第16話 28人の傭兵
酒場の外に出ると、そこにはいつの間に集まって来たのか、馬にまたがる男達の集団が居る。
「これからはこの傭兵28人があんたの部下だ」
そう言ったバルクが男達を見回した。
「船はたぶんコンスタンチノープルです」
ユキの声は少し震えていた。
「そこで売るつもりなんでしょう」
バルクは鼻で笑った。
「なら先回りして奪い返せばいいだけだ」
ユキと28人の傭兵達は、馬を飛ばして南に向かった。
「ユキさん、コンスタンチノープルまで6日くらい掛かります。船も順調にいけば馬と同じ日数で着くはずです」
「分かりました」
途中夜は野宿になる。夕食は街の路上で業者が解体していた獣のもも肉を買った。獣肉を手で裂いて食べるのは平気だった。酒を回し飲みするのも気にならない。だが何日も髪を洗えない事だけは耐え難かった。
(何日髪を洗っていないのかしら……)
しばらく焚火を囲んでいると、バルクがユキの側に来て振り向き声を上げた。
「クイナ!」
呼ばれて若い男がやって来る。ところがバルクはいきなり剣を抜くと、その男に襲い掛かった。その男もすかさず剣を抜き応戦する。激しい切り合いが始まりユキは呆然と見守るしかない。何が起こったのか。刃の触れ合う音が響くのだが、誰も止めようとはしない。
「おおう」
「やれ!」
「そこだ」
バルクが連続で打ち込み、クイナが全て受け流す。
「これで終わりだ」
次の瞬間、バルクの剣先が宙を舞った。
「勝負あり」
バルクは笑った。
「ユキさん、ご覧の通りです。この男が剣を抜けば、かなう相手などひとりもおりません」
「…………」
「これからは、このクイナを貴方の護衛に付けます」
そして次に呼んだのはタリウトと呼ばれる男だった。
「この者は年寄りですが、誰よりも知恵のある男です」
「…………」
「私の居ない時など、何時でも良い相談相手になるでしょう」
ふたりはユキに会釈をする。
夜は皆がそれぞれ布で身体を覆って寝た。




