カリスマが失われる時
堂本さんは目を見開いたまま、私の言葉をひとつひとつ噛み締めるように静かに息を吐いた。
そして、もう一度私を見つめる⋯⋯
その瞳から、世界をひとりで背負おうとしていた冷たい「カリスマ」の影が消えていく⋯⋯。
「⋯⋯そうか⋯⋯。間違えていたのか⋯⋯」
カサついた唇からこぼれたのは、悔いでも絶望でもなく、どこかすがすがしい諦念と温もりだった。
私は堂本さんの手をぎゅっと握る。
「ごめんね。まなみちゃん⋯⋯ありがとう」
堂本さんはふわっと優しく微笑む。
その時⋯⋯
堂本さんと同化していた禍々しいその機械が⋯⋯
パチパチと音を立てる。
「うん。最後に⋯⋯後始末つけないといけないんだ」
堂本さんはそう言って、自分に繋がれた機械を見上げる。
堂本さん?
堂本さんは私にそう言ってたあと小さく呟く⋯⋯
何を言っているのか⋯⋯聞き取れないほどの⋯⋯
「⋯⋯。⋯⋯世界を⋯⋯元に⋯⋯」
堂本さんはそう言って私に微笑む。
⋯⋯何を言っているのか⋯⋯聞き取れなかった⋯⋯。
「堂本さん?何をしたの?」
私が問いかけたその瞬間⋯⋯
辺りは眩しい光に包まれる。
その光は堂本さんを繋いでいる装置全体を包み⋯⋯光は塔を突き抜け、天上を突きつけ空に向かって放たれる
「堂本さん⋯⋯!?」
これは⋯⋯何が起こったの?!
私が問いかけるよりも早く、突然、堂本さんの指先から、サラサラと音を立てて淡い光の粒子がこぼれ落ち始めた。
え?!いったい何が⋯⋯
サラサラと⋯⋯指先から、腕から⋯⋯。
命を吸い上げ尽くされた彼の体が、まるで枯れ葉が風に舞うように、静かに光の砂となって崩れていく⋯⋯
え?!
こ⋯⋯これは⋯⋯
私はあの時を思い出す。
でも、よーちゃんの時とはまた少し違う⋯⋯
堂本さん全てが、光の力となって空へ溶け込むように⋯⋯
サラサラと光の砂となり⋯⋯
目の前から少しずつ消えていく⋯⋯
「に⋯⋯兄さん!!」
ケンケンの叫ぶ声
「なんだ⋯⋯あれ⋯⋯洋平の時と似てる?!」
海が後ろで呟く
『ピー!アレとは違ウ!!全く違ウ!!コレハ莫大なチカラを使いスギタからか?!アイツの全テのチカラが光にナッテイル!ピー!!』
ピーちゃんが、信じられないと言ったような声で叫んだ。
「け⋯ん⋯⋯あとは頼む。これは、堂本ではない⋯⋯お前の兄ではない。ただの革命者が足掻いたこと⋯⋯世界を自分勝手に変えようしたバカな革命者が⋯⋯お前は⋯お前らしく進め!」
堂本さんはそういって優しくケンケンを見つめる。
堂本さん⋯⋯は⋯⋯こんなになってまで、堂本家を守るんだ⋯⋯
そして、堂本さんはその後にゆっくり私を見つめる⋯⋯
私の目を見つめ、優しく微笑む。
「まなみちゃん。ありがとう。もっと早く出会えたら⋯⋯」
「堂本⋯⋯さ⋯⋯ん」
どんどん光の砂となり姿が消えていく⋯⋯
「僕のすべてを使って、世界を元に戻す。全て⋯⋯なかったことに⋯⋯後はまなみちゃんたちで⋯⋯叶わなかった未来を⋯⋯」
そういって私をじっと見つめ⋯⋯
私にしか聞こえないような囁き声で⋯⋯
「この⋯⋯機械を⋯⋯作ったのは⋯⋯さらに危険な⋯⋯組織が⋯⋯君⋯⋯狙っている⋯⋯」
え?
途切れ途切れとなっていて、よく聞き取れない。
言い終わる前に⋯⋯
「堂本さん!!!」
堂本さんの、全てが光の砂となった⋯⋯
そして⋯⋯堂本さんは、消えて⋯⋯しまった⋯⋯
と、その瞬間⋯⋯
ドカンッッッ!!
と大きな音を立てて!!
大きな機械が崩れ始めた!
『ピー!!爆発!スル!!バクハツ!!キケン!!ピー!』
ピーちゃんが叫ぶ
私はハッと我に返る。
「みんな!!私の手を!!ピーちゃん!こっちに!」
私はケンケンと海の手を掴む
「よしろうさん!!そっちへ行くわ!!」
私が叫ぶと
私の体は光に包まれる。
その瞬間、
ゴゴゴゴゴォォー!
ドォォォン!!
大きな爆発音が聞こえ⋯⋯
爆風が起こる
「手を離さないで!」
爆風に巻き込まれるその瞬間!!
「まなみ様!⋯⋯お帰りなさいませ⋯⋯」
悲しく微笑むよしろうさんが目の前にいた⋯⋯
「お疲れ様でございました。まなみ様」
よしろうさんは深々と頭を下げた。
私は、私の夢の館の中に戻ってきていた⋯⋯
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
激しい戦いを終え、物語はいよいよ明日、本当の最後を迎えます。
明日の朝7時頃に、エピローグを投稿して、第2部を【完結】とさせていただきます!
最後に残された余韻と、彼らの歩む未来をぜひ見届けにきていただけたら嬉しいです。
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明日の最終更新も、どうぞよろしくお願いいたします!




