野良猫、愛知らず
あれから2人は甘い一夜を過ごした。幾度も幾度も戯れ合い気が付けば夜が明けていた。
「んン...もう朝になるじゃねえか...。アンタ元気すぎ(笑)」
「それだけヨルが魅力的すぎるんだよ?まだまだ足りないくらいに...」
「ストップ。あんまりガッツクと飽きが来ちまうかも知んねえだろ?今夜まで我慢。な?」
「それにアンタ仕事だろ?」そう言われてしまえば玲央も手が出せない。
「仕方がない。今のところは我慢しよう。その代わり...また今夜僕のためだけに可愛く鳴いてくれるかい?」
「フハッ。欲張り坊ちゃんだな。...いいぜ?お前のテクも気に入ったし...オレ達相性バツグンみたいだし?」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。...愛してるよ、ヨル。」
玲央がそう言った瞬間、夜斗の顔が暗く曇り、下を向く。そんな夜斗を不審に思った玲央は「ヨル?」と声をかける。
「...オレは愛だの恋だのする気はねぇよ。ただ、生きていく術が"コレ"だっただけ。この顔に産んでくれた親には感謝してるがそれだけ。オレは"野良猫"の前に"捨て猫"なんだよ。...誰も本気でオレを愛さない。それに、オレも誰も信じない。」
「ヨル...」
「だから、オレにそんな言葉をかけるな。求めるな。...いいな?」
夜斗の闇を宿した瞳に見つめられ、玲央はゾクリとし、一筋の冷たい汗が背中をつたう。
「いいんだぜ?オレの事は"都合のいい猫"とでも思ってくれれば。それならオレも気が楽だ。」
言葉は軽々しいものなのに、玲央は自分の愛が伝わっていない事を悲しく思った。そして、それと同時に"愛を教えたい"そう思ったのだった。
「ヨル。今はそれでいい。だけれど僕は本気だ。本気で君を愛したい。君が信じられないというなら信じられるまで何度でも、なんでもする。
「フハッ。...アンタ結構重いな?」
「...褒め言葉としてとっておこう。さあ、それより今は朝食をとる事にしよう。トーストと目玉焼きでいいかい?」
「アンタが作るのか?」
夜斗は驚きの声を上げる。こんな坊ちゃんが目玉焼きとは言え料理をするとは...。そう思ったのが顔に出ていたのか、玲央は「フフッ」と笑う。
「こう見えて料理は得意だよ?誰かさんに食べてもらえるのなら、何でも作るよ?」
やはりこの男の愛は大きく、重い。自分が押しつぶされてしまうかと思うほどに。




