野良猫、最初の男3
それから、夜斗の生活は一変した。朝起きるとまずは、ヨウタと共に朝ご飯を食べる。そしてヨウタが仕事に行くのを見送ると、ヨウタから渡されたWordとExcelの本を読みながらパソコンの操作に慣れる訓練をする。お昼になるとコンビニでサンドウィッチとコーヒー牛乳を買ってお昼ご飯にする。そしてまた勉強...。ヨウタは夕方には帰って来るのでその日分からなかった事はその日のうちに聞く。そして夜斗が風呂に入っている間にヨウタが夕飯の支度をする。そして2人揃って夕飯を食べる。そんな生活を一週間続けていたら、夜斗の身体は大分肉付きがよくなってきたと思う。栄養もしっかりとるようにしているので、今まで伸びなかった分の身長が伸びようとしているのか、夜斗は身長痛に苦しむことになった。
「...最近、身体が痛い。」
「身長痛は仕方ないよ。寧ろ身長痛来てくれて良かったよ。このままだと170㎝行くんじゃないかな?」
「寝れないのはしんどい...。」
「まぁまぁ。成長の証拠だよ。そうだ、明日は休みだしヨルの服を買いに行こう!僕のだとぶかぶかだし、会った時に着ていたのはボロボロだし...。」
「勉強も頑張ってるご褒美も兼ねてね。」そう言われると照れくさくなって顔をそっぽ向けた。ヨウタはそんな夜斗の様子を微笑ましく見ながら味噌汁に口をつけた。
「そういえばちゃんと聞いてなかったけど、アンタって何の仕事してんの?」
「ん?小さい会社だけどベンチャー企業の一応社長をやってるよ。」
通りで。たまにテストと称して書類をさせられる事もあったから、ただ者ではないと思っていた。夜斗はとある提案をすることにした。
「なぁ、アンタの持ってる本読んだんだけど、オレ、株やってみたい。」
「...よくあんな難しい本読んだね?でも、本と実際にやるのは違うよ?」
「分かってる。深追いはしないようにするから。...アンタに恩返ししたいんだ。」
夜斗は常に思っていた。こんないい生活を送らせてもらってるんだから何かヨウタの役に立ちたいと。ヨウタはしばらく考えたが、夜斗の真剣な瞳に"No"が言えなかった。
「...約束して?絶対危ないと思ったらすぐ取引をやめる事。そして買う前に僕に聞く事。」
「聞いたら、アンタの手柄になるじゃん。意味なくない?」
「ヨルはまだ子供だから。そんな事は気にしないの。それに運用するのはヨル自身だからね?僕は危なくならない限り口を出さない。それでいいかい?」
「...それなら。じゃあ、来週から勉強と同時進行でやってみる。」
夜斗がそう言うとヨウタは満足げに微笑んだ。本来は高校に行かせるべきなのだろうけれども、夜斗がそれを望んでいないのだから、無理に行かせるより将来役に立つ事を学ばせた方が良いだろう。というヨウタなりの考えだった。そんな話しをしていると、朝食は食べ終わりヨウタは出社の準備をする。
「今日はそんなに遅くならないはずだから。外食でもしようか。何食べたい?」
「アンタのオススメのとこで食べたい。」
「OK!じゃあ、フレンチのお店予約しておくよ。それじゃあ行ってきます。」
手を振って見送った夜斗だが、「フレンチなんてマナーが分からないぞ。」と焦りと緊張が走った。




