天狗の怪 その五
なんだかんだシャワーを浴びればさっぱりするもんだ。
私は割り当てられた自室に案内された。埃臭くて、いかにも私が急に来たもんだから慌てて掃除したようにも見える。里の住民の個人情報とか床に散乱してるし。とにかくここもかび臭くて狭苦しい。
私は我慢ならず、まず掃除から始めた。散乱した資料などを一箇所にきれいに集めて、適当に空いている机の引き出しにしまい、持参したウェットシートで机の上だけでも拭いた。これでなんとか整理作業はできそうだ。
まず、初めに見つかった遺体だが、実はかなり腐敗の進んだ遺体だったらしい。しかし、その後に見つかった遺体は綺麗に白骨化している。そう考えると、どこかで燃やしたんじゃなかろうか。しかし、燃料も必要だしな。そういうものをどこから調達しているのやら。ただ、この辺はクルマのスクラップ置き場が山程あるから、燃料には多少困らないのかもしれない。あんな使い物にならない油、人を燃やすのに十分じゃないかな。それに実際、あの9体にはクルマのオイルで燃やされた跡がある。スクラップを狙う連中は多いから、そのなかから探し出せばいいのではなかろうか。意外とこの事件も早く済みそうだ。天狗の仕業なんて言うけど、オイル好きの天狗がいるもんか。絶対に犯人を捕らえてやる。そうすれば、俺は特務調査官見習いとしてしばらく中央で遊んでられるってもんだ。
それにしても夕方頃、子供が何人もさらわれるなんて不気味だ。犯人はきっと・・・。いや想像もしたくないな。気分が悪くなってくる。それにもしそいつを捕らえたら、いったいどんな目に遭うのか想像しただけでも恐ろしい。ある意味でこれはこの里にとってのお祭りの再開になってしまうと想像すると、なんとも残酷なものだ。できれば中央に送って、適切な処分を受けさせてやりたいものだよ。とりあえず今日は眠い。この部屋はふかふかのソファがあるくらいだが、寝転がってみると、埃がブワッと巻き上がり、思わずむせてしまった。だから田舎は嫌いなんだよ。




