夢の中でのお願いは⋯⋯
『まなちゃっ!まなちゃん!』
んんん?
不意に声をかけられる。
んん?
目を開けると。
空。
夜空の中にいた。
ええっ?!空っ?!
私は空にぷかぷか浮いていた。
え?!どういうこと?!
文化祭は大盛況に終わって。
なんと!私達のクラスがアンケートで1位!
みんなで大喜びして。
打ち上げを来週しよう!って大騒ぎしてたの。
本当に素敵な文化祭だった!!
で、
家に帰ってもう疲れはてて、眠くてすぐ寝たはずなのに!?空?!
私!浮いてる?!
えええっ?!
なんで?!
『まなちゃん!大丈夫?』
目の前にふわふわ浮かぶお菊ちゃん。
「おっ!お菊ちゃん!どうしたの?!」
ここ空だよ?!
え?!どういうこと?!
『まなちゃん。ごめん!わたし⋯⋯しくっちゃった!』
え?!
「お菊ちゃん?なにがあったの?」
『まさかあんなに執着してると思わなくて⋯⋯。
あんなに危険なやつだったなんて⋯⋯。
しばらくそばで守ってあげられなそうなの。』
え?
「お菊ちゃんどういうこと?!」
『あと。もう時間もないや。
これね!お守り。我が家に代々伝わるお守りなの。
たまたまアイドル衣装にポケットがなくて⋯⋯。持ち歩かなかったんだ。
肌身はなさないで持ってたら変わってたかもしれないな⋯⋯。』
え?どういうこと?
「お菊ちゃん?」
『ごめんね。まなちゃん。このお守りが。私の代わりに少しでも守ってくれますように⋯⋯。』
お菊ちゃんは私の右手にそれを握らすと。
『もう時間だ。しばらく会えないけど。大丈夫!わたし頑張るから!
まなちゃん!いーい?!洋平くんはまなちゃんの運命の人じゃないからね!
あの人は⋯⋯⋯⋯⋯だから。』
何?最後の言葉が聞こえない。
パッと目の前からお菊ちゃんが消えた。
え?
どういうこと?
⋯⋯。
「はっ!」
ガバっと目が覚める。
え?!朝?
あれは⋯⋯夢だったの?
右手に違和感があって。
右手をあげる。
「!これ。」
お菊ちゃんに夢で渡された。お守りだった。
やけにリアルな夢。
いつもぼんやりなのに。内容を覚えている。
お菊ちゃん!!
しばらく会えないって言ってなかった?
どういうこと?
右手のお守りを見つめる。
「で!電話!」
私は我に返って、携帯電話を取り出すと。お菊ちゃんにかける。
⋯⋯繋がらない?
学校に行けば会える?
私は何か胸騒ぎがして⋯⋯。
慌てて制服に着替える。
慌てて部屋を出て。
玄関に向かう。
「あらっ?まなみ随分早いのね。まだ海くんも洋平くんもきていないわよ?」
ママが珍しいものをみる目で私を見る。
「ちょっと気になることがあるから。早く行くねー。海とよーちゃん来たらそう伝えて?」
私はママにそう言うと家を飛び出した。
お菊ちゃん。学校来るよね?!
大丈夫だよね?
私は走ってお菊ちゃんのお屋敷に向かうことにしたの。
学校にはまだ早い!お菊ちゃんちに行って確かめたほうが早い!
「まなみー!」
不意に後ろから声がかかる。
振り返ると。後ろに黒い車。
車の窓があき顔が見える。
「ケンケン?」
「まなみ?どうしたの?学校とは逆方向だけど?」
ケンケンが私にそう言うけど。
もう説明してる暇がなくて。
「お菊ちゃんちにいかないと!お菊ちゃんが!」
「わかった。乗って?」
ケンケンは私を車に乗せる。
私を車に乗せると車は走り出す。
「まなみ。何があったの?」
「え⋯⋯。」
私は戸惑ってあたりを見る。
「大丈夫。ここは僕たち2人だけ。誰もいない。」
ケンケンの風の中⋯⋯。
私はケンケンを見つめ口を開く。
「お菊ちゃんが!夢で。しくじったって言うの!しばらく会えないって!それで私を守るお守りをくれて。」
わたしは右手で握るお守りを見せる。
「⋯⋯。落ち着いて。もう少し詳しく説明して。
夢の話を思い出して?」
ケンケンはそう言って、私の手を握る。
何かが手から流れ込む⋯⋯。
すうっと気持ちが落ち着いてくる⋯⋯。
これは?ケンケンの癒しの力?
「心が落ち着かないと駄目だから。落ち着くように。」
その言葉を聞いて。
私は大きく深呼吸して。
夢の話をケンケンに伝えた。
「⋯⋯運命の人ではない⋯⋯か。」
ケンケンは私の話を聞いて。つぶやく。
「ケンケン!お菊ちゃんに何があったのかな?!」
「大丈夫。本人はしばらく会えないって言ったんだよね?ならきっとどこかにいる。まずは菊ちゃんのお屋敷に向かおう。」
お菊ちゃんのお屋敷はなんだかザワザワしていて。
私が行くと。
なかに入れてくれなくて。
「まなみ様。本日はお坊ちゃまは、お出かけしております。お引き取りください。」
そう言われてしまった。
⋯⋯やっぱり!お菊ちゃんいないんだ!
「まなみ。大丈夫だよ。落ち着いて。」
ケンケンは目をつぶって大きく深呼吸する。
「ケンケン?」
「僕の風を町全体に行き渡らせる。どこかにいるといいけど。もしかしてどこかに閉じ込められてるとかなのかもしれない。」
フワっと私達の周りに優しい風が生まれる。
その瞬間。風は弧を描く様に様々な方向へ飛んでいった。
「ケンケンすごい。そんな力もあるの?」
私がつぶやくと。
ケンケンはフワリと笑い。
「うん。内緒だよ?」




