野良猫、縛られる
夜斗が玲央に連れてこられたのは所詮"タワマン"と呼ばれる建物。そして通されたのはまさかの最上階。今まで様々な男達を渡り歩いて来たが、ここまでの金持ちは初めてだ。部屋の中へと入ると、白を基調とした家具で揃えられていて眩しい程だ。夜斗は興味津々で部屋中を見て回る。
「ほら、ヨル。フレンチが食べたいなら早くシャワーを浴びて来ておいで。着替えは置いて置くから。」
「お!そうだった。フレンチがオレを待っている〜♪」
そう言うと夜斗は鼻歌混じりで浴室へと向かう。そこで見た光景に夜斗は言葉を失った。東京の夜景を一望できる程の素晴らしい景色だったからだ。
「わぁお...。オレ、ホントに此処に住むのか?」
そう呟くと夜斗はシャワーで汚れた身体を清め始めた。心の中で「フレンチから帰ってきたら、このジャクジーを楽しもう。」そうルンルン気分でシャワーを終えると玲央が用意した服に腕を通す。...これまた高そうなスーツだ。
「レオ。着替えたぞ。」
「...うん。やっぱりヨルにはネイビーのスーツが一番良く似合う。」
"やっぱり"?この男の言葉には謎に思う部分が多々ある。まるで昔からの夜斗を知っているかのように。
「ヨル?どうしたんだい?」
夜斗が黙りこくって考えていると、玲央が声をかけてきた。
「あぁ、悪いレオ。今までに無いくらいの豪華さで言葉が見つからなくてさ。」
そう夜斗が言うと玲央は近寄ってきて夜斗の首にプレートネックレスを着ける。
「...これは?」
「ヨルは今日から"僕だけの猫チャン"だからね。お守りという名の首輪だよ。」
そう言った玲央は笑顔ではあるが目が笑っていなかった。その目を見た夜斗の背筋にゾクリとしたものが走り、「ダメだ。この男は危険すぎる。」と頭の中で警告音が鳴った。
「わ、悪いレオ。やっぱりオレ帰るわ。」
「...帰る?何処に?ヨルの帰る場所は此処...僕の所だよ?」
玲央はそう言うと夜斗をベッドに押し倒した。そしてプレートネックレスに口付けを落とすと、
「ヨル。いくら猫でも最終的にはご主人様の元へ帰ってくるんだ...死ぬ前以外は、ね。」
あぁ、神様...やはり野良猫には飼い猫になるのは気が重いです。




