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第20話 食料調達

「タリウトさん」

「はい」

「今から別行動で、ワラキアのカンタクジノ家の館に行って下さい」


 あの時の夫人に会い、食料やその他の物資を調達する手助けを頼んで欲しいと言った。


「このコンスタンチノープルに輸出するのです」

「分かりました」


 タリウトはユキと同じようにコンスタンチノープルの状況を見て、輸出すると言う言葉を聞き、その考えをすぐに理解した。


「では十人ほど兵を貸して頂き、参ります」

「そうして下さい」


 ユキはタリウトに十分な金貨を渡す。


「マラト、食料は十分積み込んであるの」

「……それが」

「無いのね」

「はい」


 ユキはマラトを伴い市場に出かけた。確かに乏しい市場である。野菜の残りかすでさえ拾われている有様なのだ。


「これは厳しいわね」

「…………」


 ない物は買う事が出来ない道理である。


「こうなったら陸路ワラキアから運ぶしかないわ。バルクさん、急いでタリウトを追いましょう」


 先に出かけたタリウトを追ってユキたちは馬を急がせた。


「モルダビアよりもワラキアの方が近いから、急げば三日で輸送できるでしょう」


 船には数人置いて残りは全員でワラキアに向かう。


「マラト、船を動かす船員は全員そろっているんだろうな」

「もちろん揃ってます」

「よし」



 ワラキアに着くとユキは教えられていたカンタクジノ家の館に向かう。表門から中庭に通ずる道の両脇には、チューリップ、ヒアシンス、アネモネなどが咲いている。出迎えてくれたエヴァ夫人はカンタクジノ家の第2夫人であったのだが、今は未亡人となっており、ほぼ家長として実権を握っていた。


 ユキは先に来ていたタリウトから説明を聞く。

 夫人は食糧や他の物資の調達に協力してくれ、既に港に輸送する手はずが整っているとの事だった。夫人の招待で夕食の宴が始まる。ユキの他バルク、タリウト、クイナがテーブルに着いた。他の者も皆別室で歓迎されているようだ。

 カンタクジノ家は宿敵のバレアヌ家との抗争が長引いて劣勢に立たされていると言う。


「バレアヌ家は私達を潰そうとしております」


 エヴァ夫人の笑顔が消えた。


「これも何かの縁ですね。私達に出来る事は何でもしましょう」

「有難う御座います」

「それから物資の調達はまだまだこれからも続くと思われます。協力して頂けますか?」


 夫人は喜んで協力すると言った。


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