野外研修⑦
「君は⋯予知能力なのか? 夢で見たっていったね? ⋯⋯!予知夢?!」
静寂を破ったのは、堂本さん。
「⋯⋯」
私はなんて答えていいかわからない。
どうしよう⋯⋯。
「小泉さん。君のスキルは⋯⋯Eクラスに置いておいてはいけない。危険なスキルだ。」
堂本さんが私に近づくとそう言って、私の目の前に立つ。
「あ⋯⋯。待って。」
私は辺りを見回す。
ママと誰にも言ったら駄目って約束。
それにここは学園の敷地。
先生たちが見ているかも⋯⋯。
「心配ないよ。あの怪物が出たときに、風で結界をはった。今はこの中のことは、見えなくなっている。それより、君のスキルなんだけど。予知夢? 予知能力かな? なんでEクラスに?」
結界まで張れるんだ⋯⋯。
すごい⋯⋯。
でも、さっき⋯⋯危険なスキルって⋯⋯言った?
私はかすれる声で答える。
「え? 予知夢? よくわからない。たまたまなんとなく弱点が分かったってだけで。」
しどろもどろになる私。
「たまたま? そもそも君のスキルは?」
堂本さんがじっと私を見る。
「私は夢を見るだけ。大したことないの。それだけ。ただのEクラスだから!
本当に無能スキルなの。」
絶対に細かいことを話しちゃいけない気がした。
「そんなことより。堂本さん。あなた、複数スキルなんですか?」
よーちゃんは私を庇うように前に立つと、堂本さんにそう尋ねた。
複数スキル。
普通ひとつのスキルしか持たないんだけど、稀に複数のスキルを持つ人がいるらしいの。
でも本当に珍しくて、めったにいないって言う。
私は話だけしか聞いたことがない。
そんな人がいたら、国は絶対にその人を離さない。
特にAクラスのような能力なら⋯⋯。
「あぁ。治癒と風。2つを持っている。」
そう言って堂本さんは私のほっぺたに触れる。
「え?」
「すりむいていたから。」
温かい何かがほっぺたに当たると、私のすり傷は消えていた。
「治癒の能力と、風。2つなんですね?」
私が言うと、堂本さんはゆっくり頷く。
「そうだね。風は、生活スキルだから。スキル的には大したことないんだ。だから、隠し通していたんだけどね。これ以上自由がなくなりたくないから⋯⋯。
⋯⋯そうだね。僕のスキルのことと、君のスキルのこと。お互いに見なかったことにしよう。内緒だ。」
堂本さんはふっと笑って私を見た。
私は小さく頷く。
と、その時。
「んんんん⋯⋯。」
向こうででんでんとくるみんが起き上がる声がした。
「は!さっきの!怪物は?!」
でんでんが起き上がる。
堂本さんはそばに行くと。
「やっと起きたか。疲れて眠ったときは、びっくりしたぞ。何か変な夢をみたのかな?」
え?!
堂本さんは2人にそう言って。
「でんでんくん。くるみ割りくん。テントへ戻って夕飯の支度をそろそろしよう。君たちのお昼寝を待っていたから遅くなってしまったよ。」
堂本さんはそう言って私達を見た。
うん。夢ってことにできるならそのほうがいいよね。
「でんでんと、くるみん。疲れた〜ってお昼寝はじめちゃったんだよー?でもね〜私も心地よかったからウトウトしてたよ。森って気持ちいいよね。」
私がそう言って2人に笑いかけると。
2人は顔を見合わせて。
「夢?」
そして辺りを見る。
辺りは静かな森。
鳥のさえずりが聞こえる。
気持ちのいい風が吹き抜ける⋯⋯。
「そっか夢か⋯⋯。」
2人はそれ以上何も言わなかった。




