天狗の怪 その四
役場の方へ平坦な道を歩く。それにしても泥臭い道だ。辺りを見渡しても畑やら、遠くでは崩れた家やら、これが田舎ってもんだな。靴もだいぶ汚れた。それにこんな広大な畑を、こんな少ない人数で手作業で収穫作業してるなんてな。僕が小さかった頃に比べると、想像もつかなかった。まぁ、こいつらの収穫物をおいらたちが頂くんだから、そこは余計な詮索なしだ。
だいぶ長く歩いていると、太陽も沈み、辺りもだいぶ暗くなってきた。振り返ると、太陽が山へと沈み、夕暮れの赤色から紫へと移り変わる。そして、あの山の輪郭が真っ暗でハッキリ見えた。それに、だいぶ涼しくなって、山の方からから気持ちのいい風が吹き、両側の森の木々がザワザワと揺れる。見上げれば、星々が綺麗に輝いた。この風景を見ると、ここへ来た甲斐があったと初めて思える。永遠にこんな時間が続けばいいと感じるくらいだ。
ふと遠くを見ていると、たった一つ建物の明かりがついた。あそこが役場か。とりあえずこの辺では、あそこしか明かりがつかないんだな。さて参るか。
しばらく歩いて、やっと着いた。
どうもお帰りなさい。成果はどうです?
いやぁ、まだ一日だから見つかりっこないですよ。これから今日のことを整理するつもりです。そんなことより風呂はありますか。
あの奥です。
覗くと、中央の街では思いもよらないようなカビ臭くて、ところどころ黒ずんだ浴槽もないシャワー室であった。こんなんじゃかつてのネットカフェのほうがマシだ。
私は顔に出やすいタイプで苦笑いを浮かべてると、どうかご容赦くださいと言うので、仕方なくこちらを利用させてもらった。蛇口もヌルヌルだし、ここは田舎の嫌なところだ。思えば便所もいかにも便所って感じで臭い。調査よりも前に、こっちの掃除のほうが先なんじゃないか?




