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天狗の怪 その十一

今回捕まえた悪党にも、シャワーを浴びせてやった。何しろシャワーを浴びるのは数十年以来らしい。というのも彼は、退役軍人で過去の戦争で宇宙にも出たらしい。だからこういった浮浪者の生活にも抵抗はなかったらしい。過去には妻子もいたが死んでしまったそうだ。職員に、あのザンバラ髪を切ってもらい、洋服も提供し、ある程度はさっぱりした姿になって私の取調室に姿を表した。壁を背にして、私の向かいの席に職員が誘導し、座らせた。


どうだ?久しぶりの入浴は気持ちよかっただろ。

まぁね。んで、俺に何を聞き出すんで?

今回の子供の誘拐殺人だよ。

そんなものは初めから知らねぇって言ってるべよ。


たしかにそうだ。この男がやったっていう証拠は依然と無い。一応指紋も取らせてもらったが、遺体に付いている指紋は全く別の人のものなのだ。それでも、点数稼ぎにはこの男は使えると見ている。


もちろん子供のことだけではない。お前が俺たちのことを襲った時点でこれは立派な犯罪だ。この里の空調の効いたこの役所で飯を食わしてもらうんだからな。それだけで、ありがたいだろ。

中央の連中はそんなつまらんことまで犯罪にしてしまうんけ?

襲った相手が悪いって言ってんだ!


この男の挑発する態度に、私は苛立ちを見せてしまった。


まぁいいさ。それによ。俺はもう死にたかったんだ。ここで、ハッキリ言うど?俺は妻と子供を殺した。

なんだと?

だからよ。今回の罪もかぶってやるよ。俺のこと殺してくれっけ?

さっきとは話が違うな。身柄は里に渡されるんだぞ。お前どうなるか知らないぞ。

俺は軍人上がりだ。中央の方で裁いてもらうネタもたくさんあるよ。


この男は不敵な笑みを浮かべた。しかし、目は虚ろで、いろいろなものを諦めたような全てを達観したような表情を浮かべる。この男にもいろいろあるんだな。それにしても、妻子殺しが気になる。一旦連れて行ってみるか。


おい、その妻子殺しの現場ってのに連れてってもらえないか?

構わんよ。


私はこの男を引き連れて、その場所を向かう。畑のど真ん中を通る最中、いろんな方から人がジッとこちらを見つめているのを感じた。それはとてつもない圧のように感じられて、この男を放したら、里の連中に食い殺されるのではないかと思うほどだ。しばし歩くと、ヤブだらけの森の方を指さし、あの先だと指さす方に、一つの大きなコンテナが置いてあった。私は、こんな獣道を通るのは気が引けたが仕方ないと、男を引き連れガサガサと入っていった。途中、クモの巣が私の顔にべったりくっつかって、うわぁと身を引き、片方の手で、蜘蛛の巣を取っていると、男がヘラヘラ笑うもんだから、ぐいっと前へ押し出した。


お前が露払いをやってくれよ。

へへ、あんた乱暴すぎなんだよ。


ニヤニヤしながらも私に対して不満をこぼした。私も好きでこんなことやってるわけではないから、そういう非難は勘弁してほしいものだ。ガサガサと前へかき分けてコンテナに近づくにつれて、獣臭が強くなった。


お前、何食ってんだ?

あ?

普段の話だよ。

あぁイノシシとか捕まえてな。


コンテナの前にようやくたどり着いた。コンテナの脇には、なんと、あの宇宙戦争時代に使われた人型ロボットが腰掛けていた。


これはもしや旧世紀のスペース・フレームじゃないか。

あぁ、俺はこれに妻と一緒にこの俺の地元までなんとか飛んできたんだ。もう燃料はねぇぞ。

まぁいいさ。それよりも、中を見せてもらう。


男を引っ張り、重いコンテナの扉を開けると、ミイラ化した光が指した先に、ちゃぶ台、雑誌類、そして、ミイラ化した成人らしき遺体があった。頭は切り離されて、ひざ元に置かれていた。


もしかして、コイツラのことか。

ああそうだよ。


コンテナの周りも探ってみるが、何かを焼いた後はあるが、動物の骨しか見当たらず恐らく、こいつが犯人ではないことは明白であったが、目の前の遺体については追及せざるを得なかった。

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