野良猫、嵐到来
二人でジャグジーに浸かりながら、明日の事について話す。明日は土曜なので仕事が休み。そのため、夜斗の衣服や日用品を買いに行こうという話題になっていた。
「でも、お前ここからオレを出す気ないんだろう?別に必要なくね?」
「......デートがしたいという願いを叶えてはくれないのかい?」
「で、デートって、お前......」
夜斗は頬を紅潮させると、玲央から顔が見えないように下を向いた。しかし、その途端に玲央は夜斗の顔を両手で包み込み、自分へと向けさせる。
「?夜斗?どうかしたのかい?顔が真っ赤だ。のぼせたかな...早く上がろう」
「う、うん」
自覚をするだけでこうも見え方が変わるものなのか。玲央がかっこよく見える。...もう好きなのではないか?と思ってしまうくらいに。
「夜斗。今日はもう寝よう。明日に備えて、ね?」
「あ、うん。じゃあ、おやすみ」
そしてベッドにもぐりこむと、明日の"デート"が楽しみで仕方なくなった。"デート"...いつぶりであろうか。夜のお付き合いならいくらでもしたことはあるが、昼間のデートなんて、ヨウタと行って以来じゃないか?そんな事を考えていると、うとうととしてきて、やがて眠りにつく。明日のデートはどんなところへ連れて行ってくれるのか。遠足前の小学生の様な気持であった。
「ヨル。こんなのはどうだい?」
「オレには派手すぎる。それにもういいだろう?流石に買いすぎだ。」
「ヨルが無頓着なだけだよ」
「服なんて着れればそれでいいのに......」
なんだか、懐かしいやり取りだ...。温かいやり取り。オレは彼に愛を教わった気がする。...彼は誰だ?一体この夢は...?
朝日が差し込み、夜斗は目を覚ます。なんだか懐かしい夢を見た気がするが思い出せない。
「夜斗!おはよう。朝ご飯できたから食べようか」
「ンー。食べる......」
夜斗はのそりとベッドから抜け出すと、玲央と共にダイニングへと向かう。
「おはよう、夜斗」
「んン......ハァ......お前朝っぱらから」
「夜斗を見たらつい、ね」
そして、二人揃いって朝食をとる。朝食後は洗い物をしたり、あさの支度をしたりと、忙しなかった。支度を全て済ませると、出かけるのに丁度いい時間になっていた。
「夜斗。もう出れるかい?」
「おう」
そして二人は珍しく歩いて買い物へと向かう。たしかにここら辺はショップはたくさんあるが...幾分値段が高い。しかし玲央は臆することなくどんどん店に入り、どんどん夜斗の服を買っていく。
「な、なぁ......いくら何でも買いすぎだって」
「必要経費だから問題ないよ」
そんなやり取りをしている時だった。誰かと視線が交わった。
「......ヨル?」
「え......?」
そこにいたには、かつて愛を教えてくれた"ヨウタ"その人であった。




