表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
52/105

第52話 処刑


 男を切った瞬間、日本から共に来た侍たちの叫び声が幾つも聞こえた。


「安兵衛殿!」

「安兵衛!」


 しかし、そのまま意識を失った。



 ムラト3世は、駆けつけたサムライ・イエニチェリたちと共に宮廷に入る。暴れていたイエニチェリに命令を出した。


「今すぐ反乱を止めて宮殿に来い。言い分を聞こう」


 サムライ・イエニチェリたちに包囲され、剣を納めた反乱側のイエニチェリたちは、ヤフヤとその副官達の制止を聞かず宮殿に向かう。


「お前たちの訴えはよく聞いて対処する。だが、首謀者達は許すわけには行かない」


 ヤフヤたちを捕らえるようにと、命令が下された。




 安兵衛は館に運ばれていた。気が付くと、心配そうに自分を見つめるミネリマーフの顔があった。侍女や使用人は無事で館も焼けてはいなかった。「貴方は二昼夜も唸り続けていたの」と、ミネリマーフは安兵衛の顔に浮かぶ汗を拭う。そこに医官を届けてくれたムラト3世が現れ、上体を起こそうとする安兵衛を制した。


「動くな、そのまま横になっていろ。そなたには命を助けられたな」


 安兵衛はとっさの事とはいえ、スルタンに体当たりしたという非を詫びた。

 この出来事を境に、ムラト3世は安兵衛を側近以上の存在として遇するようになる。


 首都を逃げ出そうとしていたヤフヤやその仲間たちが逮捕され、ムラト3世の下に連れて来られた。反乱に加担した軍団の中に、サムライはひとりも居なかった。逆に治安を維持しようと駆けつけて来たのだった。安兵衛はそれを知ってほっとする。




「何か言い分があるか?」

「…………」


 ムラト3世の前に引き出され、死を覚悟した反乱者達は、こうべを垂れて無言だった。宮廷の中庭に五人が並ばされ、建物の二階から見下ろすムラト3世が居る。指示を仰ぐ執行官にうなずいて見せた。

 執行官の合図と共に剣が振り下ろされる。

 四つの首が石畳の上に転がった。

 だが、ヤフヤだけは違った。

 オスマン家の血を流してはならないという戒律に従い、処刑人が背後から絹紐を首に掛ける。

 静寂が中庭を包んだ。


 イエニチェリの俸給増額は約束される事になる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ