロー。ピー』
ピーちゃん⋯⋯。
なんか相変わらずで。ピーちゃんは⋯⋯。
『オイ!まなみー!マカロン買いにイコウ!食堂ダー!ピー』
「え?」
私はピーちゃんに追い立てられるように。
席を立つ。
「まなみ?大丈夫?一緒行こうか?」
よーちゃんが私に言った瞬間。
ピーちゃんが口を挟む。
『ダーメー。まなみはオレとデート!気ヲツカエ!!ズウズウシイ!』
「えー。」
私はピーちゃんと食堂に向かうことになっちゃったの。




