野良猫、番外編1
これは、夜斗と玲央のとある朝の記録である。朝、6時に夜斗は目を覚まし、脱ぎ散らかした部屋着に袖を通す。そしてベッドから抜け出して朝食の支度をしようとしたその時、腹部に腕が回された。その腕の正体は言わずもがな玲央である。
「やと......どこへ行くんだい?」
「どこって。朝飯の支度しなきゃお前会社に間に合わないぞ?」
「会社......休む」
「おいコラ。お偉い専務様がさぼるなよ」
夜斗は回された腕を無理矢理外して、キッチンへと行った。そしてエプロンをして、鍋に水をはり火をかける。そしてそこにだしパックを入れ時間を置く。その間に具材を切って切り終えたものから鍋に入れる。そして頃合いになったところで味噌を溶かす。こうして味噌汁の完成だ。そのタイミングでタイマーをかけていたご飯が炊きあがる。おかずが無いのも寂しいので、玉子焼きと酢の物を作った。そうしているうちに玲央が寝室から現れた。
「おはよう、夜斗」
「おはよう、玲央。飯できたから顔洗って来い」
そうして顔を洗った玲央がダイニングへと顔を出した。
「うん。今日もいい匂いだ」
「さ、早く食べて会社行ってオレの世話代稼いで来い」
「今日もウチの猫ちゃんは手厳しいな」
食事を済ませると、夜斗は洗い物をし、玲央はスーツへと着替える。
「夜斗」
「ん。こっちこい」
玲央は夜斗に呼ばれるがまま夜斗の元へと歩み寄る。すると玲央はネクタイを夜斗に渡して結んでもらう。これは同棲を開始してからの決まったルーティーンであった。
「いつも思うけど新婚さんみたいで楽しいね」
「バッ!......何恥ずい事言ってんだ。ほら!さっさと出社!」
「じゃあ、ハイ」
玲央はそう言うと夜斗に向けて両手を広げる。夜斗は気恥ずかしくなりながらも思い切り玲央の胸に飛び込んだ。
「......早く帰って来いよ」
「もちろん。愛する僕の猫ちゃんが寂しがるからね」
「......寂しがってねーし」
「ふふっ。それじゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい」
そうしてキスをすると玲央は家を出て行った。手を振って見送った夜斗だったが、やはり少し寂しさが押し寄せてきた。寝室に向かうと、玲央が着ていた部屋着に手を伸ばし、ギュッと抱きしめる。いつもこの香りに抱きしめられて夜を過ごしているため、なんだかおかしな気分になってくる。もういっそ自慰をしてしまおうか。そう思い下半身に手を伸ばしたその瞬間だった。
「ごめんよ、夜斗!書類を忘れ......て......」
「!!」
「......なんて愛らしい事をしてくれているんだい!」
「な!、ち、ちが!......これは......その......」
夜斗が必死に言い訳を考えていると、玲央が夜斗の耳元でささやいた。
「......今晩は寝かせてあげれそうになさそうだ」
「な!!バカァ!!」




