表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/21

査定

ブライアンは、あの忌まわしい異動を命じられてから、変わらず国道沿いの安ダイナーで時間を潰すことを日課としていた。今日も完全に煮詰まったコーヒーをすすっていると、テーブルに伏せていた端末が短い振動を立てた。


画面には、二年ぶりに見るウィリアムの名前が表示されている。ブライアンはわずかに眉をひそめ、通話ボタンを押した。


「ブライアンだ。ウィリアム、久しぶりだな。」

「なかなか連絡できずにすまない。」ウィリアムは、さして悪びれる風もなく続けた。「用件だけ手短に伝える。これから君に、スカウトが仕事のオファーで接触するはずだ。話を聞いてやってほしい。」


「なんだって? スカウト?」

「彼らは非常に怪しく見えるんだが……きっと面白いものを見られるはずだ。着いて行くといい。待っているよ、ブライアン。」


それだけ言うと、一方的に通話は切れた。


端末をテーブルに置いた直後、ダイナーの埃っぽい窓越しに、風景の彩度を吸い取るような漆黒の装甲SUVが駐車場に滑り込んでくるのが見えた。明らかに軍の車両ではない。後部座席のドアが開き、砂埃の舞う駐車場にはおよそ似つかわしくない、完璧に仕立てられたスーツ姿の男が二人降り立った。


男たちはダイナーのドアを押し開けると、フロアのスタッフと二、三の言葉を交わし、迷うことなくブライアンの座るテーブルへと歩み寄ってきた。


「ブライアンさんですね。」

片方の男が、身分証も名刺も提示せずに一方的に確認した。


「そうだが、おたくらは?」

「貴方に頼みたい仕事がある。これから一緒に付いてきてほしい」


「ずいぶん唐突なんだな。嫌だと言ったら?」

「これは強制ではない。残念ではあるがおとなしく退散するさ。」男は表情一つ変えずに言った。「ただし、貴方はまたとないチャンスを棒に振ることになる。」


ブライアンはコーヒーカップを持ったまま、男を見上げた。

「一つ教えてほしい。おたくらはいつもこんなやり方でリクルートを?」


「普通でないことは分かっている。まあ、雇い主からのテストみたいなものだと思ってくれればいい。」


ブライアンはまっすぐ相手の顔を見据えた。ウィリアムの「待っているよ」という言葉が、耳の奥でリフレインしている。


「オーケイ、着いて行くとしよう。今の仕事にも飽き飽きしていたところだ。」


ブライアンが立ち上がると、男の口元に初めて微かな笑みが浮かんだ。

「それは良かった。強制ではないと言ったが、実は多少強引にでも連れてくるよう言われていたんだ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ