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ゴブリントレーナー~ゴブリンを我が子同然に愛したら、成長率が凄いことになった~  作者: 心音ゆるり


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5/8

幼女なゴブ子



「ぐぎゃっ!?」


「今回は試験を頑張ったご褒美だぞ? 本当は毎週連れてきてやりたいんだが、結構高いからなぁ」


「くきゃ~」


 と、甘えた声でゴブ子が鳴き、俺の足に抱き着いてきている理由――それは、俺たちがやってきた場所にある。サプライズにしたかったから、ギリギリまで黙っていたわけだ。


 ゴブ子が驚き喜ぶ姿が見られて俺も大満足である。


 普通の子供ならテーマパークとかそういう場所で喜ぶんだろうけど、ゴブ子はいちおう魔物だ。そして他の魔物たちと同様、戦いが大好きな魔物である。


 だから喜ぶ場所は、戦いに関する場所だ。

 俺たちがやって来たのは、ダンジョン特区内の施設――毎週かかさず通っている、覚醒者用の戦闘訓練施設だ。


 部屋を一時間単位でレンタルすることができ、何もないまっさらな部屋だったり、ホログラム相手に戦闘できる部屋だったり、地面に付けられたレールを移動するゴム製の敵が用意された部屋だったり、内容は様々だ。


 普段は何もない部屋を四時間から六時間ほどレンタルして、政府が提供している戦闘動画を参考にしながら剣の素振りをしたり、武道の型を復習したり、二人で模擬戦をしたりしているのだが、たまにホログラム相手やゴム製の敵相手に戦っている。


 そして今回は、ゴブ子が一番好きなゴム製の敵が相手。だから彼女も喜んでいる。

 ホログラムのほうが初期コストとしては高いんだろうが、ゴム製の敵は破壊オッケーなことが関係しているのか、一番高い。


 一時間で五千円。そして一時間当たり、五体まで破壊可。

 俺にとっては高いが、政府にとっては安すぎる設定なんだろう。これもまた、探索者優遇措置の一環なのだと思う。


「だけどゴブ子、この部屋は二時間だけな? いつもの素振りとか模擬戦の時間がとれなくなるし」


 俺がそう言うと、ゴブ子はピシッと敬礼のポーズをとって「ぐぎゃっ!」と返事をする。可愛すぎかよ。そしてとてもお利口さんだ。


「次からはダンジョンで実戦になると思うから、いつも以上に集中してやっていこうな。でも、張り切りすぎて怪我をしないように」


 俺が言うまでもなく、頑張り屋さんなゴブ子は最初から最後まで集中するんだろうけどな。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 ゴブ子は、こと戦闘に関しては大変真面目である。真摯に向き合っている。


 先ほど行った訓練施設での特訓も、見ているほうが疲れてしまいそうなほど、最初から最後までストイックに取り組んでいた。延長をおねだりされたぐらいである(一時間だけ延長した)。


 そしてそんなゴブ子ではあるが、その他の部分も大変良い子ではあるのだけど、普段は割と子供らしい一面を見せてくれている。


 その日の夜。


「こーらゴブ子!」


 キッチンで晩御飯の準備をしていたところ、なにやらゴブ子がソワソワと俺の後ろを動き回っていた。途中まで一緒に料理の準備をしてくれていたので、出来上がるのを待ちわびているのかと思っていたのだが、狙いは別にあったようだ。


 俺に体を向けたまま、そろりそろりと後ずさりし始めたので、察した。


「戸棚のお菓子取っただろ!」


「ぎゃ、ぐぎゃ?」


「とぼけてもダメ。その背中に隠している物を出しなさい」


 ジッとゴブ子を見つめながらそう言うと、彼女は「ぐ、ぐぎゃぎゃ~」と、まるで『悪気はなかったんです』とでも言いたげに鳴いて、トボトボとこちらに近づいて、背に隠していた抹茶味のチョコのお菓子を俺に差し出す。


 俺が受け取ったチョコを名残惜しそうにジッと見つめたのち、彼女は視線を床に落とした。


「お菓子は一日三つまで。今日は朝に一つと昼に二つ食べただろう? だからあの時『夜の分が無くなるぞ』って言ったのに……」


「ぐぎゃ……」


 ゴブ子は自らの足先に視線を向けるように俯いたまま、力なく返事をする。

 苦しい。とても心苦しい。


 魔物はどうやら魔石以外の飲食物から栄養を摂取できないようだし、食べたものがどこにいっているのかも定かではないのだが、極端な刺激物でもないかぎり、おそらく危険性は無いのだと思う。


 だから、お菓子をいくつ食べようと、体にはたぶん悪くない。

 しかし――しかしだ。


 毎日お菓子やジュースを暴飲暴食することに慣れてしまったら、俺の懐的にも厳しいし、ゴブ子も際限なく食べるようになってしまいそうなのだ。


 いくらでも食べられるなら、四六時中食べていても問題ないのだし。

 魔物の主食である魔石に関しては、食べ過ぎたら『ぺっ』と魔石の塊を吐き出すからわかりやすいけど、普通の飲食物はそうではないからなぁ。


「はぁ……明日はちゃんと三つにするんだぞ? そしてこれを食べるなら、晩御飯あとにしなさい」


 そう言って抹茶のチョコをゴブ子の前に差し出すも、ゴブ子はシャツの裾を掴み、下唇を突き出した表情で「ぐぎゃ」と首を横に振る。食べないらしい。


 なんだか俺がすごく悪いことをしている気分になってきたんだが。もう食べてもいいから機嫌を直してほしい――でも、甘やかしすぎるのも良くないよなぁ。


 子育てって難しい。


「……よし。わかった。じゃあこれはお預けだ」


 そう言って、俺は一度抹茶チョコをエプロンのポケットに突っ込む。


「だけど、もう少し料理を手伝ってくれたら、これをあげよう。ちょっと大変だけど、魔石をすりつぶす作業、俺の代わりにやってくれるか?」


 そう言いながら、俺はキッチンの天板に置いてあった魔石がいくつか入ったステンレス製のすり鉢をゴブ子に見せる。


 すると彼女は、俺からすり鉢を受け取り「ぐぎゃ」と覇気のない声で返事。自分で引き出しからステンレス製のすりこぎ棒を取り出して、キッチンの隅に置いてあったゴブ子用の踏み台を俺の隣へ持ってくる。

 そこにちょこんと乗って、俺の隣でゴリゴリと作業を始めた。いまだしょんぼりである。


「よしよし、上手だぞ」


 そうやって褒めると、ゴブ子は「ぐぎゃ?」と首を傾げる。『そう?』みたいな感じかな。

 ご飯の支度ができるころには機嫌も戻っていることを願うとしよう。





というわけで新作です!

明日から第一章が終わるまで毎日投稿できるよう頑張ります!

面白そう~と思っていただけましたら、どうぞブックマークや評価などよろしくお願いします(o*。_。)oペコッ

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