野外研修⑥
ドォォォン
大きな音。
え?!
目の前がいきなり暗くなる⋯⋯。
え?
目の前⋯⋯。
大きな何かが立っている。
「な、なにこれ⋯⋯」
目の前に立ちはだかる大きな物体。
色は黒? 濃いグレー。
これはまるで、怪物。
頭にツノが3つ。
目が3つ⋯⋯。
手が長くて⋯⋯。
大きな体。
初めて見る。
「なんだこれ。」
海が私の前に立つと、それを見つめる。
「初めて見たけど⋯⋯。森にいる動物とかじゃないよね?」
よーちゃんも私の前に立って、私を後ろに隠す。
⋯⋯これって。
あの噂の⋯⋯。
『学園の森の中には、あるスキルの人が作った怪物が隠されている』
とかっていう、あれ?
まさか⋯⋯。
「こいつなんだ? 危ないから燃やそう。ちょっと下がれ。」
くるみんとでんでんが怪物に向かって手のひらを広げながら、力を込める。
その瞬間。
赤い炎が怪物に向かっていく。
その後に続いて、激しい光!
その怪物は炎と光に包まれる。
すごい。これがAクラスの能力。
でも!!!
!!!
「だめ!!!!」
その瞬間、私は大きな声を出していた。
私の声と同時に、その怪物は炎と光を吸収すると、どんどん大きくなっていった。
ドォォォン
大きな音がして、
「うぁぁぁっ!」
でんでんと、くるみんが弾き飛ばされる。
2人はかなり後ろへ飛ばされて、木に体を打ち付けると意識を失った。
「だめ!!あれには炎と電気は効かない!」
「まなみ?なんでそれ⋯⋯。」
海が目を見開いて私を見る。
「うん。思い出した。朝、夢で見たやつ。」
私がつぶやくと。
よーちゃんが。
「まさか!予知夢?」
小さい声で私にそう言って。私の顔を見る。
私は頷く。
多分。朝、見た夢はこれ。
この怪物。
あと⋯⋯
何か⋯⋯大事なことをこのあと見たような⋯⋯。
『ガァァァァ〜!』
怪物は、大きな叫び声を上げると。
手から炎を出して私達に向かってその手を向ける。
!!!来る!!!
その瞬間。
激しい炎が、私達を包む。
「まなみ!」
よーちゃんと海が私を抱きしめる。
2人が燃えちゃう!!!
やだ!!!
シュッッッッ!!
炎が迫るその時!
大きな鋭い風の音。
激しい風が私達を包む。
え?!
その時炎がかき消えた。
何?なにが起こったの?
風の方を向くと
「堂本さん?!」
堂本さんが手を私たちに向けて立っている。
今⋯⋯。
風?
あれ?
堂本さんって⋯⋯。
『堂本さんは、治癒のスキルなんだよ』
ゆうちゃんがこの間話していた話を思い出す。
どういうこと?
「あ⋯⋯まさか⋯⋯複数スキル⋯⋯。」
海がつぶやく。
え?!
「海!!それはあとだ!みろ!」
よーちゃんが怪物を指さすと、こんどは怪物は光のかたまりを口から出そうとして、私達をみおろしている。
⋯⋯何か、何かあった。
思い出せ⋯⋯。
私は怪物を見つめ⋯⋯。
あ!
⋯右耳のこめかみ!⋯
「よーちゃん!右耳のこめかみ!!!そこが弱点だ!」
私が言うと。
「なんで?」
よーちゃんが私を見る。
「思い出した。夢の内容。」
「ほんとか?!」
海が私をみる。
私は頷いて、2人をみると。
「何か鋭いもの。ナイフみたいな大きいもの。」
あたりを見回す。
何かないか⋯⋯。
「!ちょっとまって!」
よーちゃんは奥の木の根元に走り出す。
しばらくすると。
「これ!こんなのはどう?」
大きな鋭いナイフのような枝。
大きさも丁度いい。
まるで、何か鋭いもので削ったみたいな枝⋯⋯。
こんなちょうどいいものがあったんだ⋯⋯。
「海。右のこめかみ。これを刺せる?!」
「⋯⋯。やり投げみたいに投げれても。届くか⋯もっと力がないと。木に登ったとしても近づかないと厳しいな。」
「近づくのは危険だ!」
よーちゃんが海に言う。
その時
「なら、僕が、風の力をつかって、速度を出す。
君は思いっきり右のこめかみに向かって投げろ!ただし、はずすなよ?」
堂本さんが海にそう言う。
海はニヤリと笑って堂本さんを見ると。
「まかせろ。」
海は怪物の目の前に立つと。
ナイフみたいな鋭い大きな枝を大きく振りかぶって。
「いけぇぇぇぇ!!!!」
思いっきり投げつける。
!!!
完璧!方向は右のこめかみ!
その瞬間!シュッッッ
とした何かが飛び立つ音!
ものすごい力と速さの風がその枝を包む。
枝はスピードを上げて。
怪物の右のこめかみへ向かって⋯⋯。
『ギャァァァァァァァァァ!!!!』
耳がおかしくなりそうな大きな音を出す怪物。
右のこめかみに大きな枝が見事に刺さっていた。
シュウゥゥゥー。
何か抜けるような?音とともに。
怪物がどんどん縮んでいって⋯⋯。
パン!
弾けるように怪物は消えた。
⋯⋯
⋯⋯
残ったのは。
鳥のさえずり。
元の森の音。




