野良猫、昔話1
玲央は今日も1人で公園のベンチに座っていた。自分と同じくらいの児童は皆楽しそうに遊んでいる。「あぁ。いいなあぁ。僕も皆と遊びたい」そんな気持ちがあっても"仲間に入れて"と言う事が出来ずにいた。そのため玲央はいつも通りベンチに座って本を読む。この時間に家に帰る気はおきない。早く帰っても誰もいない家の中で独りぼっちでいるだけだ。それなら公園で暇を通していたほうがいい。
「ハァ。今日はもう帰るか......」
玲央がそう言ってランドセルを背負うと、とある少年がぶつかってきた。
「あ!悪ィ!ケガねぇか?!」
「だ、大丈夫......」
その子供はよれよれの服を着ていて、背格好も玲央よりは低く、ガリガリであった。ちゃんと食べているのだろうか...。そんな心配が玲央の頭を過ったが、面倒事に関わると碌な事がない。そう言われて育ってきたため、そのままその場を去ろうとした。しかし、少年は玲央を逃がすまいとマシンガントークをしてきた。
「なーなー。お前、いつもベンチで本読んでるだろ?なんで遊びに入ってこねぇの?皆で遊んだほうが楽しいぜ?」
「......僕の事見てたの?」
「おう!なんか楽しそうじゃないなぁって思いながら見てた。そうだ!お前、明日も来るだろう?」
「う、うん」
少年はそう言いながら玲央に笑いかける。
「オレ、毎日ここに来てんだ!だから一緒に遊ぼうぜ!!」
「え?いい、の?」
「当たり前だろ!それに公園に1人だけってつまんねぇじゃん?オレの友達もお前の事気にかけてたんだぜ?」
少年の笑顔が夕日にさらされて眩しかった。
「それじゃ、また明日!公園でな!!」
「う、うん!また明日!」
そう言って玲央は少年と別れた。こんなに胸が高揚したのはいつぶりであろうか。明日がこんなに楽しみになるなんてもう来ないと思っていた。そうだ、彼の名前を聞いていなかった。明日、聞こう。あぁ、楽しみが増えていく。
今日も静かな夕飯をとっていた時だった。父親が「玲央、ちょっといいか?」と声をかけて来た。
「はい。なんでしょう父さん」
「お前には酷な話しだが、母さんと離婚する事になった」
どうせそんな事だろうと思った。母は玲央の実母でないため、あまり可愛がられた記憶がない。よって離婚も悲しいと思う事はなかった。
「お前からまた母親を奪ってしまってすまないな......」
「本当の母さんは病気で亡くなったんですよね?僕は気にしていませんよ?」
「......ありがとう、玲央」
いつかは継母も出ていくだろうとは思っていたが、まさかこんな早くだとは......。それでも2年か......。金目当てにしてはもった方か。
「早く明日にならないかなぁ」
少年に会うのがドキドキワクワクになっていた。それだけで玲央の心は安寧を取り戻す。学校も憂鬱であったが、それすらも吹き飛ぶような気持であった。




