終わりを止めに⋯⋯①
「とにかく後を⋯⋯海!皆おかしいから!!はやく!!私達も!行こう!!」
私が後追いかけようとした時。
「まなみ!まて!落ち着け!」
海が私の腕を掴む。
『ピー!このバカの言ウ通リダ!ピー!』
ピーちゃんが私の目の前に羽ばたく。
と⋯⋯
「電話だ!」
海の携帯電話が鳴る。
『もしもしー?海くん!?何これ!今寝てたんだけど!家の前の大通りがおかしなことになってて!』
桜井君の声だ!
「桜井は!大丈夫なのか?!今家か?!」
『家だよ!大丈夫もなにも、鼻も耳も詰まってなにがなんだかだよ!』
桜井君は無事みたい。
私はぎゅっと胸で手を合わせ。
祈る。
まずは安全なところへ行かないと!
皆とも話したい!
と、そう思った時、目の前が一瞬ぼやけ⋯⋯
目の前に扉が現れる。
「海!こっち!!桜井君も!!」
私はそう叫ぶと、海の手を引っ張って扉を開けた。
目の前は⋯⋯
私の夢の館。
夢の館の扉を開ける。
と⋯⋯
「ぎゃぁー!!!」
ドサッ!
目の前に人が落ちてきた。
「お菊ちゃん!ケンケン!!」
「えええ?!またぁ?!」
少し間をおいて桜井君が落ちてくる。
桜井君は可愛い水玉のパジャマだ。
「まなみ様!」
私の目の前によしろうさんが現れる。
「よしろうさん!大変なことに⋯⋯」
「はい⋯⋯存じております。しかし!まずは!」
よしろうさんはそう言って
「はい!悪霊たいさーーん!!」
バシバシバシ!!!
海とケンケンとお菊ちゃんをいつものハリセンでぶっ叩いた!
『いったー!』
3人は頭をさする。
「桜井様は!!風邪菌もご一緒に!!はい!悪霊たいさぁーん!」
バシバシバシバシ!!
華麗に4発桜井君はぶっ叩かれる。
「ひぃぃぉー!!いたーい!!ん?なんか体が軽い感じする!」
ええええ!?
よ、よしろうさん!!最強なの?
「変なものがついてましたので。まなみ様と館を汚すわけにはまいりません!!!」
よしろうさんはそう言って
「さぁ。紅茶をどうぞ?」
テーブルに紅茶とお菓子とマカロンを並べた。
「ちょっと一体何があったの!?僕たちなんか!授業中だからね?!いきなり光につつまれたから、ケンケン引っ張って、トイレー!って教室飛び出したよ!」
わーそんなだったの?
えへへ
「まなちゃん!?えへへって顔して!まったくぅー」
お菊ちゃんは呆れて私を見る。
そのあと、マカロンを手に取りパクリと食べる。
「美味しぃー!」
「まなみ?何があったの?」
ケンケンがお菊ちゃんの隣に腰掛けて私を見た。
「ちょっと!まず!ぼくでしょ!?」
桜井君がパジャマ姿で叫んだ。
あぁっ。そうだよね。忘れてた⋯⋯
「おお、桜井!おま、風邪は平気なのか?!」
海が桜井君に聞く
「んーなんか熱に鼻水に咳にすごかったんだよね。熱も40度超え!」
ひえー!!!
あれだ!!ウィルス性の風邪ってやつ!!!
「で、鼻も耳も詰まちゃって、寝込んでたら!部屋の窓から下の大通り見たらさ!大群衆がうつろな目で歩いてて!!!びびったよぉ!!で、海くんに電話したんだよね」
「桜井お前、本当に熱はさがったのかよ?」
海は桜井君のおでこを触る。
「おお?本当に大丈夫そうだな」
「うん。よしろうさんに、ぶっ叩かれて、気分スッキリだよ!心配してくれてありがとう!」
桜井君はそう言ってニッコリ笑った。
「で?何があったの?」
桜井君は海の隣に座ると私にそう言った。
「実はね、街頭モニターに⋯⋯大統領官邸が映ってて⋯⋯」
私がさっき街で見た光景を話した。
堂本さんの声が街中に響いていたこと。
操られた人たちが、まるで吸い寄せられるみたいに官邸に押し寄せていったこと。
そして⋯⋯抵抗もできずに、大統領が捕らえられてしまったこと。
私の言葉を聞き終えると、部屋の中に重い静寂が広がった。
「大統領官邸が⋯⋯」
ケンケンがつぶやいた
「そこまで広がってるなんて⋯⋯ただのカリスマの域を超えてるよ。こんなの洗脳して操ってるってことだよ!どうすんのよこれ!」
お菊ちゃんもマカロンを持つ手を止め、青ざめた顔で私と海を見つめた。
桜井君がつぶやいた
「このままじゃ、世界がめちゃくちゃになる⋯⋯この国を乗っ取るつもりってこと⋯⋯?とんでもないことしてるよね?!」
私はぎゅっと手を握ると、ケンケンを見つめた。
「でも、堂本さんには⋯⋯時間がないんだって⋯⋯」
「え?」
ケンケンが私を見る
「⋯⋯堂本さんは、つよい能力の使いすぎで、命を削っているみたいなの」
私がそう言うと、お菊ちゃんがびっくりしたように声を上げた。
「どういうこと?能力使いすぎで命を?聞いたことないよそんなの。だって自分の能力だよ?そんなことあるの??」
私はうまく説明ができなくてよしろうさんを見る。
よしろうさんは、私を見つめ頷くと⋯⋯
「まなみ様にかわってご説明いたしますね」
よしろうさんはそう言って私達を見回した。
「人はそれぞれ生まれ持った能力を持っています。その能力は、自分の身体に合ったものです。そのため、どんなに使っても身体に負担はありません。」
皆は静かに頷く。
それを見てよしろうさんはにこやかに話を続ける。
「しかし⋯⋯まれに、後から別の能力が使えるようになることがあります。複数スキルがそれですね。
その後天的に得た力については、身体に負担がかかります。それは自分に合ったものだけではないからです。そのため使い方に注意が必要です。普通なら使えないくらいの強すぎるパワーを無理に出してしまうと、体にものすごい負担がかかってしまうのです。使いすぎによっては、命を削る⋯⋯時には命を落とすことになります」
「じゃぁ、兄さんは⋯⋯」
ケンケンはそう言って黙り込んだ。
「このような力の使い方は⋯⋯相当命を削っているはずです。いえ⋯⋯もともとこの力は⋯⋯堂本新一の体に合ったチカラではなかったのかもしれません⋯⋯」
私はケンケンを見た。
ケンケンも、風の能力がある⋯⋯
これも後天的な力⋯⋯
「ケンケン様も⋯⋯使い方には十分にお気をつけください⋯⋯」
よしろうさんはそう言ってケンケンを見つめる。
「それで、命を削って、その堂本新一って人は何をしたいわけ?!」
桜井君が口を挟んだ。
私は桜井君に向き直すと⋯⋯
「私⋯⋯夢で堂本さんに会った⋯⋯ごめん⋯⋯皆に言えなくて⋯⋯。堂本さんがこの世界を変えたいって言ってて、いまの能力での差別社会⋯⋯生まれながらの能力で決められてしまうこんな世界を変えたいって言ってたの」
皆が黙って私を見る。
そう、私達は特に感じていること⋯⋯
下位能力だからこそ。
学生であるにもかかわらず差別を受けていた。
それをきっと⋯⋯ケンケン以外の皆は、思い出してるんだよね⋯⋯
私は話を続ける。
「でもね、私、洗脳したり、無理やり従わせるのは間違ってるって思う。でもね、堂本さんが⋯⋯時間がないからって。進むしかないってことなんだと思う。だから⋯⋯今⋯⋯」
私は下を向く
⋯⋯
「⋯⋯私ね⋯⋯堂本さんの考えてることは正しいと思うよ?⋯⋯でも⋯⋯でもね、やり方は間違えてるって思ってる。やってること、今の世界のやり方と変わんないよね」
私が呟くと
「そうだよ!!それじゃぁ、やってること変わらない!気持ちは分かるけど!やり方が違うよね!!」
お菊ちゃんがそう言って私を見た。
「兄さんは間違えてる⋯⋯」
ケンケン⋯⋯
「うん。だから、堂本さんを止めないと。このまま命が尽きる前に!」
私は皆を見た。
「あぁ⋯⋯バカみたいなことを止めなきゃ駄目だ」
海はそう言って頷いた。
世界を変えることは素晴らしい。
この世界は⋯⋯やっぱりおかしいもの。
でも、堂本さんのやり方は駄目。
「堂本さんを止める。
それで、皆で力をあわせて変えていけばいいと思う」
私がそう言うと、皆は頷いた。




