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第18話 水夫頭マラト


「全く、なんでこんなにバカ高いんだ。予定の半分も買えないじゃないか」


 ぶつぶつ文句をいいながら荷車を引き、やって来る者がいる。


「ちょっと聞きたいが」


 バルクが声を掛けると男は警戒して足を止め、棒切れを手にした。


「…………」

「あんたこの船の船員か?」

「……なんの用だ」


 男はまだ警戒して棒を握りしめている。港は今不穏な空気に包まれている。買い出しも難儀をしてきたばかりだ。おまけに船には暴徒まで居る、これ以上のごたごたは願い下げなのだ。


「俺たちはマラトってやつを探しているんだが……」


 マラトという言葉がでると、男は一層警戒を強めた。


「…………!」

「ユキさんから聞いたんだが、水夫頭なんだそうだ」

「あんた方は一体……」


 こうしてマラトは見つかった。男自身がその水夫頭であった。

 ユキの言っていた水夫頭はちょうど食料と水の買い出しに上陸してしたところで、暴徒達は疑うことなく下船を許したようである。


「分かりました。協力しましょう」


 船は確かに暴徒に襲われ乗っ取られたのだが、背後にはどうも貴族達の影がちらついているのだとマラトは言った。


「奴ら海峡が封鎖されているので、どうにも動きが取れなくなってます」

「船乗りと襲って来た連中は何人だ?」

「船乗りは70人で、武器を持って乗り込んで来た連中は20人くらいです」

「全員船に居るのか?」

「はい」


 結局3人で下手に乗り込んでも、銃で武装している暴徒達が相手ではダメだろうと、仲間全員が来るのを待つことになった。



 遅れてコンスタンチノープルに着いたユキはバルクから報告を聞き、タリウトとふたりを見る。


「これは不意を突いていきなり乗り込む方法を考えるしかないでしょう」

「それ以外に手はなさそうですね」


 タリウトの返事を聞き、ユキは水夫頭マラトに指示を出した。


「明日の朝早く乗り込みます。乗組員全員にその事を伝えておいて下さい」

「はい」

「但し、暴徒の連中には気づかれないようにね」

「分かりました」


 さらにユキはマラトに金貨を渡した。


「酒を買って帰りなさい。暴徒の連中にうまいこと言って飲ませるの」




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