野良猫、最初の男6
二日酔いから解放された日曜日。ヨウタは今日こそは"買い物デートだ!"といきこんでいた。
「...なんでアンタがそんなに楽しそうなの?」
「男が恋人を自分色に染めたいと思うのは当たり前の心境だよ?さぁ、早く朝ご飯を食べよう!」
「...と言いつつオレの事を抱きしめて離さないのはどこの誰ですかね?」
この時の2人は、ベッドでヨウタが夜斗を後ろから抱きしめている形で横になっていた。時刻は9時。朝ご飯にするのは少し遅い時間だ。
「だってヨルの抱き心地がよくて...。」
「早くしないと夕方になるぞ。」
「それは困る!!」
そう言うとヨウタはガバリと起き上がりせこせこと支度を始めた。それにならい、夜斗も着替え始めた。今まで着ていたのはヨウタのお古で、身長が伸びたお陰か、すっかり丁度いいサイズ感となっていた。そのため夜斗はコレでいいと言ったにもかかわらず、ヨウタは「それでも!新しいヨルが見たいんだ!!」と言って聞かない。まぁ、金を出すのはヨウタだ。好きにさせよう。
「もう、この時間だしカフェのモーニングにでも行こうか。」
「さんせーい。」
ヨウタは夜斗の髪を撫でつけると、「少し髪も整えたいね。」と言って、美容室に予約の連絡を入れる。丁度空きがあったようで、13時に予約を取り付けられたようだ。そして2人はカフェに赴き、モーニングプレートを2つ、コーヒーとセットで注文した。
「朝からこんな贅沢して罰当たらないかな?」
「いいじゃないか。今日はヨル改造計画なんだから。」
「なんだそれ。関係ないだろう。」
そうしていると、モーニングプレートとコーヒーが運ばれてきた。うん。とても美味そうだ。コーヒーもいい香りがする。
「さ、食べようか。いただきます。」
「いただきます。」
2人は少し遅めの朝食をとる。そして、モーニングプレートを食べ終わると、夜斗は再びメニューと睨めっこをしていた。
「ヨル?どうしたんだい?」
「...デザート、食べてもいい?」
「!なんて可愛い我儘を言うんだい!もちろん食べていいよ?」
ヨウタからの許可が出ると、夜斗は顔を"パァ"と明るくし、ティラミスを注文した。その様子を間近で見ていたヨウタは、「僕のヨルが可愛すぎる」と悶絶していた。
「?ヨウタも食べたいの?ほら。あーん。」
「?!あ、あーん。」
夜斗からまさか"あーん"されるとは思わなくって、ヨウタはティラミスの味が分からないほどであった。そして、朝食を食べ終わり会計を済ませカフェを後にすると、ショッピングモールの開店時間になっていたためタクシーを拾ってそこに向かう。
「いいか?あんまり無駄遣いすんなよ?」
「何言ってるんだい?ヨルにかかる費用は決して無駄遣いにならないんだよ?」
...ダメだこりゃ。今日は何を言っても無駄だと悟った夜斗であった。しばらくタクシーに揺られて目的地のショッピングモールに着いた瞬間ヨウタの目の色が変わった。
「さぁ!ヨルに似合う服を片っ端から見繕うぞー!」
「いい年こいた大人がはしゃぐな。」
夜斗はヨウタの頭をパシンと叩く。
「いてて...。ごめんよ。あまりにも嬉しくってつい。」
「...まったく。いい加減にしない...と...」
「?」
夜斗は言葉を続けようとしたが、続かなかった。ヨウタが夜斗の視線の先を追うと、そこにいたのは夜斗の親くらいの男女が2人仲睦まじく幸せそうに歩いているところだった。
「...さ、ん」
「え?」
「...母さん...」




