野良猫、三角関係
「ヨル?!ヨルだよね?!僕だよ!ヨウタだ!」
「......久しぶり」
「やっぱり......急に行方不明になるから、心配したんだ。無事でよかった」
ヨウタがそう言いながら夜斗の頭に触れようとした。その時であった。玲央がその手を掴んだのだ。ヨウタは怪訝そうに玲央を見ると冷たい声で話しかけてきた。
「貴方、なんなんですか?手出ししないでいただきたい。ヨル、やっと会えたんだ。偶然の様な必然に。さぁ。僕らの家に帰ろう?」
「......ヨウタ。オレはもうお前の元には帰らない」
「何故?この男と関係しているのかい?」
ヨウタは玲央に冷たい視線を送る。しかし玲央はそれに屈することはない。夜斗の腕を引き自身の元へと引き寄せると優しく抱きしめた。
「おあいにく様。夜斗は僕の"飼い猫"で"恋人"なんだ。貴方の出る幕はありません」
「......それは本当かい?ヨル」
「あぁ。オレは今こいつの所にいる。......自分の意思で」
ヨウタは悔しそうに顔を歪めると、玲央に睨みをきかせた。
「貴方、どこかで見た事あると思ったら、京極社の専務さんじゃありませんか。たしか......京極 玲央さん」
「そうですが。それがなにか?」
「僕の会社とも取引があるんですよ。これからが楽しみですね」
「よ、ヨウタ......?」
ヨウタは不敵な笑みを浮かべると、「それじゃあ、今日はこれで」と言って去って行った。夜斗は一体なんだったんだ?と疑問を持ち玲央を見る。すると、玲央は怖い顔をしてヨウタの去って行った方を睨みつけていた。
「お、おい玲央?そんな怖い顔すんなよ。オレはちゃんとお前との約束を守るつもりだぜ?」
「夜斗......すまない。少し動揺してしまったようだ。彼は一体?」
「......オレが家出した時に拾ってもらって、色々面倒見てもらった人。いわゆる"最初の男"ってやつ」
なるほど、と玲央は納得をした。彼が夜斗に技術を教え込んだ人間なのだと。だからと言って、おちおちと夜斗を手渡すわけがない。手放してなるものか。
「夜斗、僕には君だけなんだ。君がいれば他に何もいらない......」
「急にどうしたんだよ?随分と弱気だな、オレのご主人様は......っとうわぁ!」
玲央は夜斗の腕を引き路地裏へと入る。そして夜斗を思い切り抱きしめると、深い口づけをしてきた。夜斗の口からは甘い吐息が喘ぎと共に漏れ出す。
「んン......ハ......ンッツア、あ、ハァ......れ、お」
「可愛い可愛い僕だけの"神様"......二度とこの手を離さないで」
「お前が望まない限り、オレがこの手を離すことはない。だからそんな顔すんな。今にも泣きそうな顔してるぜ?男前が台無しだ」
夜斗はそう言うとそっと玲央を抱きしめたのだった。
「見つけた......。ようやく、ようやく見つけたぞ。夜斗。今度こそお前をオレの檻に閉じ込めてやる」




